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現代日本の安全保障とマス・メディア72ロシアの脅威

第8節 日本の危機 ロシア

 

 ソ連時代は極東に多大な戦力を割き、南下政策、日本侵攻を実現する可能性もあったが、ソ連崩壊後の経済的困窮によってロシアの軍事力は急速に低下した。艦艇の半数近くが退役し、軍内の士気も低下した。また、ベトナムのカムラン湾においていた海軍基地からも撤退し、ロシア海軍艦船の日本海縦断、日本接近の回数も減った。しかしながら、威嚇偵察と思われる航空機の領空侵犯や、樺太千島交換条約に記されている「北方領土は北海道の一部である」との文言を無視して、ロシアは北方領土を不法占拠しているのみならず、択捉島、国後島には冷戦激化の1979年から継続的に旅団(5000人)規模の地上軍部隊、戦闘機部隊を配置していた。

 

 現在は、限られた資源を有効に活用すべく、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦、地上発射大陸間弾道ミサイルの二本槍による核戦力、高い運動性能を誇るスホーイSu―27戦闘、スホーイSu―30戦闘爆撃機、スホーイSu―35戦闘機の配備を進めている。また、経済的困窮から逃れるために、中国にたいし、大量に戦闘機、駆逐艦、潜水艦を輸出するなど、地域の軍事バランスを乱す行為を続けている。

 

 経済は一時の困窮を脱し、上向きつつある。70年代後半の軍拡と外交攻勢、拡張主義のときのように石油資源の高騰など状況が整えば再び覇権大国をめざし、軍事力を行使して東アジア、日本を影響下におさめようとする可能性がある。(注1)

 

 2014年にはウクライナのクリミア半島に自警団を展開させ、住民投票を実施しロシアに編入した。さらドネツク州、ルガンスク州、ハリコフ州にもロシア諜報機関、ロシア軍特殊作戦部隊、ロシア人民兵を派遣し親ロシア派住民にドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国を樹立させ、武器を供与しウクライナと戦闘させた。