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現代日本の安全保障とマス・メディア82SAT銃器対策部隊

1996年予算において、SAT訓練費10億円を要求した警察庁であったが、大蔵省はそれを不要として認めなかった。

しかし、同年12月に、ペルーの日本大使公邸占拠・人質事件発生にいたって、大蔵省もテロリズムの危険を認めざる得なくなり、予算は通ることになった。

また、ペルー日本大使公邸占拠・人質事件に特殊急襲部隊を派遣すべきとの声が与党内からあがったがが、内閣法制局は憲法で禁止されている「海外での武力行使」に相当すると否定したため、断念された。

 

2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を契機に、警察庁は銃器対策部隊の強化を決め、全国の銃器対策部隊にH&K MP5機関拳銃を1,400丁配備することになった。

 

サッカー・ワールド・カップ開催地や、12道県16施設の原子力関連施設所在地に「原子力関連施設警戒隊」を創設、それらを中心に28都道府県警察に配備されている。

配備が確認されているのは、警視庁第1機動隊、第6機動隊、第9機動隊(注5)、大阪府警察第1機動隊、第2機動隊、第3機動隊(注6)、千葉県警察第1機動隊、第3機動隊、新東京国際空港警備隊(成田国際空港警備隊に改称)(注7)と主要県警機動隊である。

また、総理大臣官邸警備隊100人や皇宮警察特別警備隊には別枠で配備されているなど、H&K MP5機関拳銃は増備されている。これによって、銃器対策部隊の能力は飛躍的に高まり、テロリズム対処能力を持つようになった。

 

銃器対策部隊は、重要防護施設の存在、大都市を中心に装備が強化されているが、福井県、福島県、新潟県など原子力発電所・核燃料処理施設がある都道府県には他県の機動隊銃器対策部隊が応援で派遣されている(注10)。

原子力発電所が集中する福井県には、大阪府警察第2機動隊銃器対策部隊、愛知県警察機動隊銃器対策部隊、神奈川県警察機動隊銃器対策部隊が派遣されている(注11)。


 銃器対策部隊はH&K MP5機関拳銃とともに、豊和工業ゴールデン・ベア・ライフル、豊和工業ホーワM1500ライフルを装備しているが、高性能なボディ・アーマーが普及し、世界の対テロ部隊がボディ・アーマーで防御可能な機関拳銃からボディ・アーマーを貫通するカービン、自動小銃に装備を変更しているなかで、銃器対策部隊の装備ではまだテロリズム対処、非正規戦に不足である。