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現代日本の安全保障とマス・メディア91小泉政権3

第3節 イラク戦争における対応

 

 2003年3月17日午後8時、ジョージ・ウォーカー・ブッシュ大統領はテレビ演説で、イラクのサダム・フセイン大統領に対し、48時間以内に出国しない限り、「我々が選ぶ時期」、に武力行使に踏み切ると通告した。イラクは翌日の18日にそれを拒否した。

 

3月20日午前5時30分、アメリカ合衆国とイギリスは武力行使に踏み切った。イラク各地での戦闘ののち、ブッシュ大統領は5月1日、空母エイブラハム・リンカーンにおいて「イラクにおける主要な軍事作戦は終了した」と発表した。

 

 日本は3月17日に、アメリカ合衆国の方針に支持を表明、さらに20日に武力行使に支持を表明した。日本は5月22日、国連安全保障理事会決議1483号に基づきイラク復興への協力を表明した。

 

6月13日、政府は「イラク人道復興支援特別措置法案」(「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案」)と、「テロ対策特別措置法改正案」を国会に提出した。

 

6月24日には「イラク支援特別委員会」(「イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会」)が設置された。同委員会は6月25日に質疑入りし、7月3日に可決され、7月4日には衆議院本会議で可決され、26日には参議院本会議で可決された。

 

 

 イラク人道復興支援特別措置法案の概要は

 

1   政府は、この法律に基づく人道復興支援活動又は安全確保支援活動(対応措置)を適切かつ迅速に実施することとし、対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものではあってはならず、我が国領域並びに戦闘行為が行われていない外国の領域(当該国の同意がある場合に限る。ただし、イラクにあっては、国際連合安全保障理事会決議第1483号その他の政令で定める国際連合の総会等の決議に従ってイラクにおいて施政を行う機関の同意によることができる)及び公海(その上空を含む)において行うものとすること。

 

2   内閣総理大臣は、対応措置のいずれかを実施することが必要であると認めるときには、当該対応措置を実施すること及び当該対応措置に関する基本計画(基本計画)の案につき閣議の決定を求めなければならず、また、対応措置を外国の領域で実施する場合には、当該外国(イラクにあっては、政令で定める国際連合の総会等の関係機関の決議に従ってイラクにおいて施政を行う機関を含む)及び人道復興関係国際機関等の関係機関と協議して、実施する区域の範囲を定めるものとすること。

 

3   内閣総理大臣は、基本計画の決定又は変更があったときはその内容を、基本計画に定める対応措置が終了したときはその結果を、遅滞なく国会に報告しなければならないこととする。

 

4   内閣総理大臣は、基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する対応措置については、当該対応措置を開始した日から20日以内に国会に付議して、当該対応措置の実施につき国会の承認を求めなければならず、政府は、不承認の議決があったときには、速やかに、当該対応措置を終了させなければならないこととすること。

 

5   内閣総理大臣等は、基本計画に従い、対応措置として実施される業務としての物品の提供を行うものとすること。

 

6   内閣総理大臣は、基本計画に従い、対応措置として実施される業務としての役務の提供について、イラク復興支援職員(一般職に属する国家公務員のうち対応措置に従事する内閣府本府の職員をいう)にその実施を命ずるものとすること。

 

7   防衛庁長官は、基本計画に従い、対応措置として実施される業務としての役務の提供について実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとし、実施要項で指定された実施区域の全部又は一部がこの法律又は基本計画に定められた要件を満たさないものとなった場合には、速やかに、その指定を変更し、又はそこで実施されている活動の中断を命じなければならないこととすること。

 

8   対応措置の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員、イラク復興支援職員若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じて合理的に必要と判断される限度で、基本計画に定める装備である武器を使用することができることとすること。

 

である。(注1)

 

イラク人道復興支援特別措置法は2003年8月1日に公布され、同日施行され

た。

 

 

政府は9月14日に内閣官房、防衛庁、外務省の合同調査団をイラク及びその周辺国に派遣し、比較的治安の安定したイラク南東部を調査、11月15日には自衛隊の調査団が調査、12月3日に小泉純一郎内閣総理大臣に報告を提出した。政府はこれを受けて12月9日、基本計画を閣議決定し、12月19日、陸海空3自衛隊に派遣準備命令を発した。2月20日、海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」と、護衛艦「むらさめ」が出港、航空自衛隊は3月3日にクウェートからイラクに輸送活動を開始した。陸上自衛隊はイラク南東部サマーワを拠点に活動を開始した。