日本の国家安全保障とメディアに関する論文です。

「日本の国家安全保障」

2010-2018

田中大介

 

 

 

  日本の国家安全保障 

        2010-2018

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     田中大介

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2010年代の日本の安全保障

 

第1章      「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の報告書

 

第1節      沿革

 

2010年2月16日、鳩山由紀夫・内閣総理大臣は、2004年12月10日に安全保障会議と閣議で決定された「平成17年度以降に係る防衛計画の大綱」を「国家の安全保障にかかわる重要課題であり、政権交代という歴史的転換点を経て、新しい政府として十分に検討をおこなう必要がある。」として見直すことにし、「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」を開催することにした。座長には佐藤茂雄・京阪電気鉄道株式会社 代表取締役CEO、取締役会議長が就任し、委員には岩間陽子・政策研究大学院大学教授、白石隆・独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所所長、添谷芳秀・慶應義塾大学法学部教授、中西寛・京都大学大学院法学研究科教授、広瀬崇子・専修大学法学部教授、松田康博・東京大学東洋文化研究所准教授、山本正・財団法人日本国際交流センター理事長が就任した。専門委員には元・防衛事務次官の伊藤康成・三井住友海上火災保険株式会社顧問、前・駐米大使の加藤良三・日本プロフェッショナル野球機構コミッショナー、前・防衛省統合幕僚長の斎藤隆・株式会社日立製作所特別顧問が就任した。

「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」は2010年8月27日に報告書「新たな時代における日本の安全保障と防衛力の将来構想-『平和創造国家』を目指して-」を菅直人・内閣総理大臣に提出した。

 

第2節 主題

 

「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の報告書「新たな時代における日本の安全保障と防衛力の将来構想-『平和創造国家』を目指して-」は、日本が受動的な平和国家から能動的な「平和創造国家」へと成長することを主題として提言している。また従来、日本の防衛の基礎となっていた基盤的防衛力構想を否定し、動的抑止を提言している。

 

第3節   安全保障戦略

 

 日本の安全保障の目標として、日本の安全と繁栄のため、日本および世界共通の利益である市場へのアクセスとシー・レーンの安全維持、自由で開かれた国際システムの維持のため世界主要国と協力を深める必要があるとしている。そして、個人の自由と尊厳などの普遍的、基本的価値を守ることを 掲げている。

その目標のために日本があるべき姿は「平和創造国家」というアイデンティティであると主張している。

 

第4節   防衛力のあり方

 

 報告書の第2章では、従来の装備や部隊の量・規模に着目した「静的抑止」から、平素から警戒監視や領空侵犯対処を含む適時・適切な運用を行い高い部隊運用能力を明示する「動的抑止」の重要性が高まっていると主張、防衛体制の改変を謳っている。具体的には自衛隊にISR能力、即応性、機動性、日米の相互運用性を強化する必要性を指摘している。また、優先度の低い装備や態勢を見直す「選択と集中」が必要であるとした。

 

第5節   防衛力を支える基盤の整備

 

 少子高齢化時代における人的基盤整備、自衛隊階級・年齢構成のバランス、民間活力の有効活用、生産・技術基盤における「選択と集中」のための「防衛産業・技術戦略」の明示、国際的な技術革新の流れから取り残されないための武器禁輸政策見直し、国民の支持拡大のための正確な情報、適切な説明の提供をあげている。

 

第6節   安全保障戦略を支える基盤の整備

 

 安全保障戦略を支える基盤として具体的に、国家的な緊急事態に際して今の機構が十全に機能発揮するかの検証・準備、内閣の安全保障機構が国家安全保障戦略を策定する態勢となるような実効性のある制度の準備、内閣のインテリジェンス能力向上、宇宙・サイバー空間の状況監視、ヒューミント能力強化、衛星システム整備、海洋監視能力向上、他国との情報協力に必要な情報保全のための秘密保護法制の必要性、懇談会方式ではない常設の有識者会議による安全保障対話の継続的な作業、政府部内の協力、中央・地方の協力、NGOとの民軍協力の具体的な積み上げ、オール・ジャパンの平和構築能力、自衛権に関する解釈の再検討、PKO参加五原則の修正、知的基盤の充実をあげている。

 

第7節   報告書の状況

 

 従来の装備や部隊の量・規模に着目した「静的抑止」から、平素から警戒監視や領空侵犯対処を含む適時・適切な運用を行い高い部隊運用能力を明示する「動的抑止」の重要性が高まっている、と報告書はしてきしているが、従来の日本の防衛において、自衛隊はすでに実行している。防衛力増強に踏み切れない方便である。経済や外交にも不可欠な軍事に正対していない。

 一方で、数多くの重要な有益な提言もあるが、今までの国防に関する懇談会でも多様な提言がなされてきたが、ほとんど生かされることなく無視されてきた。

 

第2章      平成23年度に係る防衛計画の大綱

 

第1節      決定

 

 2010年(平成22年)12月17日、平成23年度以降に係る防衛計画の大綱が安全保障会議と閣議で決定された。2004年(平成16年)12月10日付け閣議決定の「平成17年度以降に係る防衛計画の大綱」は平成22年度限りで廃止されることとなった。

 

第2節      我が国の安全保障における基本理念

 

 我が国の安全保障において、三つの目標を掲げている。第一の目標は、「我が国に直接脅威が及ぶことを防止し、脅威が及んだ場合にはこれを排除するとともに被害を最小化すること」、「我が国の平和と安全及び国民の安心・安全を確保すること」としている。第二の目標は、「アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化とグローバルな安全保障環境の改善により脅威の発生を予防すること」、「自由で開かれた国際秩序を維持強化して我が国の安全と繁栄を確保すること」とした。第三の目標は、「世界の平和と安定及び人間の安全保障の確保に貢献すること」とした。これら目標を達成するため、我が国自身の努力、同盟国との協力、アジア太平洋地域における協力、グローバルな協力等多層的な安全保障を統合的に推進する、ことをあげている。

 また、専守防衛に徹する、他国に脅威を与えるような軍事大国とならない、という従来からの基本理念を継続し、また国連平和維持活動、非伝統的な安全保障問題への対応に積極的に取り組む、としている。

 

第3節      我が国を取り巻く安全保障環境

 

 我が国を取り巻く安全保障環境として、主要国間の大規模紛争の蓋然性は低下する、地域紛争や武力紛争に至らない対立や紛争(グレーゾーンの紛争)は増加傾向にあると指摘している。

アジア太平洋地域、我が国周辺地域については依然として核戦力を含む大規模な軍事力が集中し、領土や海洋をめぐる問題、朝鮮半島や台湾海峡の問題など不透明・不確実な要素が残されていると指摘した。

国別の問題としてはまず、北朝鮮があげられている。北朝鮮の大量破壊兵器、弾道ミサイルの開発、配備、核酸の問題、大規模な特殊部隊の保持など、地域の安全保障の喫緊かつ重大な不安定要因、深刻な課題としている。

中国については、国防費の継続的な増加、核・ミサイル戦力や海・空軍を中心とした軍事力の広範かつ急速な近代化、戦力を遠方に投射する能力の強化、周辺海域において活動を拡大・活発化させており、「地域・国際社会の懸念事項」と指摘している。

ロシアについては、軍事活動は引き続き活発化の傾向にある、としている。

米国はこのような安全保障環境にたいして日本、韓国、オーストラリア等の同盟国及びパートナー国との関係を一層重視して、この地域への関与を強めていると指摘している。

大綱は、こうした地域、各国の状況から、大規模着上陸侵攻等の我が国の存立を脅かすような本格的な侵攻事態が生起する可能性は低いとしている。一方で、多様で複雑かつ重層的な安全保障課題、不安定要因を起因とする各種事態があるとし、的確な対応を求めている。またグローバルな安全保障課題に対して、同盟国、友好国と協力して積極的に取り組むことを求めている。

 

第4節      我が国の安全保障の基本方針

 

 我が国自身の努力として、情報収集・分析能力の向上と情報共有、情報保全体制の強化、宇宙開発と利用の推進、サイバー攻撃への対処態勢及び対応能力の強化、国や地方の各機関の連携、国家安全保障に関する関係閣僚間調整と内閣総理大臣への助言等を行う組織の設置、PKOの実態に即した参加の在り方の検討、国民の理解を得るための努力、対外情報発信の強化、などをあげている。

 我が国の防衛力については、従来の基盤的防衛力構想ではなく、防衛力の運用に着眼した動的な抑止力を重視する動的防衛力とすることになった。事態に迅速かつシームレスに対応するため、総合的な部隊運用能力の重要性を指摘している。また、防衛力を単に保持することではなく、平素から情報収集・警戒監視・偵察活動を含む我が国の意思と高い防衛能力の明示をすることが抑止力の信頼性を高めると主張している。また厳しい財政事情を踏まえ、本格的な侵略事態への備えとして保持してきた装備、人員、編成、配置等を抜本的に見直し効率化・合理化し、さらに真に必要な機能への資源の集中と選択を求めている。

 同盟国との協力については、日米同盟は不可欠であるとし、深化・発展させていく、としている。

 国際社会における多層的な安全保障協力では、韓国、オーストラリアとの協力の強化、ASEANとの安全保障協力の維持・強化、海上交通の安全確保等でインドなどとの協力強化を実行するとしている。ロシア、中国とは信頼関係の増進、戦略的互恵関係の構築、非伝統的安全保障分野での協力関係の構築・発展をあげている。

 

第5節      防衛力の役割

 

防衛力の役割として、平素から我が国及びその周辺において常時継続的な情報収集・警戒監視・偵察活動による情報優越を確保するとともに、各種事態の展開に応じ迅速かつシームレスに対応することによる実効的な抑止及び対処をすること、周辺海空域の安全確保、島嶼部に対する攻撃への対応、サイバー攻撃への対応、ゲリラや特殊部隊による攻撃への対応、弾道ミサイルへの対応、複合事態への対応、大規模・特殊災害への対応、をあげている。島嶼部に対する攻撃への対応では、機動運用可能な部隊の迅速な展開と巡航ミサイル対処など島嶼周辺の防空態勢の確立、周辺海空域における航空優勢及び海上輸送路の安全の確保を求めている。ゲリラや特殊部隊による攻撃への対応では、即応性の高い部隊による迅速かつ柔軟な対応、沿岸部での潜入阻止を求めている。

防衛力の役割を実効的に果たし得るための自衛隊の態勢は、即応態勢、統合運用態勢、国際平和協力活動の態勢が必要としている。即応態勢のためには基地機能の抗たん性の確保、燃料、弾薬の確保が必要としている。

 

第6節      自衛隊の体制 

 

冷戦型装備・編成を縮減し、地理的配置を見直すとしている。特に、警戒監視、養生哨戒、防空、弾道ミサイル対処、輸送、指揮通信を重点整備するとしている。また各自衛隊の予算配分の見直し、陸上自衛隊の指揮・管理機能の効率化にも言及している。本格的な侵略事態への備えについては、不確実な将来情勢の変化に対応するための最小限の専門的見地や技能の維持に必要な範囲に限り保持する、だけにとどまっている。島嶼部における対応能力の強化では、必要最小限の部隊を新たに配置するとともに、部隊の機動力、輸送能力の整備を掲げている。

 

第7節      陸上自衛隊の体制

 

 高い機動力や警戒監視能力を備え、各地に迅速に展開することが可能で、かつ国際平和協力活動等多様な任務を効果的に遂行し得る部隊を、地域の特性に応じて適正に配置することが求められている。また、航空輸送、空挺、特殊武器防護、特殊作戦、国際平和協力活動に対応し得る、専門的機能を備えた機動運用部隊の保持を訴えている。

 

第8節      海上自衛隊の体制

 

 周辺海域の防衛や海上交通の安全確保及び国際平和協力活動を実施し得るよう、機動的に運用する護衛艦部隊及び艦載回転翼哨戒機部隊の保持、増強された潜水艦部隊の保持、情報収集・警戒監視を平素から我が国周辺海域で広域にわたり実施する固定翼哨戒機部隊保持が指摘された。また護衛艦部隊の当該艦艇部隊には弾道ミサイル攻撃から我が国全体を多層的に防護し得る機能を備えたイージス・システム搭載護衛艦の保持がうたわれている。

 

第9節      航空自衛隊の体制

 

 まず、わが国周辺のほぼ空域を常時継続的に警戒監視するとともに、我が国に飛来する弾道ミサイルを探知・追尾するほか、必要とする場合には警戒管制を有効に行い得る航空警戒管制部隊の保持がうたわれた。動的抑止重視の現れである。そして能力の高い新戦闘機を保有する戦闘機部隊の保持が訴えられている。そして、航空偵察部隊、航空輸送部隊、空中給油・輸送部隊の順で保持があげられている。

 また、弾道ミサイル防衛のための地対空誘導弾部隊の保持が定められた。

 

第10節 防衛力の能力発揮のための地盤

 

 人的資源の効果的な活用として、過酷又は危険な任務の遂行に対しての適切な充実・強化、人員規模及び人員構成の適切な管理による精強性の確保、人件費の抑制があげられている。

 装備品取得の一層の効率化のため、短期集中調達、一括調達等効率的な調達方式の一層の採用、ライフサイクルコストの抑制、外部監査制度の充実による調達の透明性の向上、などをあげている。また防衛生産・技術基盤の選択と集中及びそのための戦略策定、国際共同開発・生産への参加などの方策、が求められている。

 

第11節 平成23年度に係る防衛計画の大綱での陸上自衛隊

 

平成23年度に係る防衛計画の大綱における陸上自衛隊の編成定数は15万4000人とされた。平成17年度に係る防衛計画の大綱から1000人削減されている。常備自衛官定員14万7000人で、1000人削減された。即応予備自衛官定員数は7000人とされ、前回の平成17年度に係る防衛計画の大綱と変わらない数となっている。

平素地域配備する部隊は8個師団・6個旅団となり、前回と同一である。機動運用部隊は中央即応集団と1個機甲師団とされた。前回は1個機甲師団が先に扱われていたが、機動性重視と中央即応集団発足により、中央即応集団が先に扱われた。地対空誘導弾部隊は7個高射特科群/連隊とされた。前回は8個高射特科群であった。

主要装備である戦車は約400両とされた。前回の600両からの3分の2という大幅な削減である。火砲は約400門/門とされた。こちらも前回の600門/両からの3分の2になる大幅な削減である。

 

 

 

 

第1項    

 

平成17年防衛計画の大綱における防衛力 陸上自衛隊

 

 増加された常備自衛官定員数は北朝鮮などのゲリラ・コマンド部隊対処に必要なマン・パワーの確保のため増加された。平時地域に配備する部隊は8個師団・6個旅団とされた。第1師団(南関東・静岡)、第2師団(道北)、第3師団(近畿)、第4師団(九州北部)、第6師団(東北南部)、第7師団(機動運用部隊・機甲師団)、第8師団(九州南部)、第10師団(中部)と第5旅団(道東)、第9旅団(東北北部)、第11旅団(道央、道南)、第12旅団(北関東・甲信越)、第13旅団(中国)、第14旅団(四国)である。沖縄は第1混成団が防衛するが、将来的には第15旅団に格上げされることになった。第9師団は第9旅団になる予定だった。

 機動運用部隊には第7師団(1個機甲師団)、中央即応集団があてられた。

第7師団は第3世代戦車の三菱重工業 90式戦車を装備する部隊である。

三菱重工業90式戦車は均質圧延防弾鋼、チタニウム合金、セラミックで構成される複合装甲、日本製鋼所でライセンス生産されるドイツ・ラインメタルの120mm滑腔砲、パッシブ赤外線暗視装置、レーザー照準装置、デジタル・コンピューターなどの最新センサーと演算装置を装備する。三菱重工業 90式戦車には三菱重工業 89式装甲戦闘車(均質圧延防弾鋼装甲、エリコンKDE35mm機関砲と川崎重工業79式対舟艇対戦車誘導弾を装備、乗員3名・搭乗普通科隊員7名)、三菱重工業 73式装甲車(アルミニウム合金装甲、乗員3名・搭乗普通科隊員8名)、三菱重工業 87式自走高射機関砲(エリコンKDA35mm機関砲とレーダー、赤外線映像装置、TVカメラ、レーザー距離測定装置を装備)などが随伴し三菱重工業 90式戦車を守る。

第7師団(本部:北海道・千歳駐屯地)は北部方面隊に配備され、第71戦車連隊、第72戦車連隊、第73戦車連隊を核に、第7化学防護隊、第7飛行隊、第7偵察隊、第7通信大隊、第7施設大隊、第7後方支援大隊、第7高射特科大隊、第7砲兵連隊、第11普通科連隊を擁する。

 

中央即応集団は第1空挺団、中央即応連隊、中央特殊武器防護隊、第1ヘリコプター団、特殊作戦群、を隷下に置く。

 

第1空挺団は千葉県習志野駐屯地に駐屯し、団本部、団本部中隊(偵察小隊、降下誘導小隊)、第1普通科大隊、第2普通科大隊、第3普通科大隊、空挺特科大隊、空挺後方支援隊、空挺通信中隊、空挺施設中隊、空挺教育隊、対テロ中隊、からなる2000人の部隊である。(注2)

第1空挺団の隊員の多くは空挺レンジャー資格保有者で占められ精強を誇る。

 

 

 中央即応連隊は2008年3月26日に栃木県宇都宮駐屯地で正式に発足した。国内での各方面隊への増援や、国際平和協力活動における先遣隊の役割を果たす。隊員はレンジャー資格保有者や第1空挺団出身者が多く、錬度も非常に高い。700人で構成され、本部管理中隊と3個普通科中隊からなる。

 

 中央特殊武器防護隊は第101特殊武器防護隊として2007年3月28日に埼玉県大宮駐屯地で発足した。2008年3月26日に中央特殊武器防護隊に名称変更している。

 基になったのは第101化学防護隊である。中央特殊武器防護隊は隊本部、本部中隊、第102特殊武器防護隊と第103特殊武器防護隊を隷下に置く。装備は化学防護車(82式指揮通信車ベース)、化学剤監視装置、除染車3型B、除染装置、携帯除染器2型、発煙機3型、生物偵察車、液体散布車、生物剤対処用衛生ユニット、防護マスク4型、化学防護衣4型、空気マスク、火災防護衣、ガス検知器2型、CR警報機、化学剤検知器AP2C、線量計3型、携帯線量計セット、携帯生物検知器、生物剤警報器、携帯気象計1-3型、携帯気象計2型、中性子線用線量率計などである。(注1)

 対特殊武器衛生隊は朝霞駐屯地に駐屯し、方面隊を支援する。

 

 

 第1ヘリコプター団は千葉県木更津駐屯地に駐屯し、団本部、本部管理中隊、第1輸送ヘリコプター群(第103飛行隊、第104飛行隊、第105飛行隊、第106飛行隊)、第102飛行隊、特別輸送ヘリコプター隊、第1ヘリコプター野整備隊、連絡偵察飛行隊を隷下に置く。

 第1ヘリコプター群にはボーイングCH-47JAチヌーク輸送ヘリコプターが配備され、大量輸送を行う。第102飛行隊にはユナイテッド・テクノロジーズ・シコルスキーUH-60JA多用途ヘリコプター、マクドネル・ダグラスOH-6D観測ヘリコプターが配備される。ユナイテッド・テクノロジーズ・シコルスキーUH-60JA多用途ヘリコプターは、合衆国陸軍のユナイテッド・テクノロジーズ・シコルスキーMH-60L特殊作戦ヘリコプターに匹敵する事実上の特殊作戦ヘリコプターである。第102飛行隊は合衆国陸軍の第160特殊作戦航空連隊「ナイト・ストーカーズ」のように、特殊作戦を航空支援する部隊となる。特別輸送ヘリコプター隊はユーロコプターEC225LP輸送ヘリコプターを装備する要人輸送部隊である。連絡偵察飛行隊は三菱重工業LR-1連絡偵察機、レイセオン・エアクラフト(ビーチ・エアクラフト)LR-2連絡偵察機で偵察、連絡を行う。(注3)

 

陸上自衛隊特殊作戦群は2004年3月、千葉県・習志野駐屯地で正式に発足した。

陸上自衛隊特殊作戦群は対テロ、対ゲリラ、対コマンド/対特殊部隊を担当する陸上自衛隊最強の部隊である。陸上自衛隊特殊作戦群は戦闘部隊が200人、支援部隊が100人の300人と発表された。

陸上自衛隊特殊作戦群は当初、空挺レンジャー資格保有者、部隊レンジャー資格保有者を中心に選抜された。その後も空挺レンジャー資格保有者、部隊レンジャー資格保有者を中心に構成されるものの、レンジャー資格が無くても特殊作戦群のセレクションに呼ばれることがある。

 

 

米ソ冷戦時代にもテロ・ゲリラ・コマンド・特殊部隊の危機は存在していたのだが、テロ対処・ゲリラ対処・特殊部隊/コマンド対処には治安の要素があるため、陸上自衛隊が任務とすることに警察庁の反対があった。 

陸上自衛隊が特殊部隊を創設しテロ対処・ゲリラ対処・特殊部隊/コマンド対処を実施すると、左派マス・メディア、左派市民運動家、左派政治家が「国民に銃を向けるのか」、「戦争の準備をしている」、「市民が巻き込まれる」という反対の声を上げる可能性が高かった。

陸上自衛隊がテロ対処・ゲリラ対処・特殊部隊/コマンド対処を本格化させること、特殊部隊を創設することは躊躇われてきた。

しかし、ソ連が崩壊し、機甲部隊の衝突の可能性が低くなったため、相対的にテロ対処・ゲリラ対処・特殊部隊/コマンド対処の比重は高まった。

また、1992年からはじまった北朝鮮による大量破壊兵器保有に対する国際的な制裁問題で、1994年、北朝鮮の暴発・崩壊の可能性が高まり、世界有数の特殊部隊・コマンド部隊、ゲリラ部隊・テロ部隊を有する北朝鮮の脅威が切迫したものとなった。

以前からソ連の日本進攻時に真っ先に投入されるソ連軍参謀総局特殊任務部隊(スペツナズ)を考慮はしていたが、こうした経緯で防衛庁、陸上自衛隊のなかでもゲリラ・コマンド対処の重要性が再認識された。

陸上自衛隊は第1空挺団にゲリラ・コマンド研究班を設立、合衆国陸軍特殊作戦コマンド、合衆国陸軍特殊部隊コマンド、合衆国陸軍特殊部隊群(グリーン・ベレー)、合衆国陸軍第1特殊部隊作戦分権隊D(デルタ・フォース)、ジョン・F・ケネディ特殊戦センター・アンド・スクールに要員を派遣し、部隊運用、作戦、訓練のノウハウを学んだ。

長期間の準備を経て遂に2004年3月、陸上自衛隊特殊作戦群が正式に発足した。

 

 

陸上自衛隊特殊作戦群の初代群長の荒谷卓1等陸佐(当時)はドイツ軍特殊作戦コマンドKSKから学ぶためドイツ連邦軍指揮大学に留学し、その後ノース・キャロライナ州フォート・ブラッグの合衆国陸軍特殊作戦コマンド、ジョン・F・ケネディ特殊戦センター・アンド・スクールに留学し、特殊作戦の基礎から学び陸上自衛隊特殊作戦群群長となった。

 

 

2002年3月には西部方面隊直轄の組織として西部方面普通科連隊が長崎県・相浦駐屯地で発足した。島嶼部、山岳の多い西部方面隊の地形に対応する部隊で、敵が占領・潜伏した離島の奪還、情報収集、テロ・ゲリラ・特殊部隊/コマンド対処がおもな任務である。水路からの潜入、山中機動、ヘリコプターを使っての空路からの侵入など難しい戦術をこなす。レンジャー資格保有者が多数を占める。一方、新兵も比較的多く採っている。(注4)

西部方面普通科連隊は本部管理中隊と3個普通科中隊からなる660人の連隊である。非常に重い81mm迫撃砲を担いでの険しい山中の機動や、装具を身につけての長距離水泳での水路侵入など任務は過酷を極める。

 

 

北海道の防衛を担う北部方面隊(総監部:北海道・札幌駐屯地)には、2個師団・2個旅団が置かれた。

機動運用・機甲師団とされた第7師団と、歩兵師団である第2師団、歩兵旅団の第5旅団、第11旅団がある。

第2師団(本部:北海道・旭川駐屯地)は、第2戦車連隊、第3普通科連隊,第25普通科連隊,第26普通科連隊を基幹に道北に配置される。

第5旅団(本部:北海道・帯広駐屯地)は、第5戦車大隊、第5特科隊、第4普通科連隊、第6普通科連隊、第27普通科連隊を基幹に道東に配置される。

第11旅団(本部:北海道・真駒内駐屯地)は道央、道南を防衛地域とし、第11戦車隊、第11特科隊、第10普通科連隊、第18普通科連隊、第28普通科連隊を基幹とした部隊である。

第1戦車群は90式戦車、74式戦車を装備する精強な部隊であったが、徐々に規模を縮小された。

また、第1特科団にはLTV/ローラル・ヴォート・システムズM270多連装ロケット発射システム、ゼネラル・ダイナミクスM110 203mm自走りゅう弾砲、88式地対艦誘導弾が配備され、強力な火力で敵を撃滅することが期待された。

東北は東北方面隊(総監部:宮城県・仙台駐屯地)が担当する。

南東北は第6師団(本部・神町駐屯地)が防衛する。第20普通科連隊、第22普通科連隊、第44普通科連隊を基幹とした約9000名の甲師団である。

北東北は第9師団(本部:青森県・青森駐屯地)が、第5普通科連隊、第21普通科連隊、第39普通科連隊を基幹とする師団が置かれた。

第9師団は第9旅団となる計画だった。

関東・甲信越・静岡の防衛は東部方面隊(総監部:埼玉県・朝霞駐屯地)が担当した。

南関東と山梨県、静岡県は第1師団(本部・市ヶ谷駐屯地)が担当し、即応近代化師団の政経中枢師団とされた。第1普通科連隊、第31普通科連隊、第32普通科連隊、第34普通科連隊、第1戦車大隊を基幹とする師団である。

北関東と新潟県は第12旅団(本部・相馬原駐屯地)がおかれた。第2普通科連隊、第13普通科連隊、第30普通科連隊、第12ヘリコプター隊を基幹とする旅団であった。

第12師団から戦車と普通科が大幅削減され、ヘリコプターを大幅増強する空中機動旅団となる予定だった第12旅団だが、ヘリコプターは若干の増加にとどまり、戦車と普通科が大幅に削減されただけの軍縮となってしまった。

日本の面積の30%を防衛するのは中部方面隊(総監部:兵庫県・伊丹駐屯地)である。西部本州と四国が担当地域である。

近畿地方を防衛するのは第3師団(本部:兵庫県・千僧駐屯地)で、第7普通科連隊、第37普通科連隊、第36普通科連隊、第3戦車大隊を基幹とする師団で、第45普通科連隊が廃止され定員・9100人の甲師団から定員・7000人の即応近代化師団の政経中枢師団となった。

中部地方を防衛するのは第10師団(本部:愛知県・守山駐屯地)で、第14普通科連隊、第33普通科連隊、第35普通科連隊第10戦車大隊などに加え、第49普通科連隊が新設され約8800人の戦略機動師団となった。有事の際、第10師団は即応近代化師団の戦略機動師団として政経中枢師団の第1師団、第3師団を支援することになった。

中国地方を防衛するのは第13旅団(本部:広島県・海田市駐屯地)で、第8普通科連隊、第17普通科連隊、第47普通科連隊、第13戦車大隊から規模が大幅に縮小された第13戦車中隊、第13特科連隊から規模大幅に縮小された第13特科隊を基幹とする4100人の旅団である。

四国を防衛する第14旅団(本部:香川県・善通寺駐屯地)は、第15普通科連隊に加えて第50普通科連隊が新設された。

 九州・沖縄を防衛するのは西部方面隊(総監部:熊本県・健軍駐屯地)である。

北部九州を防衛するのは第4師団(本部:福岡県・福岡駐屯地)で、第16普通科連隊、第19普通科連隊、第40普通科連隊、第41普通科連隊を基幹部隊とし、さらに対馬警備隊が対馬海峡を警戒する。第40普通科連隊、第41普通科連隊は、北朝鮮ゲリラ・コマンド部隊に対処するため、早い時期から市街地における戦闘を想定した訓練を開始している。

南部九州を防衛するのは第8師団(本部:熊本県・北熊本駐屯地)で、第12普通科連隊、第24普通科連隊、第42普通科連隊、第43普通科連隊を基幹にしている。

西部方面隊には西部方面普通科連隊も創設された。

沖縄は、第1混成群と第101飛行隊を基幹に防衛を担当していた第1混成団(本部:沖縄県・那覇駐屯地)が第15旅団に昇格する。

 

普通科部隊の装備は、豊和工業 89式小銃(5,56mm×45弾)、豊和工業 64式小銃(7,62mm×51弾)、5,56mm機関銃MINIMI(ファブリック・ナショナールFN MINIMI軽機関銃を住友重機械工業でライセンス生産、5,56mm×45弾)、住友重機械工業 62式7,62mm機関銃(7,62mm×51弾)、12,7mm重機関銃(ファブリック・ナショナール ブローニングM2機関銃、住友重機械工業でライセンス生産、12,7mm×99弾)、84mm無反動砲(ボフォース カール・グスタフM2無反動砲)、110mm個人携帯対戦車榴弾(ダイナマイト・ノーベル パンツァーファウスト3)、ロイヤル・オードナンス 81mm迫撃砲L16、トムソン・ブラント 120mm迫撃砲RT、ミネベア 9mm拳銃(シュバイツイッシュ・インダストリー・ゲゼルシャフト/SIGザウエル SIG P220拳銃をミネベアでライセンス生産、9mm×19弾)、ミネベア 9mm機関拳銃(9mm×19弾)、豊和工業 96式40mm自動てき弾銃、川崎重工業 01式軽対戦車誘導弾(赤外線画像誘導)、川崎重工業 96式多目的誘導弾システム(光ファイバー・トラック・ヴィア・ミサイル誘導)、川崎重工業 87式対戦車誘導弾(セミ・アクティブ・レーザー誘導)、川崎重工業 79式対舟艇対戦車誘導弾(光学照準・有線誘導)、が主な装備である。

 

特科部隊の装備には、ラインメタル/ヴィッカーズ・シップビルディング・アンド・エンジニアリング・リミテッド/OTOメララ FH-70 155mm榴弾砲、LTV/ローラル・ヴォート・システムズ M270多連装ロケット発射システム(MLRS)、日本製鋼所/三菱重工業 99式自走155mm榴弾砲、日本製鋼所/三菱重工業 75式自走155mm榴弾砲、ゼネラル・ダイナミクス M110 203mm自走榴弾砲、日立製作所 87式砲側弾薬車、日立製作所 99式弾薬給弾車、などがある。

 

施設科部隊の装備は、三菱重工業 グレーダ、日立建機 油圧ショベル、コマツ 油圧ショベル、キャタピラー 油圧ショベル、神戸製鋼所コベルコ建機 油圧ショベル、コマツ 掩体掘削機、タダノ トラック・クレーン、神戸製鋼所コベルコ建機 トラック・クレーン、コマツ 中型ドーザ、キャタピラー 中型ドーザ、コマツ 大型ドーザ、キャタピラー 大型ドーザ、コマツ 75式ドーザ、諸岡 資材運搬車、オノデラ 資材運搬車、IHI/IHI建機 小型ショベルドーザ、長野工業 小型ショベルドーザ、ヤンマー建機 小型ショベルドーザ、クボタ 小型ショベルドーザ、コマツ 施設作業車、川崎重工業 バケットローダ(装輪式)、川崎重工業KCM バケットローダ(装輪式)、三井三池製作所 坑道掘削機、住友軽金属/ナルコ岩井 81式自走架柱橋、日立製作所 07式機動支援橋、三菱重工業 91式戦車橋、日立製作所 92式浮橋、三菱自動車工業 92式浮橋、三菱ふそうトラック・バス 92式浮橋、ジャパンマリンユナイテッド/JMUディフェンスシステムズ 92式浮橋、今治造船 92式浮橋、石原造船 92式浮橋、飯作造船 92式浮橋、住友軽金属/ナルコ岩井 軽徒橋、ウィリアム・フェアリー パネル橋MGB、ジャパンマリンユナイテッド/JMUディフェンスシステムズ 94式水際地雷敷設車、IHI/IHIエアロスペース 92式地雷原処理車、川崎重工業 89式地雷原探知機セット、三菱重工業 92式地雷原処理ローラ、三菱電機 対人障害システムズ、石川製作所 対人障害システム、アイチコーポレーション/いすゞ自動車 道路障害作業車、日立建機 83式地雷敷設装置、富士重工業SUBARU 87式地雷敷設装置(ヘリコプター用)、IHI/IHIエアロスペース 70式地雷爆破装置、などがある。

 

機甲部隊には、三菱重工業 90式戦車(重量50,2トン、V10水冷ディーゼル・エンジン/1500馬力、複合装甲、ラインメタルRh120 120mmL44滑腔砲/DM33APFSDS弾・JM33APFSDS弾、パッシブ赤外線暗視装置、光学照準システム、デジタル・コンピューター、YAGレーザー距離測定装置)、三菱重工業   74式戦車(重量38,5トン、V8空冷ディーゼル・エンジン/720馬力、均質圧延防弾鋼装甲、ヴィッカーズL7 105mmライフル砲/93式APFSDS弾、アクティブ赤外線暗視装置、光学照準システム、アナログ・コンピューター、ルビー・レーザー距離測定装置)、89式装甲戦闘車(均質圧延防弾鋼装甲、エリコンKDE35mm機関砲と川崎重工業79式対舟艇対戦車誘導弾を装備、乗員3名・搭乗普通科隊員7名)、三菱重工業 73式装甲車(アルミニウム合金装甲、乗員3名・搭乗普通科隊員8名)、三菱重工業 87式自走高射機関砲(エリコンKDA35mm機関砲とレーダー、赤外線映像装置、TVカメラ、レーザー距離測定装置を装備)などが配備される。

また、2010年に10式戦車として制式採用されるTK-Xが開発中であった。 

陸上自衛隊が導入する三菱重工業 10式戦車(重量40トン、戦闘重量44トン、V8水冷ディーゼル・エンジン/1200馬力、モジュール複合装甲、日本製鋼所120mmL44滑腔砲/DM33APFSDS弾・JM33APFSDS弾・10式APFSDS弾、パッシブ赤外線暗視装置、デジタル光学照準システム、データ・リンク、基幹連隊指揮統制システム、レーザー距離測定装置、)は、データ・リンクやデジタル光学照準システムなど新機軸の技術が多く取り入れられたが90式戦車より価格が抑えられた。10式戦車は重機を運搬する民間のトランスポーターを利用することを想定している。民間のトランスポーターは積載量40トンのものが多いので、10式戦車の重量はモジュール複合装甲を取り外した状態で40トン以内に抑えることとした。

10式戦車は74式戦車の後継とされた。

 

方面隊の防空として第1高射特科群、第2高射特科群、第3高射特科群、第4高射特科群、第5高射特科群、第6高射特科群、第7高射特科群、第8高射特科群がある。

高射群特科の装備に、三菱電機 03式中距離地対空誘導弾(アクティブ・レーダー誘導)、レイセオン/三菱電機/東芝 MIM-23改良ホーク地対空誘導弾(セミ・アクティブ・レーダー誘導)が導入されている。

03式中距離地対空誘導弾はレイセオン/三菱電機/東芝 MIM-23改良ホーク地対空誘導弾を更新するものとされていた。03式中距離地対空誘導弾は当初、1年につき0,5個群(2個中隊)の配備予定で、8個高射特科群のMIM-23改良ホーク地対空誘導弾を約16年前後をかけてゆっくりと置き換える予定されていたが、次第に1年につき0,25群(1個中隊)の配備に変更され、当初予定から配備数が半減、03式中距離地対空誘導弾の配備がほとんど進まなかった。

配備が進まない03式中距離地対空誘導弾、防空能力を高めるため03式中距離地対空誘導弾(改)の開発が進められた。

03式中距離地対空誘導弾(改)は、コスト削減とともに、巡航ミサイル・空対地ミサイル対処能力を高めている。

 

師団・旅団の防空として、東芝 81短距離地対空誘導弾(赤外線誘導)、東芝 81式短距離地対空誘導弾(C)(電波弾:アクティブ・レーダー誘導、光波弾:赤外線可視光画像誘導)が配備された。

東芝 81式短距離地対空誘導弾の後継に2011年に制式採用される東芝 11式短距離地対空誘導弾が開発されていた。11式短距離地対空誘導弾はアクティブ・レーダー誘導で、アクティブ・フェイズド・アレイ・レーダーで捜索する。

 

近接防空には、東芝 93式近距離地対空誘導弾(赤外線誘導+CCDカメラ画像誘導)、東芝 91式携帯地対空誘導弾(赤外線誘導+CCDカメラ画像誘導)が配備されている。FIM-92スティンガー携帯地対空ミサイル(赤外線誘導+紫外線誘導)、エリコン L90 35mm高射機関砲も配備されていたが次第に数を減らしている。

 

レーダーには、NEC 85式地上レーダー装置JTPS―P11、NEC 地上レーダー装置1号(改)JTPS-P23、富士通 地上レーダー装置JPPS-P10、富士通 地上レーダー装置(改)JPPS-P24、東芝 対迫レーダー装置JMPQ-P13、東芝 対迫レーダー装置JTPS-P16、三菱電機 低空レーダー装置JTPS―P18、三菱電機 対空レーダー装置JTPS-P14、三菱電機 対空レーダー装置JTPS-P25、航法支援システムには東芝 着陸誘導装置JTPN―P20、国際電気 航法援助装置JMRN-A2、がある。

 

汎用ヘリコプターには、ベル・ヘリコプター・テキストロン UH-1Hイロコイ汎用ヘリコプター、ベル/SUBARU富士重工業 UH-1J汎用ヘリコプター、ユナイテッド・テクノロジーズ・シコルスキー UH-60JAブラック・ホーク汎用ヘリコプター、がある。

ベル・ヘリコプター・テキストロン UH-1Bイロコイ汎用ヘリコプターは19998年に全機退役し、陸上自衛隊ではベル・ヘリコプター・テキストロン UH-1Hイロコイ汎用ヘリコプター、ベル/富士重工業 UH-1J汎用ヘリコプターが主力になった。

 

陸上自衛隊ユナイテッド・テクノロジーズ・シコルスキーUH-60JAブラック・ホーク汎用ヘリコプターは、合衆国陸軍ユナイテッド・テクノロジーズ・シコルスキーUH-60A/L/Mブラック・ホーク汎用ヘリコプターと違い、合衆国陸軍ユナイテッド・テクノロジーズ・シコルスキーMH-60L/Mブラック・ホーク特殊作戦ヘリコプターのように、赤外線暗視装置、気象レーダー、増加燃料タンクを装備するため高価になり、さらに財務省(大蔵省)の単年度会計による少量生産・少数購入、防衛費縮減のための少量生産・少数購入のため価格がさらに高価になり、導入数が少ない。

 

 

 

観測ヘリコプターには、マクドネル・ダグラス OH-6Dカイユース観測ヘリコプター、川崎重工業 OH―1観測ヘリコプターがある。

マクドネル・ダグラス OH-6Dカイユース観測ヘリコプターは、ヒューズ500小型ヘリコプターとヒューズを買収したマクドネル・ダグラスMD500小型ヘリコプターがベースである。

合衆国陸軍では、マクドネル・ダグラスMD500小型ヘリコプター、MDヘリコプターズ MD500小型ヘリコプターをベースに、マクドネル・ダグラス MH-6リトル・バード特殊作戦ヘリコプター、マクドネル・ダグラスAH-6キラー・エッグ攻撃ヘリコプターを開発、合衆国陸軍第160特殊作戦航空連隊「ナイト・ストーカーズ」において使用している。

合衆国陸軍の観測ヘリコプターは、ベル・ヘリコプター・テキストロン OH-58Dカイオワ・ウォリアー観測ヘリコプターが主流で、後継としてシコルスキー・ボーイング   RAH-66コマンチ偵察攻撃ヘリコプター、ベル・ヘリコプター・テキストロン ARH-70武装偵察ヘリコプターが開発されていたが計画中止となった。

川崎重工業 ОH-1観測ヘリコプターは、川崎重工業が1990年代から開発していたもので、ヒンジレス・ローター・ハブ、繊維強化プラスティック複合材、ダクテッド・テイルローターなど新機軸の技術を採用し、ハワード・ヒューズ賞を受賞している。攻撃ヘリコプターと同じタンデム配置の座席、防弾構造コックピットとなっている。91式携帯地対空ミサイル4発を搭載できる。

 

輸送ヘリコプターには、川崎重工業/ボーイング・ヴァートル KV-107中型輸送ヘリコプター、ボーイング CH-47J/JA輸送ヘリコプターがあった。

川崎重工業/ボーイング・ヴァートル KV-107中型輸送ヘリコプターはヴァートルV-107中型輸送ヘリコプターを川崎重工業でライセンス生産したもので、合衆国海兵隊ではボーイング・ヴァートル CH-46シー・ナイト輸送ヘリコプターとして採用されていた。KV-107中型輸送ヘリコプターは2002年に全機退役している。

ボーイング CH-47J輸送ヘリコプターは、大型輸送ヘリコプターである合衆国陸軍 ボーイング CH-47Dチヌーク輸送ヘリコプターを川崎重工業でライセンス生産したものである。1984年から川崎重工業でライセンス生産を開始し、1986年から陸上自衛隊に配備された。その後、改良型のCH-47JA輸送ヘリコプターが導入される。

 

練習ヘリコプターは、マクドネル・ダグラス ОH-6D観測ヘリコプターを使用していたが、後継にエンストローム TH―480B練習ヘリコプターの採用が決まった。

エンストロームはその後、中国企業に買収される、倒産する、など紆余曲折があった。

政府専用ヘリコプターは、中型ヘリコプターであるアエロスパシアル AS332L政府専用ヘリコプターを導入していた。 AS332L政府専用ヘリコプターの後継にはユーロコプター EC225LP政府専用ヘリコプターが導入された。ユーロコプター EC225LP中型ヘリコプターはアエロスパシアル AS332L中型ヘリコプターの改良・発展型である。

連絡偵察機には、ビーチクラフト LR-2連絡偵察機、三菱重工業LR-1連絡偵察機、がある。

 

対戦車ヘリコプターには、ベル・ヘリコプター・テキストロン AH-1S(AH-1F)ヒューイ・コブラ攻撃ヘリコプター、ボーイングAH-64Dアパッチ・ロングボウ攻撃ヘリコプターがある。

ベル・ヘリコプター・テキストロン AH-1S(AH-1F)ヒューイ・コブラ攻撃ヘリコプターは、対地装備としてM197 20mm機関砲、BGM-71TOW空対地ミサイル8発、ハイドラ70ロケット弾38発を装備する。

ベル・ヘリコプター・テキストロン AH-1S(AH-1F)ヒューイ・コブラ攻撃ヘリコプターの後期導入型はAH-1S C-NITE攻撃ヘリコプターで、夜間作戦能力が大幅に向上している。

ボーイングAH-64Dアパッチ・ロングボウ攻撃ヘリコプターは、対地装備として、M230 30mm機関砲、AGM-114ヘルファイア空対地ミサイル8発とハイドラ70ロケット弾38発、またはAGM-114ヘルファイア空対地ミサイル16発とハイドラ70ロケット弾0発を装備する。対空装備としてAIM-92スティンガー空対空ミサイル2発を装備している。

 

装甲車には、三菱重工業 89式装甲戦闘車、三菱重工業 73式装甲車、三菱重工業 60式装甲車、コマツ 96式装輪装甲車、コマツ 87式偵察警戒車、コマツ 82式指揮通信車、がある。

戦術車には、トヨタ自動車 高機動車、がある。

小型戦術車には、三菱自動車工業 1/2トン・トラック、三菱自動車工業 73式小型トラック、がある。

新しい戦術車として、コマツ 軽装甲機動車が開発された。

コマツ 軽装甲機動車は、2001年度予算から計上され、配備された。軽装甲機動車は重量4,5トン、水冷ディーゼル・エンジン、160馬力、乗員4人で、普通科部隊の新たなる戦術に沿うものである。軽装甲機動車は普通科部隊の装甲化に大いに貢献することとなった。

戦術トラックには、トヨタ自動車 1・1/2トン・トラック、トヨタ自動車 1・1/2トン救急車、トヨタ自動車 73式中型トラック、いすゞ自動車 3・1/2トン・トラック、いすゞ自動車 3・1/2トン有蓋車、いすゞ自動車 3・1/2トンダンプ、いすゞ自動車 3・1/2トン水タンク車、いすゞ自動車 3・1/2トン燃料タンク車、いすゞ自動車 73式大型トラック、三菱自動車工業 7トン・トラック 三菱ふそうトラック・バス 7トン・トラック、三菱ふそうトラック・バス 特大型ダンプ、三菱自動車工業 74式特大型トラック、三菱自動車工業/三菱ふそうトラック・バス 特大型運搬車、三菱重工業 重装輪回収車、三菱重工業 重装輪回収車ベース派生型トラック、三菱自動車工業/三菱ふそうトラック・バス  73式特大型セミトレーラ、三菱ふそうトラック・バス 特大型セミトレーラけん引車、三菱自動車工業/三菱ふそうトラック・バス 重レッカ、三菱自動車工業/三菱ふそうトラック・バス 燃料タンク車(10000l航空用)、がある。

業務トラックには、いすゞ自動車 業務トラック、日野自動車 業務トラック、三菱自動車工業 業務トラック、三菱ふそうトラック・バス 業務トラック、日産ディーゼル工業 業務トラック、がある。

業務車には、日産自動車 業務車1号、トヨタ自動車 業務車1号、富士重工業SUBARU 業務車1号、日産自動車 業務車2号、トヨタ自動車 業務車2号、がある。

高官輸送車には、トヨタ自動車 業務車3号、日産自動車 業務車3号、がある。

人員輸送車には、日野自動車 人員輸送車1号、Jバス 人員輸送車1号、日産自動車 人員輸送車2号、三菱自動車工業 人員輸送車2号、トヨタ自動車 人員輸送車2号、がある。

オートバイには、川崎重工業 オートバイ(偵察用)、ヤマハ発動機 オートバイ(警務用)がある。

 

地対艦ミサイル部隊として、第1地対艦ミサイル連隊、第2地対艦ミサイル連隊、第3地対艦ミサイル連隊、第4地対艦ミサイル連隊、第5地対艦ミサイル連隊、第6地対艦ミサイル連隊がある。

地対艦ミサイル部隊には三菱重工業 88式地対艦誘導弾(慣性航法装置+プログラミング飛行システム+アクティブ・レーダー誘導)が導入された。88式地対艦誘導弾は慣性航法装置とともに、事前にプログラムされた経路を飛行し、終末はアクティブ・レーダー誘導となる。

88式地対艦誘導弾の後継として、88式地対艦誘導弾(改)が開発され、2012年に12式地対艦誘導弾として制式採用された。

 

陸上自衛隊特殊作戦群、第1空挺団、西部方面普通科連隊、第3師団、第6師団、第14旅団の順に対人狙撃銃が配備された。合衆国陸軍の制式狙撃ライフル・システムのレミントンM24 SWS(スナイパー武器システム)を対人狙撃銃として配備している。M24 SWSはレミントン M700ボルト・アクション・ライフル(7,62mm×51弾=.308ウィンチェスター弾)、光学照準器、レーザー距離測定装置、ギリースーツ、収納ケースを中心とした狙撃システムである。

 

 

 

 

第12節 平成23年度に係る防衛計画の大綱での海上自衛隊

 

護衛艦部隊は4個護衛隊群とされた。前回の平成17年度に係る防衛計画の大綱と同じである。潜水艦部隊は6個潜水隊とされ、前回より増加している。掃海部隊は1個掃海隊群とされた。哨戒機部隊は9個航空隊とされた。

主要装備では、護衛艦は48隻とされた。前回より1隻増加している。潜水艦は22隻と、前回より6隻増加している。作戦用航空機は約150機とされた。

 

 

 

 シー・レーン防衛の中心として、機動運用にあたる護衛艦部隊には4個護衛艦群が当てられている。1個護衛隊群には8隻の護衛艦と8機の対潜哨戒ヘリコプターが配備され、海上防衛を担っている。

護衛艦隊(神奈川県・横須賀基地)のもとに第1護衛隊群(横須賀基地)、第2護衛隊群(長崎県・佐世保基地)、第3護衛隊群(京都府・舞鶴基地)、第4護衛隊群(広島県・呉基地)がおかれている。

 

 

DD122「はつゆき」を1番艦とするはつゆき級汎用護衛艦は、昭和53年中期業務見積もりによって計画され、1979年に起工、1982年に竣工、就役している。基準排水量2950トン、満載排水量4000トン、ガス・タービン推進で、兵装はOTOメララ 76mmコンパクト砲1門、Mk112アスロック発射機(Mk46魚雷搭載アスロック8発)、Mk141発射機(RGM-84ハープーン艦対艦ミサイル8発)、Mk29発射機(RIM-7シー・スパロー艦対空短距離ミサイル8発)、Mk15ファランクス20mm機関砲近接防御武器システム、である。また、対潜哨戒ヘリコプター1機を搭載し、汎用護衛艦としてバランスのとれた艦となっている。当初、上部構造物はアルミニウム合金であったが、1975年のアメリカ空母CV-67ジョン・F・ケネディと巡洋艦CG-26ベルナップの衝突事故でアルミニウム合金の脆弱性が指摘され、さらに1982年のフォークランド紛争でアルミニウム合金製上部構造物艦船が相次いで攻撃によって炎上、沈没したことから、はつゆき級汎用護衛艦8番艦DD130「やまゆき」からは上部構造物が鋼鉄製に変更され、ダメージ・コントロールが向上している。はつゆき級汎用護衛艦は1987年までに12隻建造された。

 

 昭和56年中期業務見積もりによって計画された汎用護衛艦DD151「あさぎり」を1番艦とするあさぎり級汎用護衛艦は1985年に起工し、1987年に竣工、1988年から就役している。基準排水量は3500トン、満載排水量4900トンであるが、はつゆき級汎用護衛艦の発展型である。兵装はOTOメララ 76mmコンパクト砲1門、Mk112アスロック発射機(Mk46魚雷搭載アスロック8発、予備弾8発)、Mk141発射機にRGM-84ハープーン艦対艦ミサイル8発)、Mk29発射機(RIM-7シー・スパロー艦対空短距離ミサイル8発)、Mk15ファランクス20mm機関砲近接防御武器システム、である。また、対潜哨戒ヘリコプター1機を搭載する。あさぎり級汎用護衛艦は、はつゆき級汎用護衛艦よりレーダーや射撃管制装置などが向上し、能力的には大きく発展したものとなっている。このあさぎり級汎用護衛艦は1991年までに8隻建造され、これによって護衛隊群の汎用護衛艦は完備された。

 

新しい概念の汎用護衛艦として、汎用護衛艦DD101「むらさめ」を1番艦とするむらさめ級汎用護衛艦の導入が1990年代からはじまっている。兵装は、Mk41垂直発射システム(Mk46魚雷搭載RUM-139A垂直発射対潜ロケット16発)、68式三連装短魚雷発射管2基(Mk46魚雷、97式魚雷など6発)、OTOメララ 76mmコンパクト砲1門、90式艦対艦ミサイル8発、Mk48垂直発射システム16セル(RIM-7シー・スパロー短距離艦対空ミサイル16発またはRIM-162発展型シー・スパロー短距離艦対空ミサイル最大32発)、Mk15ファランクス20mm機関砲近接防御システム2基、である。射撃統制装置はフェーズド・アレイ・レーダー型の射撃統制装置3型(FCS-3)は搭載されず、従来型の射撃統制装置2型31(FCS-2-31)という改良型にとどまった。また、こんごう級護衛艦と同様にステルス性を意識した船型を採用しているが、傾斜角はそれほどではなくステルス性は限定的なものであると思われる。搭載ヘリコプターはSH-60Jシー・ホーク対潜哨戒ヘリコプターである。2002年までに9隻が導入され、1982年に導入の始まった汎用護衛艦はつゆき級護衛艦の大部分を地方隊へ追いやった。

 

 2003年にたかなみ級汎用護衛艦(1番艦DD-110 たかなみ)が就役した。船体はむらさめ級汎用護衛艦に似ているが、細かいところでステルス性が徹底されている。基準排水量4650トン、満載排水量6300トン、ガス・タービン推進、兵装はOTOメララ 127mm単装砲1門、Mk41垂直発射システム32セル(RUM-139A垂直発射対潜ロケット16セル、RIM-162発展型シー・スパロー・ミサイル短距離艦対空ミサイル16セル最大64発)、Mk15ファランクス20mm機関砲近接防御武器システム2基、Mk46魚雷搭載HOS-302 68式3連装短魚雷発射管2基、90式艦対艦ミサイル(SSM-1)6発/8発である。射撃統制装置はFCS-2-31射撃統制装置、対空レーダーはOPS-24B対空三次元レーダー、対水上レーダーはOPS-28D対水上レーダー、航海レーダーはOPS-20航海レーダー、ソナーはOQS-5ソナー、OQR-2ソナー、OQR-2曳航ソナーである。戦術情報処理システムはOYQ-9戦術情報処理システム、電子戦システムはNOLQ-2電子戦装置、戦術データ・リンクはLINK16である。搭載航空機はSH-60K哨戒ヘリコプター2機である。たかなみ級汎用護衛艦は2006年までに5隻が就役した。(注1)

 

 艦隊防空を担う防空ミサイル護衛艦DDGはDDG168「たちかぜ」を1番艦とするたちかぜ級ミサイル護衛艦3隻であった。1973年に起工し、1976年に竣工している。兵装はMk13発射機(RIM-66スタンダード1艦対空ミサイル44発、エリア・ディフェンス:艦隊防空用)、Mk42 127mm砲2門、Mk141発射機(RGM-84ハープーン艦対艦ミサイルを8発)Mk112発射機(Mk46魚雷搭載対潜ロケットを8発、予備弾8発)、68式三連装短魚雷発射機2基である。防空以外にも対潜、対艦能力も有している。

1983年に起工、1986年に竣工したDDG171「はたかぜ」を1番艦とするはたかぜ級ミサイル護衛艦2隻もある。兵装はMk13発射機(RIM-66スタンダード1艦対空ミサイル44発、エリア・ディフェンス:艦隊防空用)、Mk42 127mm砲2門、Mk141発射機(RGM-84ハープーン艦対艦ミサイルを8発)Mk112発射機(Mk46魚雷搭載対潜ロケットを8発、予備弾8発)、68式三連装短魚雷発射機2基である。

さらに旗艦能力とヘリコプター離発艦能力を有していた。

 

イージス護衛艦DDG173「こんごう」を1番艦とするこんごう級イージス・システム搭載ミサイル護衛艦は、1番艦DDG173「こんごう」が1990年に起工し、1993年に竣工、就役した。

ガス・タービン推進、基準排水量7250トン、満載排水量9500トン、となっている。兵装は、OTOメララ 127mm単装砲1門、Mk41垂直発射システム(RIM-66スタンダード艦対空ミサイル、RIM-156SM2艦対空ミサイルなど艦隊防空ミサイルを74発、RUM―139A(Mk46搭載垂直発射対潜ロケット16発)、68式三連装短魚雷発射機2基、Mk141発射機(RGM-84ハープーン艦対艦ミサイルを8発)、である。近接防御武器システムにはMk15ファランクス20mm機関砲近接防御武器システム2基があたる。

イージス護衛艦に搭載されているイージス・システムは、ソ連の圧倒的数量のミサイル攻撃から艦隊を守るために60年代から開発が始まったもので、1973年から試験が開始され、1978年に採用された。1983年就役のアメリカ海軍CG-47「タイコンデロガ」を1番艦とするタイコンデロガ級巡洋艦から搭載された。イージス・システムのフェーズド・アレイ・レーダーは従来型レーダーより格段に能力が向上しており、探査距離、目標探査、さらに戦闘情報処理能力は従来艦の比ではないとされている。さらにMk41垂直発射システムにより、多目標同時攻撃が可能となっている。またこんごう級イージス護衛艦はアメリカ海軍DDG-51「アーレイ・バーク」を1番艦とするアーレイ・バーク級イージス駆逐艦と同様、ステルス(低発見性)的な船体を取り入れている。3番艦「みょうこう」によって護衛艦群は完成したが、さらに4番艦DDG176「ちょうかい」が建造され、4個護衛艦群すべてにイージス艦が配備されることとなった。

 

 2007年には平成14年度計画イージス・システム搭載護衛艦(14DDG)、あたご級艦隊防空ミサイル護衛艦(1番艦DDG-177 あたご、2番艦DDG-178 あしがら)が就役した。SPY-1Dレーダー4基でミサイル同時発射による艦隊防空を担う。満載排水量は10000トン、基準排水量は7700トン、ガス・タービン推進、兵装はMk41垂直発射システム96セル(RIM-161SM3弾道ミサイル迎撃艦対空ミサイル、RIM-156SM2艦対空ミサイル、RUM-139A垂直発射対潜ロケット16発)、127mm単装砲1門(DDG-177あたごはOTOメララ、DDG-178あしがらはMk45)、HOS-302 68式短魚雷発射管2基、Mk15ファランクス20mm機関砲近接防御システム2基、90式艦対艦ミサイル(SSM-1B)6発/8発である。FCSはAWS Mk7イージス武器システム ベースライン7,1J、AN/SQQ-89(V)15統合対潜システム、Mk99ミサイルFCS、Mk160砲FCS、Mk116対潜攻撃指揮装置である。電子線装置はNOLQ-2、戦術データ・リンクはLINK11/14/16である。ヘリコプター格納庫はあるが、搭載ヘリコプターはない。(注2)

 

対潜哨戒ヘリコプター搭載護衛艦DDH141「はるな」(1970年起工、1973年竣工)、DDH142「ひえい」(1972年起工、1974年竣工)、DDH143「しらね」(1978年起工、1980年竣工)、DDH144「くらま」(1979年竣工、1981年竣工)があたっていた。はるな級対潜ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)は基準排水量5200トン、満載排水量7200トンで蒸気タービン推進、Mk42 127mm砲2門、Mk29発射機(RIM-7シー・スパロー短距離艦対空ミサイル8発、ポイント・ディフェンス:個艦防空用)、Mk15ファランクス20mm機関砲近接防御武器システム2基、Mk112発射機(Mk46魚雷搭載対潜ロケット8発、予備弾8発)、68式三連装短魚雷発射機2基、Mk141発射機(RGM-84ハープーン艦対艦ミサイルを8発)などが主な兵装である。対潜戦には対潜哨戒ヘリコプター3機搭載でこれにあたった。

DDH143「しらね」を1番艦とするしらね級ヘリコプター搭載護衛艦もはるな級ヘリコプター搭載護衛艦に準じる能力である。対潜能力とともに、個艦防空も充実した艦船である。特に対潜哨戒ヘリコプターを3機搭載することで、対潜水艦戦に秀でている。電子機器なども逐次更新され、第一線の護衛艦として遜色の無い物となっていた。しらね級対潜ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)は基準排水量5200トン、満載排水量7200トンで蒸気タービン推進、Mk42 127mm砲2門、Mk29発射機(RIM-7シー・スパロー短距離艦対空ミサイル8発、ポイント・ディフェンス:個艦防空用)、Mk15ファランクス20mm機関砲近接防御武器システム2基、Mk112発射機(Mk46魚雷搭載対潜ロケット8発、予備弾8発)、68式三連装短魚雷発射機2基、Mk141発射機(RGM-84ハープーン艦対艦ミサイルを8発)などが主な兵装である。対潜航空機には対潜哨戒ヘリコプター3機を搭載している。

 

 

 2009年には平成16年度計画ヘリコプター搭載護衛艦(16DDH)、ひゅうが級ヘリコプター搭載護衛艦が就役した。基準排水量13500トン、満載排水量19000トン、ガス・タービン推進、兵装はMk41垂直発射システム16セル(RUM-139A垂直発射対潜ロケット12セル12発、RIM-162発展型シー・スパロー・ミサイル艦対空ミサイル4セル16発)、Mk15ブロック1Bファランクス20mm機関砲近接防御武器システム2基、HOS-303 3連装短魚雷発射管2基である。搭載ヘリコプターはSH-60J/K哨戒ヘリコプター、MCH-101掃海輸送ヘリコプターなど8機である。FCSはFCS-3射撃統制装置、ソナー・システムはOQQ-21、情報処理装置はOYQ-10、電子戦装置はNOLQ-3C、艦内統合ネットワークはNOYQ-1、戦術データ・リンクはLINK11/16である。ひゅうが級ヘリコプター搭載護衛艦は1番艦DDH-181「ひゅうが」と2番艦DDH-182「いせ」が配備される。(注3)

 

 最新のDEはDE229「あぶくま」を1番艦とするあぶくま級護衛艦の6隻である。1988年に起工、1989年に竣工、就役している。基準排水量2000トン、満載排水量2900トン、ディーゼル及びガス・タービン推進、兵装はOTOメララ 76mmコンパクト砲1門、Mk112発射機(Mk46魚雷搭載対潜ロケット8発、予備弾8発)、Mk141発射機(RGM-84ハープーン艦対艦ミサイル8発)、68式3連装魚雷発射機2基、である。近接防御武器システムにはMk15ファランクス20mm機関砲近接防御武器システム1基を装備している。DEとしてはじめて対空レーダーを搭載し、防空能力を強化した。

それ以前のDEとしては、1979年に起工、1981年に竣工、就役したDE226「いしかり」を1番艦とするいしかり級護衛艦1隻がある。いしかり級護衛艦の基準排水量1250トンである。そして、いしかり級護衛艦の改良型であるDE227「ゆうばり」を1番艦とするゆうばり級護衛艦2隻、基準排水量1450トンが1981年に起工、1983年に竣工している。ともにディーゼル、ガス・タービン推進で、兵装は、OTOメララ 76mmコンパクト砲1門、Mk141発射機(RGM-84ハープーン艦対艦ミサイル8発)、ボフォース4連装対潜ロケット1基、である。またDE218「ちくご」を1番艦とするちくご級護衛艦が1971年に起工、1972年に竣工している。Mk112アスロック8連装発射機1基とOTOメララ 76mmコンパクト砲を装備し、対潜能力に重きを置いている。

 

潜水艦部隊は6個隊・16隻体制と定められていた。三菱重工業神戸造船所(兵庫県神戸市中央区)と川崎重工業神戸工場(兵庫県神戸市中央区)において隔年ごとに建造され、就役期間は16年と短く、能力を高く保っている。また、訓練・予備に2隻がある。1971年のうずしお級潜水艦から、NS63高張力鋼製で涙滴型船型、新型ソナー、三次元自動操縦装置を装備したディーゼル電気推進潜水艦が建造、配備された。兵装は533mm魚雷発射管6門で、基準排水量は2000トンから3000トンへと徐々に増加していっている。また、1984年3月に就役したゆうしお級潜水艦5番艦「なだしお」からは、533mm魚雷発射管から発射可能なUGM-84ハープーン潜対艦ミサイルを装備し、対艦戦闘能力を向上させている。いずれも水中速力20ノットと、原子力潜水艦の水中速力の60%前後と遅いが、静粛性、浅海面作戦行動に優れ、沿岸防衛、海峡防衛、近海防衛を基本とする日本の海上防衛力にのっとった性能を保持している。アメリカと同様に高張力鋼の品質は世界最高で、深海作戦にも対応できると思われる。主電池はGS YUASA,潜望鏡はニコン日本光学、電子戦装置は三菱電機、レーダー・通信装置はJRC日本無線である。

 

1998年に就役したSS-590「おやしお」を1番艦とするおやしお級(基準排水量2750トン、水中排水量3000トン、ディーゼル・エレクトリック推進、533mm魚雷発射管6門)からは従来の運動性重視の涙滴型船体から、静粛性に優れる葉巻型船体に変更された。さらに音響のステルス化をはかるため、吸音タイルを多用した。フランク・アレイ・ソナー、コンフォーマル・アレイ・ソナーを搭載し、捜索探知能力を向上させている。船殻には高張力鋼NS80、NS110が使用され、潜行深度も向上している。

 

 平成16年度計画2900トン型潜水艦として、2009年3月にそうりゅう級潜水艦SS501 そうりゅうが就役した。そうりゅうは水中排水量4200トン、ディーゼル・エレクトリック推進に加え、AIP(大気独立推進)のスターリング機関を備え、水中での作戦期間が大幅に伸びることになった。兵装は533mm魚雷発射管6門(Mk46魚雷、97式魚雷、UGM-84ハープーン潜対艦ミサイル)である。(注4)

 

 

 航空機も大幅に更新されていく。

 

護衛艦に搭載される対潜哨戒ヘリコプターは当初、シコルスキー(三菱重工業でライセンス生産)HSS-2(SH-3シー・キング)であったが、1980年代後半に入って、シコルスキー(三菱重工業でライセンス生産)SH-60Jシー・ホーク対潜哨戒ヘリコプターに順次切り替えられ、対潜水艦戦能力、運用性の向上となっていた。

 

シコルスキー/三菱重工業SH-60J哨戒ヘリコプターの後継として新たに設計・開発されたのがシコルスキー/三菱重工業SH-60K哨戒ヘリコプターである。SH-60K哨戒ヘリコプターは2001年9月13日に初飛行、2002年6月24日に海上自衛隊第51航空隊に引き渡された。SH-60K哨戒ヘリコプターはSH-60J哨戒ヘリコプターに比べ若干大型化され、コックピットは操作しやすいようグラス・コクピット化、さらに搭載センサーは小型化・高性能化された。これまでのHQS-103ディッピング・ソナーに代わり、新型低周波アクティブ・ソナーが装備された。また、対水上戦用に捜索レーダーに代わり、逆合成開口レーダーが装備される。またFLIR機能とレーザー誘導機能のあるレイセオンAN/AAS-44 ILDRTS(赤外線・レーザー探知測距追跡セット)を装備する。シコルスキー/三菱重工業SH-60K哨戒ヘリコプターは対水上戦に74式車載機銃とAGM-114Mヘルファイア対戦車ミサイルを装備し、北朝鮮の工作船などに対応できるようになった。工作船などからの攻撃に備え、自衛システムとしてEADS AN/AAR-60 MILDミサイル発射探知システムとBAEシステムズAN/ALE-47 CMDSカウンターメジャー・ディスペンサー・システムが装備された。(注5)

 

 掃海・輸送用に2006年からアグスタ・ウェストランドEH-101(現AW101)をMCH-101掃海・輸送ヘリコプターとして川崎重工業でライセンス生産をはじめた。

前任のシコルスキーMH-53Eシー・ドラゴン掃海ヘリコプターはアメリカ合衆国政府からのFMS(対外有償軍事援助)のため稼働率が低かったが、ライセンス生産であるMCH-101掃海・輸送ヘリコプターは稼働率の向上が見込まれる。ただ3発エンジンのため高効率とはいかない。(注6)

 

1977年に国防会議で、ロッキードP-2JネプチューンからロッキードP-3Cオライオンに代替することが決定され、対潜能力は向上していくことになる。P-3Cもアップ・デート2からアップ・デート3へと向上していった。結局P-3Cは100機が導入され、アメリカに次ぐ対潜哨戒機を保有するに至った。

 また、ロッキードP-3Cオライオン哨戒機の後継として川崎重工業P-1哨戒機が開発中であった。

 

 1999年3月の北朝鮮工作船事件を発端に、対ゲリラ・コマンド特殊部隊「特別警備隊」が発足した。89式小銃、HK416ライフル、MP5サブ・マシンガン、SIG P226拳銃などを装備している。イギリス海軍(ロイヤル・ネイヴィー)の特殊部隊・特殊舟艇部隊SBSに学んだ精鋭である。(注7)

 

 

 

 

 

第13節 平成23年度に係る防衛計画の大綱での航空自衛隊

 

 航空警戒管制部隊は4個警戒群、24個警戒隊、1個警戒航空隊(2個飛行隊)とされた。警戒航空隊は前回と変わらないが、地上配備部隊は前回の8個警戒群、20個警戒隊から縮小されている。戦闘機部隊は12個飛行隊、航空偵察部隊は1個飛行隊、航空輸送部隊は3個飛行隊、空中給油・輸送部隊は1個飛行隊、地対空誘導弾は6個高射群とされた。

 主要装備は、作戦用航空機が約340機、うち戦闘機が約260機である。前回と変わらない。動的防衛力構想によって活動が増えることとされているのに装備の数は増やされていない。

 

 

 

航空総隊(府中基地)のもとに北部航空方面隊、中部航空方面隊、西部航空方面隊、南西航空混成、航空支援集団、航空教育集団、航空開発実験集団が設置された。

北部航空方面隊には第2航空団(千歳基地)、第3航空団(三沢基地)、北部航空警戒管制団(三沢基地)、第3高射群(千歳基地)、第6高射群(三沢基地)がある。

中部航空方面隊には第6航空団(小松基地)、第7航空団(百里基地)、中部航空警戒管制団(入間基地)、第1高射群、第6高射群がある。

西部航空方面隊には第5航空団(新田原基地)、第8航空団(築城基地)、西部航空警戒管制団(春日基地)、第2高射群がある。

南西航空混成団には第83航空隊(那覇基地)、南西航空警戒管制団(那覇基地)、第5高射群(那覇基地)がある。

航空支援集団には航空救難団(入間基地)、第1輸送航空隊(小牧基地)、第2輸送航空隊(入間基地)、第3輸送航空隊(美保基地)、航空保安管制群(入間基地)、航空気象群(府中基地)がある。

航空教育集団には第1航空団(浜松基地)、第4航空団(松島基地)、第11飛行教育団(静浜基地)、第12飛行教育団(防府北基地)、第13飛行教育団(芦屋基地)、航空教育隊(防府南基地)がある。

その他、補給本部が十条駐屯地にある。

 

 

航空団は団司令を頂点に副団司令、副官と続く。航空団は監理部、人事部、防衛部、装備部、衛生班と、群本部と飛行隊からなる飛行群、そして群本部と検査隊、装備隊、修理隊、車輌機材隊、補給隊からなる整備補給群、および群本部と、飛行場勤務隊、施設隊、監理隊、業務隊、会計隊、衛生隊からなる基地業務群で構成される。

 

 

航空警戒管制部隊には北部航空管制団(三沢基地)、中部航空管制団(入間基地)、西部航空管制団(春日基地)、南西航空管制隊(那覇基地)が担当した。

北部航空管制団隷下には北部防空管制群(三沢基地)、警戒通信隊(三沢基地)、整備隊(三沢基地)、第1移動警戒隊(三沢基地)、第8移動警戒隊(千歳基地)と各レーダー・サイトがおかれた。

中部航空管制団隷下には中部防空管制群(入間基地)、整備補給群(入間基地)、基地業務群(入間基地)、第2移動警戒隊(入間基地)と各レーダー・サイトがおかれた。

西部航空管制団には隷下に西部防空管制群(春日基地)、整備業務群(春日基地)、基地業務群(春日基地)と土佐清水通信隊(土佐清水分屯基地)と各レーダー・サイトがおかれた。

南西航空警戒管制隊隷下には南西防空管制群(那覇基地)、警戒通信隊(那覇基地)、防空管制隊(那覇基地)と第4移動警戒隊(那覇基地)、奄美通信隊、整備隊がおかれた。

 

レーダーは、NEC 固定式3次元レーダーJ/FPS-2、NEC 固定式3次元レーダーJ/FPS-3、東芝 固定式3次元レーダーJ/FPS-4、三菱電機 固定式3次元レーダーJ/FPS-5、ベンディックス 固定式2次元レーダーAN/FPS-20・J/FPS-20S、NEC 移動式3次元レーダー装置J/TPS-102があり、NEC 移動用多重通信装置(ОH)J/TRQ-502、NEC 移動用多重通信装置(ОH)J/TRQ-504、NEC 移動用多重通信装置(ОH)J/TRQ-50、NEC ラプコン(レーダー・アプローチ・コントロール・システム)装置、NEC 移動式ラプコン(レーダー・アプローチ・コントロール・システム)装置J/TPQ-701、NEC 移動式ラプコン(レーダー・アプローチ・コントロール・システム)装置J/TPQ-702、NEC タカン(タクティカル・エア・ナヴィゲーション)装置、日立国際電気 無線機J/GRC-506、JRC日本無線 気象用レーダーJ/FPH-8、東芝 気象用レーダーJ/FPH-8、JRC日本無線 気象レーダーJ/FPH-9、移動式気象レーダー装置J/TPH-702、明星電気 高層用気象観測装置J/FMQ-10、気球製作所 高層用気象観測装置J/FMQ-10、NEC 多重無線装置(ОH)J/TRQ-503、が地上からの警戒管制に使用される。

 

警戒航空隊には第601飛行隊に、グラマン E-2Cホーク・アイ早期警戒機13機、ボーイング E-767空中警戒管制システム機4機、がある。

 

三沢基地に配置されるグラマン E-3Cホーク・アイ早期警戒機は、合衆国海軍の空母での運用を前提に開発された早期警戒機で、小型の機体となっている。

1976年のミグ25戦闘機亡命事件では、地上レーダー、マクドネル・ダグラス f-4EJファントムⅡ戦闘機ともにソ連から亡命してきたミコヤン MiG-25戦闘機を見失い、函館空港に強行着陸された。

そのため空中早期警戒システムの導入が急がれた。

グラマン E-3Cホーク・アイ早期警戒機、ボーイング E-3セントリー 空中警戒管制システム機の導入が検討され、価格が安いグラマン E-3Cホーク・アイ早期警戒機が採用された。

 

ボーイング E-767空中警戒管制システム機は、浜松基地に配備される。

合衆国空軍 ボーイング E-3セントリー 空中警戒管制システム機の導入を計画していた航空自衛隊だったが、ボーイング E-3セントリー 空中警戒管制システム機のベースとなるボーイング707が製造中止となりボーイング E-3セントリー 空中警戒管制システム機の導入は不可能になった。

そのためボーイングは、ボーイング E-3セントリー空中警戒管制システム機のレーダーと管制システムをボーイング767に搭載するボーイング E-767空中警戒管制システム機を開発、航空自衛隊が導入することになった。

 

 

 

レーダー・サイトを中心とした警戒管制部隊28個警戒隊と1個警戒航空隊で構成されるJADGE(自動警戒管制組織)システムは、

 

日本の各地(

 

第18警戒隊:稚内分屯基地・J/FPS-2、

 

第28警戒隊:網走分屯基地・J/FPS-4、

 

第26警戒隊:根室分屯基地・J/FPS-2

 

第36警戒隊:襟裳分屯基地・J/FPS-20S(AN/FPS-20改)

 

第45警戒隊:当別分屯基地・J/FPS-3改

 

第42警戒隊:大湊分屯基地・J/FPS-5

 

第33警戒群:加茂分屯基地・J/FPS-3改

 

第37警戒隊:山田分屯基地・J/FPS-2

 

第27警戒隊:大滝根山分屯基地・J/FPS-3改、

 

第35警戒隊:佐渡分屯基地・J/FPS-3改、

 

第23警戒隊:輪島分屯基地・J/FPS-3改、

 

第44警戒隊:峯岡山分屯田基地・J/FPS-4、

 

第1警戒隊:笠取山分屯基地・J/FPS-3改、

 

第5警戒隊:串本分屯基地・J/FPS-20S(AN/FPS-20改)、

 

第35警戒隊:経ヶ岬分屯基地・J/FPS-3改、

 

第7警戒隊:高尾山分屯基地・J/FPS-4、

 

第9警戒隊:下甑島分屯基地・J/FPS-5、

 

第17警戒隊:見島分屯基地・J/FPS-2、

 

第19警戒隊:海栗島分屯基地・J/FPS-2、

 

第43警戒隊:背振山分屯基地・J/FPS-3改、

 

第15警戒隊:福江島分屯基地・J/FPS-4、

 

第13警戒隊:高畑山分屯基地・J/FPS-20S(AN/FPS-20改)、

 

第56警戒隊:与座岳分屯基地・J/FPS-5、

 

第54警戒隊:久米島分屯基地・J/FPS-4、

 

第55警戒隊:沖永良部島分屯基地、J/FPS-20S(AN/FPS-20改)

 

第53警戒隊:宮古島分屯基地・J/FPS-2

 

)に配置されたレーダー・サイトと中央管制システム、グラマン E-2Cホーク・アイ早期警戒機、ボーイング E-767空中警戒管制システム機からなる。

 

マクドネル・ダグラス F-4EJファントム戦闘機(初飛行1958年、自重13500kg、総重量18818kg、推力79,62kN×2)140機(注1)は、F-4EJファントム戦闘機の要撃戦闘機部隊は第301飛行隊(宮崎県・新田原基地)、第302飛行隊(沖縄県・那覇基地)に配備され、で南西に偏っていた。

 

F-4EJファントム戦闘機のレーダー火器管制装置はF-16A/B戦闘機と同様のAPG-66に換装、アナログ方式からデジタル方式のセントラル・コンピューターへの換装、レーダー警戒装置はF-15Jと同様のALR-56Cに換装されている。

搭載ミサイルは80式空対艦ミサイル(ASM-1)、AIM-9Lサイドワインダー空対空ミサイル,AIM―7F/Lスパロー空対空ミサイルが搭載可能になっている。(注2)しかし、デジタル・データ・バスが無いため、ミサイル発射後ただちに回避措置のとれるAIM-120AMRAAM空対空ミサイル、AAM-4空対空ミサイルが運用できない。早晩使用は不可能になるとされた。そして、相対的な戦力低下は否定できず、後継機の早期配備が望まれた。

 

1977年に国防会議で導入が決定し、1980年から導入されたマクドネル・ダグラスF-15J/DJイーグル戦闘機(初飛行1972年、自重12973kg、総重量20244kg、最大重量30845kg、推力105,7kN×2)。F-15J/DJイーグル戦闘機は225機の導入が計画されたが、計画はは200機に縮小、総生産数は213機となった。(注2)

 

F-15J/DJ戦闘機は1981年に西部航空方面隊の新田原基地に第5航空団隷下に「F-15臨時飛行隊」が結成され配備されたのをはじめに、第202飛行隊に続いて配備され、1984年に第2航空団隷下に第203飛行隊へのF-15J/DJが配備されたことでF-104Jの更新を完了、第204飛行隊(茨城県・百里基地)、第305飛行隊(石川県・小松基地)、第304飛行隊(福岡県・築城基地)と配備が続いていった。

 

F-15J/DJイーグル戦闘機は、大型にもかかわらずチタニウム合金を従来機より大幅に使用したため重量が抑えられ、大推力による高機動、高速巡航が可能で空戦において圧倒的に優位に立つ。

電子装備も大型な機体を生かし、大型ゆえ高性能なAPG-63レーダー火器管制システムを搭載している。

電子戦装置はアメリカ議会の反対で導入できなかった戦術電子戦システムTEWS(AN/ALR-56レーダー警戒装置、AN/ALQ-135電子妨害装置、AN/ALQ-128電子戦警戒受信装置、AN/ALE-45チャフ/フレア・ディスペンサーなどで構成)に代えて、日立製作所が開発した国産電子戦装置J-TEWS(J/APR-4レーダー警戒装置、J/ALQ-8電子妨害装置、AN/ALE-45Jチャフ/フレア・ディスペンサー、J/APQ-1後方警戒装置などで構成)を装備し、20世紀では超一流の性能を誇った。

 

F-15イーグル戦闘機203機で、生産時期によって使用が異なる。1985年生産分からはセントラル・コンピューターが新型化され、1991年生産分からは電子制御式F100エンジンを搭載している。後期生産分はMSIP(段階的改良計画)機として、前期生産機分(PRE―MSIP)機とは異なった機体となっている。

 

宮崎県・新田原基地の第202飛行隊は航空教育集団隷下の第23飛行教育航空隊に改変された。

 

防衛庁は1997年度からマクドネル・ダグラスF-15J/DJ戦闘機に対して近代化能力向上改修の実施を開始した。改修が実施しやすい設計のF-15J/DJイーグル戦闘機MSIP機(多段階改良計画機、F-15J戦闘機67機、F-15戦闘機DJ36機)が対象である。

防衛庁は「F-15が既存の装置のままでは、2010年度以降に予想される脅威に対処することが困難であることから、これに対処し得るために、電子戦環境下でのミサイル戦における優勢の確保と、戦況把握および表示能力の向上を図ることが必要である。」とし、「防空要撃能力については、将来における技術的水準の動向に対応して、現有の要撃戦闘機(F-15)を今後とも有効活用するため、近代化の改修を確保する」とした。

2002年にはF-15Jイーグル戦闘機に対する試改修を開始、2003年7月18日に初飛行した。10月21日には防衛庁に納入され航空自衛隊飛行開発実験団が作業に入った。F-15量産改修機は2004年度に予算化され、2機分・98億円が予算化された。2005年度には4機、2006年度には2機、2008年度には20機・609億円が予算化された。2009年度には22機と38機分のレーダーが予算化された。

F-15J近代化改修機形態Ⅰ型はレーダー火器管制装置がAN/APG-63からAN/APG-63(V)1に換装された。これによって平均故障間隔が2倍以上の150時間となり、信頼性が向上した。AN/APG-63(V)1レーダー火器管制装置はF-15Eストライク・イーグル戦闘爆撃機に搭載されているAN/APG-70レーダー火気管制装置からフィード・バックしたものである。セントラル・コンピューターはAP-1RからVHSICに換装された。処理速度が大幅に向上され、記憶容量も容量に余裕がある。また、基本ソフト・ウェアも更新された。発電機と冷却システムはアヴィオニクスの増加による電力需要の増大や、発生熱大に対応するためジェネレーターを75kVAの発電能力のある新型に換装され、冷却能力が向上した高圧除湿装置が導入された。戦術データ・リンク向上のために、戦術データ交換システム端末(MIDS-FDL)としてLINK16戦術データ・リンクが搭載された。無線通信装置は電波妨害対処能力が付加され、飛行記録装置(FDR)も搭載され、機体管理能力が強化された。

また、AAM-4(99式空対空誘導弾)やAAM-5(04式空対空誘導弾)の搭載能力が付与された。AAM-4はアクティブ・レーダー誘導中距離空対空ミサイルで、複数同時処理、撃ちっ放し(ファイア・アンド・フォーゲット)能力、視程距離外(BVR)戦闘能力を持ち、大幅な作戦能力の向上となる。そのために運用飛翔プログラムの改修、指令送信機の搭載がされた。AAM-5は赤外線画像誘導短距離空対空ミサイルで、オフボアサイト能力を持つ。そのために、ヘルメットのバイザー部分に情報表示されるヘルメット・マウンテッド・ディスプレイが導入される。

F-15J近代化改修機形態Ⅱ型では、電子戦環境下での能力向上のため、統合電子戦システム(IEWS)が導入される予定だった。またチャフ/フレア・ディスペンサーをAN/ALE-45からIEWSに統合可能なALE-47に換装される。また、赤外線捜索追跡装置(IRST)も試改修1号機に搭載改修作業がなされている。2003年度から「戦闘機搭載用IRST装置」の開発が技術研究本部で始まり、2008年度までに技術・実用試験が完了する。IRSTはパッシブ赤外線センサーで、電子戦環境下にも強く、ステルス機にも対応が期待されている。

最終的には量産改修機88機、試改修機2機を近代化改修機にする予定とされた。

 

 

支援戦闘機部隊は3個飛行隊ある。

第8飛行隊(青森県・三沢基地)はF-1支援戦闘機からF-4EJ改ファントムⅡ戦闘機に機種更新された。

第3飛行隊は次期支援戦闘機FSXとして開発された三菱重工業/ロッキード・マーティンF-2(旧称・F-16SX-3)支援戦闘機(自重9527kg、離陸最大重量22100kg、エンジン:ゼネラル・エレクトリックF110-GE-132 推力131,2kN×1)に機種更新されており(注3)、戦力は向上している。

第6飛行隊も2005年までにF-2支援戦闘機に機種更新される。

 

三菱重工業/ロッキード・マーティンF-2(旧称・F-16SX-3)支援戦闘機は、次期支援戦闘機FSXとして、三菱重工業とゼネラル・ダイナミクスが共同開発することになった。

次期支援戦闘機FSXは当初、機体は日本単独開発、エンジンはアメリカ製を導入する計画であった。

日本の航空機開発能力は低いと主張する合衆国空軍、日米貿易摩擦により日本の対アメリカ貿易黒字縮小を求めるアメリカ議会、自動車だけでなく航空宇宙防衛産業でも日本が力をつけることに懸念するアメリカ国防省、産業界の批判があり、機体の開発にもアメリカ企業のゼネラル・ダイナミクスが関与することになった。

ゼネラル・ダイナミクス F-16C/Dブロック40ファイティング・ファルコン戦闘機をベースに三菱重工業とゼネラル・ダイナミクスが共同で開発することになった。

しかし、クライド・プレストウィッツ元・商務省次官補代理は「アメリカ、ゼネラル・ダイナミクスの航空機開発能力、航空機技術が日本に奪われる盗まれる」と言い出し、FSXは紛糾した。

三菱重工業が全開発の60%、ゼネラル・ダイナミクスが全開発の40%を担当するとされた。その後、ゼネラル・ダイナミクスの戦闘機部門はロッキードに売却され、ロッキードはマーティン・マリエッタと合併しロッキード・マーティンとなる。

フライ・バイ・ワイヤFBW、炭素繊維複合材CFRP、J/APG-1アクティブ・フェイズド・アレイ・レーダー、液晶グラス・コックピットなど最新の技術が投入されている。

エンジンはアメリカ製のゼネラル・エレクトリックF110-GE-132が導入された。

 

航空偵察機部隊、航空輸送部隊は新・防衛計画の大綱においても旧・防衛計画の大綱と同じくそれぞれ1個飛行隊、3個飛行隊が維持され、機種も同様である。

 

 

 航空偵察部隊は1個飛行隊とされ、RF-4EJ偵察機が13機配備され、後にF-4EJ戦闘機を偵察機改造したうえで追加され、航空偵察部隊は17機となった。

 

 航空輸送部隊は3個飛行隊とされ、川崎重工業 C-1輸送機が27機(ペイロード8トン)、ロッキード C-130Hハーキュリーズ輸送機(ペイロード18トン)が16機、日本航空機製造 YS-11が9機配備されていた。

 また、ボーイング747政府専用機が要人輸送に充てられた。

 川崎重工業 C-1輸送機の後継には、川崎重工業 C-2輸送機が開発され、鳥取県・美保基地に配備された。

 

 航空自衛隊の支援航空機として、BAEシステムズ U-125飛行点検機、ガルフストリーム・エアロスペース U-4多用途支援機が配備された。

 資材の運搬にはボーイング CH-47J/JA輸送ヘリコプターが使用されている。

 

 救難飛行隊にはユナイテッド・テクノロジーズ・シコルスキー UH-60J救難ヘリコプターが導入された。UH-60となっているが汎用ヘリコプター(ユーティリティ・ヘリコプター)ではなく、合衆国空軍ユナイテッド・テクノロジーズ・シコルスキー HH―60Gぺイヴ・ホーク救難ヘリコプターに相当する機体である。赤外線暗視装置、気象レーダー、慣性航法装置、燃料タンク、空中給油装置、を装備し救難任務仕様となっている。

 ユナイテッド・テクノロジーズ・シコルスキー UH-60J救難ヘリコプターは救難専用として目立つように白を中心とした塗装にしていたが、戦闘捜索救難CSARを考慮するようになりロービジ(低視認性)塗装に変更される。

 

 地対空誘導弾部隊には6個高射群とされ、北海道・千歳基地に第3高射群、青森県・三沢基地に第6高射群、埼玉県・入間基地に第1高射群、岐阜県・岐阜基地に第4高射群、福岡県・芦屋基地に第2高射群、沖縄県・那覇基地に第5高射群、が配備されている。

 1個高射群は4個高射隊からなり、24個高射隊が航空自衛隊基地や航空自衛隊分屯基地に展開する。

1989年からMIM-104 PATRIOT(Phased Array TRacking to Interceptor Of Target)防空システムだったが、MIM-104C PAC2(PATRIOT能力向上型2)に改良されている。若干の弾道ミサイル迎撃能力を持つようになった。

弾道ミサイルを迎撃できるMIM-104F PAC3(PATRIOT能力向上型3、旧称ERINT)の配備にはまだ時間がかかった。

 

2008年度から退役の始まったマクドネル・ダグラスF-4EJファントムⅡ戦闘機140機の後継として、次期主力戦闘機策定がはじまった。後継機の候補にはロッキード・マーティンF-22Aラプター戦闘機(三菱商事)、ロッキード・マーティンF-35ライトニングⅡ戦闘機(三菱商事)、ボーイングF-15FX戦闘機(伊藤忠商事)、ボーイングF/A-18E/F戦闘攻撃機(双日)、ユーロファイター・タイフーン(住友商事)が候補に挙がった。

ロッキード・マーティンF-22ラプター戦闘機は異機種間戦闘訓練(DACT)でほぼ無敗を誇り、20世紀最強の戦闘機F-15Cイーグル戦闘機をも圧倒する世界最強の戦闘機であるが、他国の先を行くステルス性能、統合電子戦能力など最高機密の技術で製造されているため、国防技術流出防止法(2006年解除)や1998年国防歳出法オービー修正条項(デイヴィッド・オービー下院議員提出、2009年下院削除)、2010会計年度予算権限法案で輸出が禁止されていた。また、機体の価格が非常に高価(1機155億円から250億円)であることも問題になると思われた。

ロッキード・マーティンF-35ライトニングⅡ戦闘機は2006年12月に初飛行した戦闘機で、まだ初期作戦能力を獲得していなかった。ステルス性、レーダー火器管制装置もF-22ラプター戦闘機より劣る。また、ハイ・ロー・ミックス構想(のちにフォース・ミックス構想に変貌する)のローにあたる、数をそろえるための低価格・比較的低性能な戦闘機であり、高価格・高性能の戦闘機による少数精鋭でやってきた航空自衛隊の構想にあてはまらない。

ボーイングF-15FX戦闘機は、F-15E戦闘爆撃機をベースにしたもので、大量の爆弾搭載に耐えるようフレームを強化したため重量が増加している。さらに原型となるマクドネル・ダグラスF-15A/Bイーグル戦闘機の初飛行が1972年、発展型のマクドネル・ダグラスF-15Eストライク・イーグル戦闘爆撃機の初飛行1986年と古く、ステルスという概念のない時代に生まれた戦闘機で、今後20年以上使用するには将来性に疑問が残る。また、F-15Eの原型であるF-15C(F-15J)を1980年からライセンス生産していたことからF-15Eもライセンス生産は可能であると思われるが、機体が古い割には価格が高額でF-15Jのライセンス生産価格と同様、1機あたり100億円以上の高額になると思われ、さらにF-15Jでのライセンス生産の経験があるので新たに技術的なものを得られない。

ボーイングF/A-18E/Fスーパー・ホーネット戦闘攻撃機は、海軍機であるため空中給油方式が異なる(航空自衛隊のフライング・ブーム方式でない)、空軍機として使用するには無駄な装備(主翼自動折り畳み機構、着艦用フックなど)が多い、基本設計が原型YF-17初飛行1974年、生産型初飛行1978年と設計コンセプトが古い、ステルス性が低い、対地攻撃・対艦攻撃に使用する戦闘攻撃機にはF-16ファイティング・ファルコン戦闘機を発展させた三菱重工業F-2支援戦闘機がある、ライセンス生産しても得るべきことが少ない、F/A-18E/Fスーパー・ホーネット戦闘攻撃機もF-2支援戦闘機のベースとなったF-16ファイティング・ファルコン戦闘機と同じく、ハイ・ロー・ミックス構想のローにあたる数をそろえることを目的にした比較的低性能な戦闘機である、F/A-18E/Fスーパー・ホーネット戦闘攻撃機は対地攻撃任務が基本で、制空・要撃任務が主任務である航空自衛隊には不適である、など問題がある。そして、F/A-18E/Fスーパー・ホーネット戦闘機に搭載されるAN/APG-79アクティヴ電子スキャンド・アレイ・レーダー火器管制装置は非常に高度な技術をもつもので機密保持を意識しているアメリカが日本に供給するどうかの問題があった。ダウン・グレードされたAN/APG-79廉価版か、ブラックボックス化された輸入品に替えられる可能性が高く、その場合日本にとって技術導入のメリットが無い。

ユーロファイター・タイフーンは原型初飛行が1986年と古く、ステルスの概念も低い。またアメリカ製戦闘機を導入してきた航空自衛隊で、ヨーロッパ製戦闘機を導入するとなると現場での混乱も予想される。

F-35AライトニングⅡ戦闘機がFXに決定したが、未だ開発に難航しており紆余曲折が予想される。 

空中給油機ボーイングKC-767空中給油・輸送機が導入された。

空中給油機は1990年代初頭から導入が検討されていたが、大蔵省の反対、社会党、共産党の反対、左翼マス・メディアの反対があり導入には至らなかった。その後、戦闘機数の削減と引き換えに空中給油機の導入が提言されたが、そこでも大蔵省の反対があり導入とはならなかった。

21世紀に入って空中給油機が航空戦力のスタンダードとなり、ようやく空中給油機導入の機運が整った。

2001年12月に採用を決定し、2008年2月29日に1号機が引き渡された。これによって滞空時間が大幅に伸び、作戦の高度化が可能になる。また、離着陸回数が減るため騒音防止につながる。空中給油・輸送機は愛知県小牧基地の第404飛行隊に配備された。

2008年12月、第8飛行隊からマクドネル・ダグラスF-4EJファントムⅡ戦闘機が退役した。2009年3月までに三菱重工業F-2支援戦闘機に機種転換した。1972年から140機が導入されたF-4EJファントムⅡ戦闘機は初飛行1958年で、老朽化が激しい。早期の後継機の導入が望まれた。

 

 

 

第14節 弾道ミサイル防衛にも使用し得る主要装備・機関部隊

 

平成23年度に係る防衛計画の大綱での弾道ミサイル防衛にも使用し得る主要装備・機関部隊はイージス・システム搭載護衛艦が6隻、航空警戒管制部隊が11個警戒群/隊、地対空誘導弾部隊が6個高射群、となっている。弾道ミサイル防衛をうたっている割に数は増加せず、配備に地域的な偏りが出ている。

 

第3章      平成23年度に係る防衛計画の大綱の状況

 

非武装中立政策を主張していた社会党出身の議員、党事務局、党員を多く抱え、また、「市民が主役」をスローガンにしていたように国家に否定的な民主党政権が定めた平成23年度に係る防衛計画の大綱という政治的事情、深刻さを増す財政的事情と、伝統的に軍事軽視・軍事否定・軍事的無能の財務省によって、事実上、防衛力を増強できないことになった。「専守防衛」、「他国に脅威を与えるような軍事大国にならない」という従来からの基本方針を掲げるなど、大綱でも言及しているような、軍事的、外交的に拡張主義・覇権主義を取る中国、独裁圧政で軍事に以上に注力し、日本に圧力をかける北朝鮮、極東において多大な軍事力を存在させミストラル級揚陸艦を北方領土に配備するなどして日本に敵対的な行動をとるロシア、頻発するテロ事件、など日本を取り巻く情勢を無視している。

防衛力を単に保持することではなく、平素から情報収集・警戒監視・偵察活動を含む我が国の意思と高い防衛能力の明示をすることが抑止力の信頼性を高めるという、動的な抑止を重視した動的防衛力という考えも、当たり前のことであり、従来も行っている。動的防衛力を強化すると、装備、人員の稼働率があがり損耗、消耗が激しくなるため、質、量の増加が必要となるが、ほとんど考慮されていない。潜水艦の数は増やすが人員はふやさないということは、運用に無理が生じ戦力の低下につながる。

人員を増やさず、もともと必要最低限の防衛力しか持っていない、必要最低限の防衛力すらもっていない日本で、自衛隊の予算、人員を増やさず、さらなる選択と集中をおこなうということは、本来なら諸兵科連合などバランスが重要である軍事を歪なものにせしめ、軍事的に弱体化するという事実、側面がまったく言及されていない。

陸上自衛隊においては常備自衛官の定数というマン・パワーが削減され、さらに戦車、火砲という火力も削減されている。大幅な戦力削減である。また、即応性、機動力の向上についてもヘリコプター、輸送機、輸送艦の増勢はあまりないので、絵にかいた餅である。
 航空自衛隊においても戦闘機や警戒管制部隊、地対空誘導弾などは増勢されず、近隣諸外国に比べ数、質ともに低いレベレルのままである。

 

 

 

第4章      中期防衛力整備計画(平成23年度~平成27年度)

 

第1節      決定

 

 平成23年度から平成27年度までを対象とする中期防衛力整備計画が「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」に従い、2010年(平成22年)12月17日に安全保障会議と閣議で決定された。この計画の実施に必要な防衛関係費の総額の限度は、おおむね23兆4900億円程度をめどとされた。

 

第2節      計画の方針

 

 平成23年度から平成27年度までの防衛力整備は、「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」に従い、即応性、機動性、柔軟性、持続性、及び多目的性を備え、軍事技術水準の動向を踏まえた高度な技術力と情報能力に支えられた動的防衛力を構築するため、

 

1・実効的な抑止及び対処、アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定、グローバルな安全保障環境の各種の活動のための活動をシームレスに実施できるよう即応態勢、統合運用態勢、国際平和協力活動を積極的に実施できる態勢を整備する。

 

2・防衛力の整備にあたっては、各種活動に活用し得る機能、非対称な対応能力を有する機能、及び非代替的な機能を優先整備すべき機能として重点化。本格的な侵略事態への備えは不確実な将来情勢の変化に対応するための最小限の専門的知見や技能の維持に必要な範囲に限る。

 

3・能力の高い新たな装備品等の導入と既存の装備品等の延命、能力向上等を組み合わせることによって質の高い防衛力を効率的に整備する。

 

4・人事制度の抜本的な見直しによる人件費の抑制・効率化、若年化による精強性の向上。

 

5・日米安全保障体制、米軍の軍事的プレゼンスは必要不可欠であり、新たな安全保障環境にふさわしい形で日米同盟を深化発展させていく。

 

6・格段に厳しさを増す財政事情を勘案し、一層の効率化・合理化を図り、経費を抑制する。

 

を計画の基本として防衛力の整備、維持及び運用を効果的かつ効率的に運用する、こととした。

 

第3節      基幹部隊の見直し 陸上自衛隊

 

 陸上自衛隊については、効率化・合理化を徹底する中で、戦車・火砲の縮減を図り、即応性、機動性の向上のため、5個師団と1個旅団を改編する。また1個高射特科群を廃止し、1個旅団内に1個高射特科連隊を新設する。

 平素からの情報収集・警戒監視及び事態発生時の迅速な対処に必要な体制を整備するため、南西地域の島嶼部に陸上自衛隊の沿岸監視部隊を新設する、

 

第4節      基幹部隊の見直し 海上自衛隊

 

 海上自衛隊については、情報収集・警戒監視・対潜戦等の作戦で周辺海域や海上交通の安全を確保のために有効に対応する。護衛艦部隊(地域配備)を5個護衛隊から4個護衛隊にする。潜水艦を増勢する。

 

 

第5節      基幹部隊の見直し 航空自衛隊

 

 航空自衛隊については、南西地域における即応態勢を充実させるため、那覇基地に戦闘機部隊1個飛行隊を移動させ、2個飛行隊とするとともに1個航空団を新設する。これにともない既存の1個航空団を廃止する。米軍とのインターオペラビリティ向上のため横田基地を新設、航空総隊司令部等を移設する。

 

第6節      基幹部隊の見直し 人員

 

 中期防衛力期間中の常備自衛官の定数は、平成22年度末の水準から2000人程度削減した、おおむね24万6千人程度とする。陸上自衛隊の計画期間末の編成定数は15万7000人程度、常備自衛官定数はおおむね15万人程度、即応予備自衛官員数は7000人をめどとする。海上自衛隊および航空自衛隊の計画期間中の常備自衛官定数は平成22年度末水準とする。

 

第7節      周辺海空域の安全の確保

 

実効的な抑止及び対処のため、常時継続的に情報収集・警戒監視を行い、各種兆候を早期探知する態勢を強化するため、ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)、汎用護衛艦(DD)、潜水艦及び固定翼哨戒機(P-1)を整備し、既存の護衛艦、潜水艦、固定翼哨戒機(P-3C)を延命する。固定式3次元レーダー装置を整備し、早期警戒管制機(E-767)の改善を行う。

 

第8節      島嶼部に対する攻撃への対応

 

 南西地域の島嶼部に陸上自衛隊の沿岸監視部隊を配置し、初動を担任する部隊の新編に向けた事業に着手する。移動警戒レーダーを南西地域の島嶼部に展開し、さらに南西地域において早期警戒機(E-2C)の整備基盤を整備する。

迅速な展開・対応能力の向上のため、輸送ヘリコプター(CH-47JA)を整備、現有の輸送機(C-1)の後継機に新たな輸送機を整備する。さらに地対艦誘導弾を整備する。

防空能力向上のために那覇基地における戦闘機部隊を1個飛行隊から2個飛行隊にし、現有の戦闘機(F-4)の後継機として、新たな戦闘機を整備するとともに、戦闘機(F-15)の近代化改修及び自己防御能力を向上、地対空誘導弾ペトリオットを改修、中距離地対空誘導弾の整備を促進する。

 

第9節      ゲリラや特殊部隊による攻撃への対応

 

 ゲリラや特殊部隊による攻撃に迅速かつ効果的に対応できるよう、部隊の即応性、機動性を高める。普通科部隊を強化し、さらに軽装甲機動車、多用途ヘリコプター(UH-60JA)、戦闘ヘリコプター(AH-64D)を整備する。

 

第10節 弾道ミサイル攻撃への対応

 

 イージス・システム搭載護衛艦及び地対空誘導弾ペトリオット能力向上を行い、弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイルに関する日米共同開発を引き続き推進し、生産・配備段階への移行を検討する。

 

第11節 統合の強化

 

 統合幕僚監部の機能強化、一元的な指揮統制、情報共有態勢の強化、サイバー攻撃対処の中核となる組織の新設や専門的な人材育成に必要な事業の実施、海上自衛隊及び航空自衛隊が担う陸上配備の航空救難機能の航空自衛隊への一元化に向けた体制整備、陸上自衛隊及び航空自衛隊の高射部隊統合の検討、があげられている。

 

第12節 情報機能の強化

 

 情報機能の強化のため、総合的な警戒監視態勢のあり方について検討し、情報収集施設・器材・装置等を整備、更新、能力向上する、能力の高い要員を確保し、多様な分野に精通した情報の専門家を育成、また自衛隊の海外派遣部隊等が円滑かつ安全に任務を行い得るよう地図・地誌を整備し、遠隔地での活動に対する情報支援を適切に行う体制を整備する。

 

第13節 科学技術発展への対応

 

 情報通信ネットワークを整備し、サイバー攻撃対処能力を強化するとしている。特に防衛の宇宙利用の促進にも資するXバンド衛星通信網を構築するとしている。また、現有の多用途ヘリコプター(UH-1J)の後継機として新たな多用途ヘリコプターの開発に着手する。そして、将来戦闘機のための戦略的検討を推進するとしている。

 

 

第14節 陸上自衛隊の整備規模

 

 平成23年度から平成27年度までを対象とする中期防衛力整備計画での陸上自衛隊における整備では、戦車が68両、迫撃砲を除く火砲が32両、装甲車が75両、地対艦誘導弾が18両、戦闘ヘリコプター(AH-64D)が3機、輸送ヘリコプター(CH-47JA)が8機、中距離地対空誘導弾が4個中隊とされた。

 

第15節 海上自衛隊の整備規模

 

 平成23年度から平成27年度までを対象とする中期防衛力整備計画での海上自衛隊における整備では、護衛艦の整備が3隻、潜水艦の整備が5隻、その他の整備が5隻とされた。自衛艦建造計は13隻で、約5,1万トンとされている。航空機では、固定翼哨戒機(P-1)の整備が10機、哨戒ヘリコプター(SH-60K)の整備が26機、掃海・輸送ヘリコプター(MCH-101)の整備が5機となっている。また、イージス・システム搭載護衛艦の能力向上が2隻となっている。

 

第16節 航空自衛隊の整備規模

 

 平成23年度から平成27年度までを対象とする中期防衛力整備計画での航空自衛隊における整備では新戦闘機が12機、新輸送機が10機となっている。また、地対空誘導弾ペトリオットの能力向上が1個高射隊、戦闘機(F-15)近代化改修が16機となっている。

 

第17節 中期防衛力整備計画(平成23年度~平成27年度)の状況

 

 平成23年度に係る防衛計画の大綱に従った中期防衛力整備計画なので、東アジア情勢を鑑みない軍事力軽視政策の象徴となっている。人員は増やさないのに任務や部隊は増やすという無理をしている。装備の整備などについても、5年間で二桁程度の整備であり、年産わずかな数しか整備されていない。近隣諸外国が大幅に軍拡している中、日本のみが質、量ともに変わらないという事実上の軍縮で、日本という国家の地位の低下、外交上での不利などが懸念される。

 

 

 

 

第5章      「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」における主な事項

 

第1節      10式戦車

 

 陸上自衛隊が導入する三菱重工業10式戦車は、重量40トン、装甲モジュールを装着した戦闘重量44トンである。民間のトランスポーターでの輸送を可能にするため40トン程度の重量にされた。

 車体には装甲モジュールが装着される。装甲モジュールの正面装甲はセラミックを用いた複合装甲で、均質圧延防弾鋼換算で700mm以上の防御力があると思われる。自主砲弾である120mm砲のAPFSDS弾(運動エネルギー弾)にも耐えうる。

側面装甲は中空装甲であるが、各種増加装甲、装甲モジュールの装着が可能である。

 主砲は日本製鋼所が開発した。90式戦車はドイツのラインメタルのものだった。主砲の口径は120mm、砲身長は44口径である。

用いられる運動エネルギー弾の弾薬はダイキン工業の開発した10式APFSDSである。90式で用いられるJM33APFSDSも使用可能である。化学エネルギー弾は従来からのJM12A1HEATである。

データ・リンクによる戦闘情報の相互交換が可能で小隊レベルでの戦闘データ共有、基幹連隊指揮統制システムを装備している。

照準は従来の光学照準システムからデジタル照準システムに変更された。複雑な機構となる光学照準システムから、ケーブル配線ですむデジタル照準システムに変更されたことによってグラスコックピットの操作性の良い車長席・砲手席となっている。

エンジンは90式戦車のV10ディーゼル・エンジンからV8ディーゼル・エンジンに変更され、出力は20%減の1200馬力となっている。しかし重量も20%減となったので問題はないとされている。

 

 

 

第2節      あきづき級汎用護衛艦

 

平成19年度計画護衛艦、あきづき級汎用護衛艦は三菱重工業長崎造船所で建造された。

あきづき級汎用護衛艦の1番艦あきづきは基準排水量5500トン、SM1Cガス・タービン4基64000馬力、主発電機3基7200キロワットである。Mk41垂直発射システム32セルに垂直発射アスロック(対潜ロケット)16セル16発、RIM-162発展型シー・スパロー・ミサイル(ESSM)16セル64発を装備する。2番艦てるづきからは97式魚雷搭載の新型垂直発射アスロックを装備することになる。

主砲はMk45Mod4 127mm砲で、対地、対艦攻撃に重きが置かれている。

近接防御システムはMk15ブロック1 20mm近接防御武器システム(CIWS)である。対空用であるブロック1で、対水上も併用できるブロック1bは採用されていない。

射撃統制装置はFCS-3Aである。対空、対水上、目標追尾、砲管制などに用いるCバンド・レーダーと、ESSM誘導に用いるXバンド・レーダーを併用している。従来の汎用護衛艦は個艦防空(ポイント・ディフェンス)だったが、あきづき級汎用護衛艦からは僚監防空(ローカル・エリア・ディフェンス)となり、弾道ミサイル防衛を実施中の防空ミサイル護衛艦の防空任務を補佐することになる。

ソナー・システムはOQQ-22である。ハル・ソナー、曳航式パッシブ・ソナー、ソノブイ信号処理装置を統合したもので、統合化による最適な対潜システム構築を可能にしている。

電子戦システムはNOLQ-3Dで、電子妨害ECM、対電子妨害ECCMなど電子戦をおこなうほか、IRデコイ(赤外線囮)、投棄型ジャマーを統合して運用する。

戦闘指揮システムはOYQ-11で、コマーシャル・オフ・ザ・シェル(民生品利用)のコンピューター、LANを用いるATECS(新戦闘指揮システム)概念を採用している。また戦術データ・リンクのリンク11、リンク16によって各護衛艦、合衆国海軍艦船とデータ・リク可能となっている。

 

 

第3節  ひゅうが級ヘリコプター搭載護衛艦

 

 

平成16年度計画ヘリコプター搭載護衛艦、ひゅうが級ヘリコプター搭載護衛艦は

1番艦DDH181「ひゅうが」がアイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッドで建造され、

2番艦DDH182「いせ」もアイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッドで建造された。

基準排水量は13500トン、満載排水量は19000トンである。

全長197,0m 最大幅33,0m 深さ22,0m となっている。

主機はゼネラル・エレクトリックLM2500ガス・タービン4基で10000馬力である。

乗員は347名、定員は514名、搭載航空機3機以上 である。

推進器は5翼ハイ・スキュード可変ピッチ・プロペラで、主発電機は2400kw×4である。

 兵装はMk41垂直発射システム16セルにRIM-162発展型シー・スパロー・ミサイル艦対空ミサイル4セル16発(射程50km)、RUM-139A垂直発射アスロック12セル12発(投射距離10km)、HOS-3033連装短魚雷発射管2基 に97式魚雷、Mk46魚雷 が使用可能である。個艦防空にMk15ブロック1Bファランクス20mm機関砲近接防御武器システム2基 (対空/対水上)である。

射撃統制装置はFCS-3Aで、 捜索用にCバンド・レーダー、ミサイル誘導用Xバンド ・レーダーを使用する。

対潜装備にOQQ-21ソナー・システム 、情報処理にOYQ-10情報処理装置、戦術データ・リンクにLINK11戦術データ・リンク、LINK16戦術データ・リンク を使用する。そのほかの電子装備にNOYQ-1艦内統合ネットワーク 、OJN-11航空機運用支援装置 、OYQ-51洋上ターミナル、NOLQ-3C電子戦装置 、NORA-1C広帯域衛星通信装置(Xバンド)、 NORA-7広帯域衛星通信装置(Xバンド)、 NORQ-1衛星通信装置(Kuバンド)、 USC-42衛星通信システム(対アメリカ用)、

NORC-4Bインマルサット衛星通信装置 、OPX-11敵味方識別装置、ORQ-1Cデータ・リンク(対ヘリコプター)、OPS-20C航海レーダーがある。

 

搭載航空機はシコルスキー/三菱重工業 SH-60K哨戒ヘリコプターである。 磁気探知装置、ディッピング・ソナー(低周波アクティブ・ソナー)、逆合成開口レーダー(テレフォニクスAN/APS-147)、FLIR(レイセオンAAS-44赤外線レーザー探知測距追跡セット)を装備し、兵装は AGM-114Mヘルファイア対戦車・対水上ミサイル、74式車載機銃(7,62mm×51)、Mk46魚雷 、EADS AAR-60ミサイル発射探知システム 、BAEシステムズ ALE-47カウンターメジャーディスペンサーシステム である。

2013 安倍晋三政権と国家安全保障改革

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1章 『安全保障と防衛力に関する懇談会報告書』(平成25年)

 

 

安倍晋三内閣総理大臣は国家安全保障改革に乗り出した。「国家安全保障戦略の策定」、「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」の改定、これら作業に資するため安全保障と防衛力に関する懇談会を開催することになった。

 

安全保障と防衛力に関する懇談会の構成員は、座長に北岡伸一・国際大学学長・政策研究大学院大学教授、構成員に海老原紳・住友商事株式会社顧問(元在英国日本国大使)、折木良一・防衛大臣補佐官(前統合幕僚長)、中江公人・防衛省顧問(元防衛事務次官)、中西輝政・京都大学名誉教授、福島安紀子・公益財団法人東京財団上席研究員、細谷雄一・慶應義塾大学教授、谷内正太郎・内閣官房参与(元外務事務次官)が選定された。(注1)

 

注1 首相官邸『安全保障と防衛力に関する懇談会報告書』(平成25年)

 

 

第1節     安全保障と防衛力に関する懇談会 第1回

 

 安全保障と防衛力に関する懇談会の第1回は平成25年9月12日におこなわれた。配布された資料に「安全保障と防衛力に関する懇談会の開催について」、「安全保障と防衛力に関する懇談会の運営について」、「諸外国の国家安全保障戦略」、「我が国を取り巻く外交・安全保障環境(外務省)」、「我が国を取り巻く軍事・安全保障環境(防衛省)」がある。

 懇談会有識者以外の出席者は、安倍晋三・内閣総理大臣、麻生太郎・副総理、菅義偉・内閣官房長官、岸田文雄・外務大臣、小野寺五典・防衛大臣、加藤勝信・内閣官房副長官、世耕弘成・内閣官房副長官、杉田和博・内閣官房副長官、磯崎陽輔・内閣総理大臣補佐官、米村敏朗・内閣危機管理監、高見澤蔣林・内閣官房副長官補、兼原信克・内閣官房副長官補、北村滋・内閣情報官、平松賢司・外務省総合外交政策局長、徳地秀士・防衛省防衛政策局長である。

 「諸外国における国家安全保障戦略」では、各国とも「国家安全保障の概念を幅広く捉え」、「安全保障上の目標を掲げつつ」、「今後とるべき具体的方策を示している」と指摘している。

 2010年版のアメリカの国家安全保障戦略として、21世紀の課題を克服できる国際秩序の形成を目指すことを明示し、リーダーシップの再構築と国民の安全確保を国家安全保障上の最優先事項としている。また、国力のすべての要素を動員して安全保障上の能力を刷新することを明示している。不朽の利益としてアメリカ・同盟国の安全保障、強力なアメリカ経済、普遍的価値、国際秩序を掲げている。アメリカの利益として、安全保障、繁栄、普遍的価値、国際秩序をあげている。

 オーストラリアの国家安全保障戦略の特徴として国民の安全と強靭性の確保、主権の保護・強化、財産・インフラ・機構の保護、好ましい国際環境の促進を指摘している。

 イギリスの国家安全保障戦略の特徴として、安全で強靭なイギリスの確保、安定した世界の形成を明示したうえで、国際テロ、サイバー攻撃、大規模事故・自然災害、国家間の軍事危機をイギリスのリスクとしている。イギリス特有の役割として強い経済が安全保障の基本としている。また世界的ネットワークの中心がイギリスと捉えている。

 韓国の国家安全保障戦略の特徴として、「成熟した世界国家・グローバル・コリア」を設定し、半島重視からの脱却を考えている。戦略目標として、南北関係の共存共栄化、協力的ネットワーク外交の拡大、包括的外交政策の推進、先進的な防衛システムの構築を明記している。

 外務省の作成した「我が国を取り巻く外交・安全保障環境」では、アジア太平洋地域でパワー・バランスの変化が最も劇的に起こっていると指摘し、アメリカのリバランス政策、中国の脅威、北朝鮮情勢の深刻化、アジア太平洋地域に関心を示すロシア、国際的プレゼンスを向上させようとする韓国、経済成長する東南アジア、戦略的重要性を高めるオーストラリア、グローバル・パワーとなるインドを具体例としている。

 また日本に波及する地域情勢としてアラブの春、シリア・エジプト情勢、イランの核開発を指摘している。またサイバー、海洋、テロ、開発、世界経済の脆弱性、資源確保の動きを注視している。

 防衛省の作成した「我が国を取り巻く軍事・安全保障環境」では中国、北朝鮮をあげ、我が国周辺の安全保障環境は一層厳しさを増している、とし、さらにグレーゾーン事態の長期化と重大事態への可能性、サイバー空間の危機を指摘している。グローバルな安全保障環境でも国際社会の多極化による問題、破綻国家の問題、サイバー攻撃力を持つ国家の問題を指摘している。またアメリカの国防費の削減の影響も指摘している。(注1)

 

注1 首相官邸『安全保障と防衛力に関する懇談会報告書』(平成25年)

 

 

 

第2節     安全保障と防衛力に関する懇談会 第2回

 

 安全保障と防衛力に関する懇談会の第2回は平成25年9月30日におこなわれた。配布された資料に「国家安全保障戦略について」、「国家安全保障戦略に盛り込むことが考えられる要素」がある。

 懇談会有識者以外に、杉田和博・内閣官房副長官、磯崎陽輔・内閣総理大臣補佐官、米村敏朗・内閣危機管理監、高見澤蔣林・内閣官房副長官補、北村滋・内閣情報官、平松賢司・外務省総合外交政策局長、徳地秀士・防衛省防衛政策局長が出席している。

 「国家安全保障戦略について」、「国家安全保障戦略に盛り込むことが考えられる要素」では国益と目標として「国際協調主義に基づく積極的平和主義」を掲げ、我が国がとるべき戦略的アプローチとして、我が国の役割・能力の強化・拡大、日米同盟の強化、価値観を共有する国々との連帯、アジア太平洋地域と国際社会の平和と安定のための外交・安全保障戦略の強化、国際社会の平和と安定の積極的構築が示された。

 出席者からは、「我が国周辺の安全保障環境が悪化していることを明記すべき」、「NSCが司令塔機能の下、不断の検討を行っていくべきである」、「国家安全保障戦略は政府全体として日本の外交安全保障戦略リードする文章であること」、「個別政策に関する戦略も重要である」、「国家安全保障戦略の理念として、非軍事的な手段、外交的な手段を駆使して国家安全保障を確保していくという、平和国家としての方針を掲げていくとともに、国際協調主義、積極的平和主義をはっきりと打ち出すべきである。」、「予防の視点にも力を置くべき」、「他の海洋国家とのネットワーク強化を打ち出すべき」、などの声が上がった。(注1)

 

注1 首相官邸『安全保障と防衛力に関する懇談会報告書』(平成25年)

 

 

 

 

第3節     安全保障と防衛力に関する懇談会 第3回

 

 安全保障と防衛力に関する懇談会の第3回は平成25年10月9日におこなわれた。配布された資料に「国家安全保障戦略のイメージ(盛り込むべき主な要素)」がある。

 懇談会有識者以外に、杉田和博・内閣官房副長官、磯崎陽輔・内閣総理大臣補佐官、米村敏朗・内閣危機管理監、高見澤蔣林・内閣官房副長官補、北村滋・内閣情報官、平松賢司・外務省総合外交政策局長、徳地秀士・防衛省防衛政策局長が出席している。

 「国家安全保障戦略のイメージ(盛り込むべき主な要素)」では、国家安全保障に関する基本方針を策定する必要を主張、NSCにおける普段の検討の必要性を指摘している。我が国が堅持すべき理念として自由民主主義国家として、平和国家の道を歩み、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、世界の平和と安定及び繁栄の確保をこれまで以上に積極的に寄与していく、としている。

 国益は我が国の平和と安全、さらなる繁栄、普遍的価値やルールに基づく国際秩序の維持・促進としている。

 課題として、パワーバランスの変化、国際公共財のリスク、大量破壊兵器の拡散、国際テロの脅威、人間の安全保障、グローバル経済を指摘し、特に北東アジアでは中国、北朝鮮の脅威を指摘している。

 我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチとして我が国の役割・能力の拡大・強化(外交・防衛・情報・サイバーなど)、日米同盟の強化、アジア太平洋地域及び国際社会の安定化と積極的寄与、価値観を共有する国々との連帯、国家安全保障を支える国内基盤の強化と内外における理解推進、をあげている。

 出席者からは、「平和国家として、力による現状変更をせず、外交的手段によって平和を維持することを強調すべきではないか。」、「我が国の伝統・文化を大切にするといった要素も国益に含まれるのではないか。」、などの声が上がった。(注1)

 

注1 首相官邸『安全保障と防衛力に関する懇談会報告書』(平成25年)

 

 

 

 

第4節     安全保障と防衛力に関する懇談会 第4回

 

  安全保障と防衛力に関する懇談会の第4回は平成25年10月21日におこなわれた。配布された資料に「「国家安全保障戦略のイメージ(盛り込むべき主な要素)」」、「防衛力の在り方検討委員会における議論の概要において」がある。

 懇談会有識者以外の出席者は、安倍晋三・内閣総理大臣、麻生太郎・副総理、菅義偉・内閣官房長官、岸田文雄・外務大臣、小野寺五典・防衛大臣、加藤勝信・内閣官房副長官、世耕弘成・内閣官房副長官、杉田和博・内閣官房副長官、磯崎陽輔・内閣総理大臣補佐官、米村敏朗・内閣危機管理監、高見澤蔣林・内閣官房副長官補、兼原信克・内閣官房副長官補、北村滋・内閣情報官、平松賢司・外務省総合外交政策局長、徳地秀士・防衛省防衛政策局長である。

「国家安全保障戦略のイメージ(盛り込むべき主な要素)」ではNSC司令塔機能の下、政治の強力なリーダーシップにより政府全体として、外交政策及び防衛政策を中心とした国家安全保障戦略を一層戦略的かつ体系的なものとして実施し、我が国が掲げる理念、今後も平和国家として国際協調主義に基づく積極的平和主義をこれまで以上にとる、としている。

 「防衛力の在り方検討委員会における議論の概要において」では、北朝鮮、中国の脅威とアメリカのプレゼンスを指摘するとともに、グレーゾーン事態と重大事態化、サイバー戦など我が国の安全保障環境の一層の深刻化を主張している。平成22年に係る防衛計画の大綱では、平素からのISR活動、迅速かつシームレスな対応、周辺海空域の安全確保、島嶼部に対する攻撃への対応、サイバー攻撃への対応、ゲリラや特殊部隊に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、複合事態への対応、大規模・特殊災害への対応を特に重視し、アジア太平洋地域の安全保障環境の安定化のためISR活動、訓練・演習を我が国周辺において実施し、日米同盟、多国間交流の多層化、能力構築支援へ取り組むこと、を明記しているが、防衛力の在り方検討委員会では役割の具体的な内容を充実していく、各種事態に自衛隊が有効に対応できるか検証するとした。

 自衛隊体制整備に当たっての重視事項として各種装備等の充実、無人アセットの導入、航空優勢及び海上優勢の確実な維持、機動展開能力、水陸両用機能の確保、統合輸送の充実強化、民間輸送力の活用、弾道ミサイル攻撃への対応での総合的な対応能力の充実、重要施設防護能力の整備、サイバー攻撃への対応で外国や民間企業との連携・強化、専門家の育成を重視している。

 また、統合運用の強化、陸上自衛隊の中央指揮組織の設置、情報共有・データリンク、人的情報収集機能の強化、分析要員の確保・育成、無人機の導入による情報機能の強化、宇宙空間利用の促進、海外での活動能力強化、海洋安全保障への積極的な取り組みも指摘している。

 「我が国はシーパワー国家であることを明白に打ち出すべき」、「国家安全保障戦略の見直し時期について」、「情報機能の強化について中長期的であるべき」、「武器輸出三原則について世界の平和に貢献するようなものに変えていくべき」、「中国について戦略的互恵関係に基づいてメッセージを発すべき」、「国際協調主義に基づく積極的平和主義を実践していくうえでPKOや能力構築支援を大綱に盛り込むべき」、などの声が上がった。(注1)

 

注1 首相官邸『安全保障と防衛力に関する懇談会報告書』(平成25年)

 

 

第5節     安全保障と防衛力に関する懇談会 第5回

 

 安全保障と防衛力に関する懇談会の第5回は平成25年11月11日におこなわれた。配布された資料に「新防衛計画の大綱に盛り込むべきことが考えられる要素」、「対照表」、「自衛隊の体制整備の方向性(案)」がある。

 懇談会有識者以外に、杉田和博・内閣官房副長官、磯崎陽輔・内閣総理大臣補佐官、米村敏朗・内閣危機管理監、高見澤蔣林・内閣官房副長官補、北村滋・内閣情報官、平松賢司・外務省総合外交政策局長、徳地秀士・防衛省防衛政策局長が出席している。

 「新防衛計画の大綱に盛り込むべきことが考えられる要素」では国家安全保障戦略が与える指針を踏まえ、グレーゾーン事態が増加、宇宙空間及びサイバー空間における安定利用、中国の脅威、北朝鮮問題の深刻化、ロシア軍の近代化と活発化、同盟国・友好国との協力、海上交通の安全の確保、一国・一地域での混乱等の国際社会への影響に対し、国際協調主義に基づく積極的平和主義の観点からアジア太平洋地域と世界の平和と安定へ積極的に寄与し、この理念の下に適切な防衛力と総合的な防衛体制、外交政策を進める、としている。

また、日米同盟の強化で安全保障協力を積極的に推進する。一方で軍事大国にならず、非核三原則を守り、統合的な防衛力を整備する、としている。

 これらのために、統合的な防衛力を構築、国際平和協力活動をより積極的に実施し、後方支援と情報指揮通信機能を充実し、即応性、機動性、持続性、強靭性、連接性を重視した防衛力を整備する、としている。また、日米同盟の強化、アジア太平洋地域・国際社会との協力も重要としている。

 防衛力の在り方として、ISR活動による情報優越の確保、各種事態にシームレスに対応、長期化に対応、複合事態に対応、訓練・演習の適切な実施、同盟国・二国間・多国間の防衛協力、軍備管理軍縮の推進、を指摘している。

 自衛隊の体制として、統合機能の充実、警戒監視能力、情報機能、輸送能力、指揮統制・情報通信能力、島嶼部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、サイバー空間及び宇宙空間における対応、大規模災害等への対応、国際平和協力活動等への対応を重視し、実践的な訓練・演習、駐屯地・基地等の抗たん性向上、民間空港・港湾の使用の検討、防衛生産・技術基盤・装備品の効率的な取得などを目指している。

 出席者からは、「統合機能の充実が重要」、「国連事務総長特別代表に我が国から送り込むことを目指すべき」、「無人機・ティルト・ローター機を導入することは有効」、「弾道ミサイル攻撃への対応で日米協力が重要」、「国家安全保障戦略に合わせた武器輸出三原則の見直し」などの声が上がった。(注1)

 

注1 首相官邸『安全保障と防衛力に関する懇談会報告書』(平成25年)

 

 

第6節     安全保障と防衛力に関する懇談会 第6回

 

 安全保障と防衛力に関する懇談会の第6回は平成25年11月27日におこなわれた。配布された資料に「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について(盛り込むべき主な要素)」がある。

 懇談会有識者以外に、杉田和博・内閣官房副長官、磯崎陽輔・内閣総理大臣補佐官、米村敏朗・内閣危機管理監、高見澤蔣林・内閣官房副長官補、北村滋・内閣情報官、平松賢司・外務省総合外交政策局長、徳地秀士・防衛省防衛政策局長が出席している。

 「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について(盛り込むべき主な要素)」がある。

これでは、「新防衛計画の大綱に盛り込むべきことが考えられる要素」に基づいた提言がなされている。出席者からは、「グレーゾーン事態が一番の問題・脅威」、「NSCの司令塔としての機能が重要」、「動的防衛力というコンセプトを維持すべき」、「質・量ともに強い防衛力を」、「統合司令部に関する在り方も検討」、などという声が上がった。(注1)

 

注1 首相官邸『安全保障と防衛力に関する懇談会報告書』(平成25年)

 

 

第7節     安全保障と防衛力に関する懇談会 第7回

 

 安全保障と防衛力に関する懇談会の第7回は平成25年12月11日におこなわれた。

配布された資料に「国家安全保障戦略(概要)(案)」、「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について(概要)(案)」がある。

 懇談会有識者以外の出席者は、安倍晋三・内閣総理大臣、麻生太郎・副総理、菅義偉・内閣官房長官、岸田文雄・外務大臣、小野寺五典・防衛大臣、加藤勝信・内閣官房副長官、世耕弘成・内閣官房副長官、杉田和博・内閣官房副長官、磯崎陽輔・内閣総理大臣補佐官、米村敏朗・内閣危機管理監、高見澤蔣林・内閣官房副長官補、兼原信克・内閣官房副長官補、北村滋・内閣情報官、平松賢司・外務省総合外交政策局長、徳地秀士・防衛省防衛政策局長である。

 「国家安全保障戦略(概要)(案)」、「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について(概要)(案)」は、「国家安全保障戦略」、「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について」に反映されることとなった。

 出席者からは、「グレーゾーン事態の増加にシームレスに対応がキーワード」、「産官学で先進的なデュアルユース技術を開発すべき」、「我が国がグローバル・プレーヤーとして今後とも一層の責任と役割を果たしていくことが重要である。」、「海洋国家として、他の海洋国家と連携していくことが重要である。」、「積極的平和主義の三本柱として、外交、防衛と並んで開発援助を位置付けるべきである。」、「国家安全保障戦略は柔軟に取り組んでいく必要がある。」、「オール・ジャパンの支持があるということを出す意味でも前政権が使った動的防衛力という言葉を使うことに意味があるのではないか。」などの声が上がった。(注1)

 

注1 首相官邸『安全保障と防衛力に関する懇談会報告書』(平成25年)

 

 

第2章 国家安全保障戦略

 

 

平成25年12月17日に国家安全保障会議と閣議で決定された。

 「国防の基本方針について」(昭和32年5月20日国防会議及び閣議決定)に変わるものとなる。

 

Ⅰ 策定の趣旨

 

 政府の最も重要な責務は、我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うすることである。豊かで平和な社会を引き続き発展させていくためには、我が国の国益を長期的視点から見定めたうえで、国家安全保障のための方策に政府全体で取り組んでいく人用がある。

 

 政府は本戦略に基づき。国家安全保障会議(NSC)の司令塔機能の下、政治の強力なリーダーシップにより、政府全体として国家安全保障政策を一層戦略的かつ体系的なものにしていく。

 

Ⅱ 国家安全保障の基本理念

 

 我が国は豊かな文化と伝統を有する自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値を掲げた経済大国で、広大な排他的経済水域と長い海岸線を持つ海上貿易と海洋資源の開発によって成り立つ海洋国家でもある。

 共通の価値観を持つアメリカとの同盟を進化させ、アジア太平洋地域の平和と安定を実現してきた。また国際社会の繁栄に寄与してきた。

 我が国は専守防衛に徹した平和国家で他国に脅威を与える軍事国家にならず、非核三原則を守ってきた。

 一方で、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しており、我が国が国力にふさわしい形で国際社会の平和と安定のため積極的に役割を果たすことが期待されている。

 我が国は平和国家として国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場からアジア太平洋地域の平和と安定、国際社会の平和と安定の確保にこれまで以上に積極的に寄与していくこのことが、我が国が掲げるべき国家安全保障の基本理念であるとしている。

 

2 我が国の国益と国家安全保障の目標

 

 我が国の国益とは「我が国自信の主権・独立を維持す、領域を保全し、我が国国民の生命・身体・財産の安全を確保することであり、豊かな文化と伝統を継承しつつ、自由と民主主義を基調とする我が国の平和と安全を維持し、その存立をまっとうすることである。」としている。

 また、「経済発展を通じて我が国とわが国国民のさらなる繁栄を実現し、我が国の平和と安全をより強固にすること」が国益としている。

 そのために、アジア太平洋地域において自由な交易によって自由貿易体制を強化し、安定性と透明性の高い国際環境の実現が必要としている。

 さらに前出の普遍的価値やルールに基づく国際秩序の維持・擁護も国益としている。

 これら国益を守り、我が国に見合った国際社会における責任を果たすため「国際協調主義に基づく積極的平和主義」を我が国の基本理念として以下の国家安全保障の目標を挙げている。

 我が国の存立の全う、日米同盟の強化と域内外のパートナーとの信頼・協力関係の強化によるアジア太平洋地域の安全保障環境の改善、外交努力と人的貢献による普遍的価値やルールに基づく国際秩序の強化、グローバルな安全保障環境の改善で反映する国際社会の構築、を目指している。

 

Ⅲ 我が国を取り巻く安全保障環境と国家安全保障上の課題

 

 1 グローバルな安全保障環境と課題

 

  中国、インド等新興国の国際社会における存在感の高まりと一方で、弱まりつつも依然アメリカの圧倒的な国力があるなど、パワーバランスの変化がある。また主権国家は国際社会における主要な主体でありながらグローバル化の進展により、国会外の主体も重要になりつつある。

 大量破壊兵器等の拡散の脅威は地域にとどまらず国際社会の平和と安定に重大な影響を及ぼし、国際テロ組織の大量破壊兵器取得の懸念がある。国際テロ組織は破綻国家などを拠点に広がりを見せ、多様化もしつつある。

 国際公共財(グローバル・コモンズ)に関するリスクとして国際法を尊重しない一方的な現状変更、宇宙空間やサイバー空間に対する認識の違いなどの問題がある。こうした問題に取り組むことが経済と安全保障に重要であるが問題はさらに増えつつある。

 エネルギー、食料、水資源の需要増大が新たな紛争原因になっている。また国際金融など国際経済も安全保障上の懸案である。

 

 2 アジア太平洋地域の安全保障環境と課題

 

  グローバルなパワーバランスの変化はこの地域の緊張を生み出し、特にこの地域は大規模な軍事力を有する国家等が集中、各国の安全保障観も多様で、地域協力も不十分である。

 このような状況で主権、権益をめぐり平時でも有事でもないグレーゾーン事態を含む各種事態が生じやすく、さらなる事態の悪化も予想される。

 特に北朝鮮の大量破壊兵器は我が国を中心に地域の安全保障環境を悪化させている。また中国の透明性を欠いた高い国防費の伸び、軍事力の強化と国際法秩序をを無視した行動は我が国と我が国周辺の脅威となり、公海と公海上空の自由を妨げようとしている。

 

Ⅳ 我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチ

 

 「経済力、技術力に加え外交力、防衛力等を強化し、国家安全保障上の我が国の強靭性を高めることは、アジア太平洋地域をはじめとする国際社会の安定につながる」としている。

 また国家安全保障上の課題を克服し、目標を達成するためには「日米同盟」を基軸に、「各国との協力の拡大・深化」、「総合的な施策の推進」が必要としている。

 

 我が国がとるべきアプローチとして、

 

1 我が国の能力・役割の強化・拡大

2 日米同盟の強化

3 国際社会の平和と安定のためのパートナーとの外交・安全保障協力の強化

4 国際社会の平和と安定のための国際的努力への積極的関与

5 地球規模課題解決のための普遍的価値を通じた協力の強化

6 国家安全保障を支える国内基盤の強化と内外における理解推進

 

を掲げている。

 

 具体的には

1 安定した国際環境創出のための外交強化、

2 我が国を守り抜く総合的な防衛体制の構築、

3 領域保全に関する取組の強化、

4 海洋安全保障の確保、

5 サイバー・セキュリティの強化、

6 国際テロ対策の強化、

7 情報機能の強化、

8 防衛装備・技術協力、

9 宇宙空間の安定的利用の確保及び安全保障分野での活用の推進、

10 技術力の強化、

11 幅広い分野における日米間の安全保障・防衛協力のさらなる強化、

12 安定的な米軍プレゼンスの確保、

13 韓国・オーストラリア・ASEAN諸国及びインドといった我が国と普遍的価値と戦略的利益を有する国との協力関係を強化、

14 日中で「戦略的互恵関係」を構築し、軍事力の透明性と開放性を向上させるよう促していき、不測の事態の発生の回避と防止をめざし中国に力による現状変更の試みの自制を求める、

15 北朝鮮と拉致・ミサイル・核などの包括的解決に取り組む、

16 安全保障とエネルギー分野でロシアと協力、

17 地域協力の枠組みや友好国との協力、

18 太平洋島嶼国と太平洋・島サミットを通じての海洋協力、

19 国際社会の平和と安定に向けて重要な役割を果たすアジア太平洋地域外諸国との協力、

20 国連外交の強化、法の支配の強化、軍縮・不拡散に係る国際努力の主導、

21 国際平和協力の推進、国際テロ対策における国際協力の推進、

22 普遍的価値の共有、開発問題及び地球規模課題への対応と「人間の安全保障」の実現、

23 開発途上国の人材育成に対する協力、

24 自由貿易体制の維持・強化、エネルギー・環境問題への対応、

25 人人との交流の強化、

26 防衛生産・技術基盤の維持・強化、情報発信の強化、

27 国家安全保障上の社会的基盤の強化、国家安全保障上の知的基盤の強化

 

が挙げられている。

 

 

第3章 平成26年以降に係る防衛計画の大綱について

 

 平成26年以降に係る防衛計画の大綱は平成25年12月17日に国家安全保障会議と閣議で決定された。これにより「平成23年以降に係る防衛計画の大綱について」(平成22年12月17日安全保障会議及び閣議決定)は、平成25年度限りで廃止された。

 

我が国を取り巻く安全保障環境

 

1  グローバルな安全保障環境に置いては一国・一地域で生じた混乱や問題が直ちに国際社会に直面し、不安定要因に拡大するようになった。

2  中国、インド、アメリカなどのパワーバランスの変化により、国際社会の多極化が進行するものの、依然、アメリカが世界最大の国力を有する。

3  国家間では地域紛争が絶えず、主権、権益をめぐり有事でも平時でもないグレーゾーン事態が増加している。

4  破綻国家の存在は国際テロの拡大・拡散の温床となっている。

5  海洋においては海賊行為の発生、国際法についての独自の主張に基づく自国権利の一方的主張などが見られ、公海の自由が侵害される状況が生じている。

 

6  アジア太平洋地域においてもグレーゾーン事態の長期化、重大化の可能性がある。

7  北朝鮮の軍事的挑発行為、大量破壊兵器、弾道ミサイルの開発・配備・拡散、特殊部隊の保持は我が国、地域の重大な不安定要因である。

8  中国は継続的に高い水準で国防費を増加させ、軍事力を急速に増加させ、さらに周辺地域への他国軍隊の接近・展開阻止し、地域での他国の軍事活動を阻害する非対称的な軍事能力の強化に取り組んでいる。

9  また中国は東シナ海、南シナ海などで海空域で活動を活発化、力による現状変更を試み、我が国領海、領空へ侵入し、「東シナ海防空識別圏」設定など公開上空の飛行の自由を妨げる行為を引き起こしている。

10  さらに中国は軍艦艇、航空機による太平洋進出を常態化させている。

11  ロシアは軍改革を進展させ、即応態勢強化と新型装備の導入で軍事力を近代化させ、活動も活発である。

12  アメリカは戦略の重点をアジア太平洋地域に置くとの方針(リバランス)を明確化し、同盟国・友好国との協力拡大を図りつつ地域への関与を進めている。また、この地域における現状変更の試みに対しても阻止する姿勢を明確にしている。

 

13  四面環海のわが国は、長い海岸線、島嶼、広大な排他的経済水域を有し海洋国家、貿易国家である我が国は法の支配、航行の自由など「開かれ安定した海洋」の秩序の強化、海上交通、航空交通の安全の確保が重要である。

14  我が国は自然災害が多く、都市部に国家基盤が集中している安全保障上の脆弱性があり、大規模災害などへの対処に万全を期す必要性が増している。

 

15  冷戦期に懸念されていた主要国間の大規模武力紛争の蓋然性は低いものと考えられるが、安全保障上の不安定要因は顕在化、先鋭化しており、我が国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増している。

 

 

 

我が国の防衛の基本姿勢

 

1 基本方針

 

 国家安全保障戦略をふまえ、国際協調主義に基づく積極的平和主義の観点から外交力、防衛力等を強化し、自らが果しえる役割の拡大を図るとともに、日米同盟を基軸に各国と協力し我が国の安全、アジア太平洋地域の平和と安定を追求し、世界の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していく。

 この基本理念のもと、総合的な防衛体制を構築し、各種事態の抑止・対処のための体制を強化し、日米同盟を強化しつつ諸外国との安全保障協力を積極的に推進する。

 日本国憲法のもと専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本方針に従い、文民統制と非核三原則を順守し統合的な防衛力を整備する。

 核兵器の脅威に対してはアメリカの拡大抑止が不可欠であり、アメリカと緊密に協力し、弾道ミサイル防衛、国民保護に適切に対応する。

 

2 我が国自身の努力

 

ア 根幹となるのは自らが行う努力であるとの認識に基づき、同盟国、友好国と連携しつつ国家安全保障会議の司令塔機能のもと、各種事態の抑止につとめ、事態発生に対してはシームレスに対応する。

 

イ 総合的な防衛体制の構築

  実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備し、統合運用を基本とする柔軟かつ即応性の高い運用に努める。

   平素から関係機関が緊密な連携を確保する。

政治の強力なリーダーシップで迅速かつ的確な意思決定を行いシームレスに対応する。

 

ウ 我が国の防衛力-統合機動防衛力の構築

   防衛力は我が国の安全保障の最終的な担保である。

  我が国を取り巻く安全保障環境が刻々と変化する中、防衛力を不断に見直し、変化に適応していく。

   想定される各種事態への対応について、自衛隊全体の機能・能力に着目した統合運用の観点から能力評価し、総合的な観点から特に重視すべき機能・能力を導き出し、限られた資源を重点的かつ柔軟に配分する。

   グレーゾーン事態を含め自衛隊の対応が求められる事態が増加している。平素から情報収集・警戒監視・偵察(ISR)を行う。

   事態の推移に応じ訓練・演習を戦略的に実施、安全保障環境に即した部隊配置と部隊の機動展開を迅速に行う。

   これらにより我が国の高い防衛意思と能力を示し、事態の深刻化を防ぐ。

   また各種事態が発生した場合には必要な海上優勢、航空優勢を確保し被害を最小化する。そのため装備の運用水準を高め、活動量を増加させ統合運用を機動的かつ持続的に実施していき、防衛力の「質」と「量」を必要十分に確保し、抑止力及び対処能力を高める。

   国際協調主義に基づく積極平和主義の立場から、アジア太平洋地域の安定化に向け各国と協力関係を強化するとともに、国際平和協力活動に積極的に取り組む。

   以上の観点からシームレスかつ状況に臨機に対応し、機動的に行いえる実効的なものとしていく必要がある。このため統合機動防衛力を構築する。

 

 

3 日米同盟の強化

 

 日米安全保障条約に基づく日米安全保障体制は、我が国自身の努力と相まって我が国の安全保障の基軸であり、アジア太平洋地域、世界全体の「公共財」として機能している。

 アメリカはリバランス政策に基づき同盟国等と連携・協力しつつプレゼンスの維持・強化を進めている。我が国を取り巻く安全保障環境の厳しさは日米同盟をこれまで以上に重要なものとしている。

・アメリカのアジア太平洋地域にたいするコミットメントを維持強化するため、我が国自身の能力を強化することを前提として「日米防衛協力のための指針」の見直しを進める。これにより日米同盟の抑止力、対処力を強化していく。

・西太平洋における日米プレゼンスを高め、グレーゾーン事態を含む各種事態までシームレスな協力態勢を構築する。

・そのため共同訓練・演習、共同のISR活動、施設・区域の共同使用の拡大を推進し、弾道ミサイル防衛、拡大抑止協議など中長期的な戦略も含め、運用協力、政策調整を一層緊密に推進する。

・海賊対処、人道支援、テロ対策、サイバー分野などにおける協力を推進し、国際社会の平和と安定に貢献する。

 

4 安全保障協力の積極的な推進

 

 ・多国間枠組みがアジア太平洋地域においては進展してきているものの安全保障上の課題は深刻化している。

 ・そのため韓国と情報保護協定や物品役務相互提供協定の締結などを推進し、連携の基盤とする。

 ・安全保障上の利益を共有するオーストラリアとの関係も一層深化させる。

 ・日米韓、日米豪の三国間の協力関係を強化、アメリカの同盟国間の相互連携を推進する。

 ・中国の動向は地域の安全保障に大きな影響を与えるため対話、交流を図るとともに信頼醸成措置の構築を進める。中国の急速な活動の拡大・活発化には冷静かつ毅然に対応する。

 ・ロシアとは信頼関係の増進を図るため、外務・防衛閣僚協議(「2+2」)などの安全保障対話、ハイレベル交流、部隊間交流を推進し、地域の暗手に資する。

 ・東南アジア諸国等の域内パートナーこくとの関係をより一層強化し、共同訓練・演習、能力構築支援を積極的に推進する他、防災面での協力を強化する。

 ・インドとは海洋安全保障など幅広い分野において関係を強化する。

 ・グローバルな安全保障環境改善のため各種取り組みを強化する。平素から安全保障上の利益を共有する関係国および国際機関等と巨力氏、地域紛争、国際テロの拡大・拡散、破綻国家、大量破壊兵器の拡散、海洋・宇宙空間・サイバー空間をめぐるグローバルな安全保障上の課題に対応するため軍備管理、軍縮、不拡散、能力構築支援などに取り組む。その際は欧州連合、北大西洋条約機構、欧州安全保障協力機構、イギリス、フランスなどヨーロッパ諸国と協力する。

 ・国際協調主義に基づく積極平和主義のもと、アジア太平洋地域の安全保障環境の安定化とグローバルな安全保障環境の改善のため国際平和協力活動を積極的かつ多層的に推進する。

 

防衛力の在り方

 

1 防衛力の役割

 

 各種事態に適時・適切に対応し、国民の生命と財産と領土・領海・領空を確実に守り抜くため情報優越を確保する。

 グレーゾーン事態を含む各種事態に対しては、兆候段階からシームレスかつ機動的に対応する。

 複数の事態が連続的、同時並行的に発生する場合においても実効的な対応を行う。

 周辺海空域における安全確保、島嶼部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、宇宙空間及びサイバー空間における対応、大規模災害等への対応には特に重視する。

 我が国周辺において、常時監視や訓練・演習等の各種活動を適時・適切に実施することにより、アジア太平洋地域の安全保障環境の安定を確保する。

 同盟国、二国間、多国間の共同訓練、演習、能力構築支援を推進しアジア太平洋地域の安全保障環境の安定化に枢要な役割を果たす。

 グローバルな安全保障環境の改善に取り組むことにおいて、演習・訓練の実施、防衛協力・交流の推進、能力構築支援の推進、海洋安全保障の確保、国際平和協力活動の実施、軍備管理・軍縮及び不拡散の努力への協力、を特に重視する。

 

2 自衛隊の体制整備に当たっての重要事項

 

 統合運用の観点から能力評価を実施、南西地域の防衛態勢の強化に努め、海上優勢および航空優勢の確実な維持に向けた防衛力整備を優先することとし、幅広い後方支援基盤の確立に配意しつつ、機動展開能力も重視する。

 重視すべき機能・能力として、警戒監視能力、情報機能、輸送能力、指揮統制・情報通信能力、島嶼部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、宇宙空間及びサイバー空間における対応、大規模災害等への対応、国際平和協力活動等への対応があげられた。

 

3 各自衛隊の体制

 

 陸上自衛隊

 

 機動運用を基本とする作戦基本部隊(機動師団、機動旅団及び機甲師団)を保持する他、空挺、水陸両用作戦、特殊作戦、航空輸送、特殊武器防護及び国際平和協力活動等を有効に実施し得る専門機能を備えた機動運用部隊を保持する。

 また、自衛隊配備空白地域となっている島嶼部への部隊配備、機動運用、海上自衛隊、航空自衛隊との有機的な連携・ネットワーク化の確立により島嶼部防衛の充実を図る。島嶼部に対する侵攻等に対して地対艦誘導弾部隊を保持する。

 航空自衛隊の地対空誘導弾部隊と連携し、地対空誘導弾部隊を保持する。

 

 海上自衛隊

 

 多様な任務への対応能力の向上と船体のコンパクト化を両立させた新たな護衛艦等により増強された護衛艦部隊及び艦載回転翼哨戒機部隊を保持する。

 航空自衛隊の地対空誘導弾部隊とともに弾道ミサイル攻撃への対応のためイージス・システム搭載護衛艦を保持する。

 水中における情報収集・警戒監視を平素から実施するとともに周辺海域の哨戒および防衛のため増強された潜水艦部隊を保持する。

 上記と同様の理由から固定翼哨戒機部隊を保持する。

 多様な任務へ対応できる船体をコンパクト化した新たな護衛艦と掃海部隊を保持する。

 

 航空自衛隊

 

 我が国周辺のほぼ全空域を譲治継続的に警戒監視するとともに、飛来する弾道ミサイルを探知、追尾し得る地上警戒管制レーダーを備えた警戒管制部隊のほか、グレーゾーン事態を含む各種事態において、長期間空中における警戒監視・管制を行いうる増強された警戒航空部隊からなる航空警戒管制部隊を保持する。

 能力が増強された戦闘機部隊で支援機能と一体となり防空を総合的な態勢で行いえる。

陸上部隊の機動展開や国際平和協力活動のため航空輸送部隊を保持する。

陸上自衛隊の地対空誘導弾部隊、海上自衛隊のイージス・システム搭載護衛艦とともに、弾道ミサイル攻撃への対応ための地対空誘導弾部隊を保持する。

 

 

防衛力の能力発揮のための基盤

 

 主要な編成、装備等を整備するだけでは防衛力に求められる活動を行うに十分でなく、これを下支えする基盤も強化される必要がある。

 

1 訓練・演習

 

 平素から訓練・演習を通じ事態に対処するための各種計画を不断に検討し、北海道の良好な訓練環境を一層活用する。関係機関や民間部門と連携し、体系的かつ計画的に実施する。

 自衛隊の演習場等に制約がある南西地域において日米共同訓練、演習を適時・適切に行う。

 

2 運用基盤

 

 駐屯地・基地の復能力を含めた抗たん性を高める。民間空港及び港湾についても事態に応じて早期に自衛隊の運用基盤と使用し得るよう、平素から必要な検討を行う。

 

3 人事教育

 

 精強性を確保し、厳しい財政事情下で人材を有効活用する観点から人事制度改革を行う。

そのため適切な階級構成、年齢構成を確保するための施策を実施する。

 一般の公務員より若年で退職を余儀なくされる自衛官の生活基盤を確保することは国の責務であり、再就職支援を推進する。

 

4 衛生

 

 国際平和協力活動任務などのため、自衛隊病院の拠点化、高機能化を進め、防衛医科大学校の運営の改善、効率的かつ質の高い医療体制を確立する。

 

5 防衛生産・技術基盤

 

 適切な水準の防衛生産・技術基盤は我が国の運用環境に適した装備品の研究開発にも不可欠で、潜在的に抑止力向上に寄与する。

 一方で厳しい財政事情、装備品の高度化にともなう単価の上昇があり調達数は減少している。また、海外企業の再編による競争力強化もある。共同生産・共同開発に参画する必要が求められてきている。

 このため防衛生産・技術基盤全体の将来ビジョンを示す戦略を策定する必要がある。また、装備品の民間転用を推進する。

 国際協力、平和貢献において重機等の供与で協力関係が築ける。

このため武器輸出三原則を新たな安全保障環境に適合する原則にする必要がある。

 

6 装備品の効率的の取得

 

 装備品の効果的・効率的な取得を実現するため、プロジェクト・マネージャーの仕組みを制度化し、装備品のライフサイクルを通じたプロジェクト管理を強化するとともに長期契約の導入や価格低減インセンティブを引き出す契約制度の整備を検討し、費用対効果の向上を図る。また民間能力の有効活用を図る。

 

7 研究開発

 

 厳しい財政事情のもと、防衛力整備上の優先順位との整合性を確保する。最新の科学技術動向、戦闘様相の変化、費用対効果、国際共同研究開発など中長期的視点に基づく研究開発を推進する。

 また産官学の連携、民生技術の活用に努めるとともに、民生分野に防衛技術の展開を図る。

 

8 地域コミュニティーとの連携

 

 各種事態において自衛隊が的確に対処するため、地方公共団体、警察・消防機関等の関係機関との連携を一層強化する。自衛官の募集、再就職支援の確保にも重要である。

 そのため積極的に広報等の各種施策を行い、協力、理解に努める。

 

9 情報発信の強化

 

 戦略的な広報活動を強化し、情報発信の充実に努める。

 

10 知的基盤の強化

 

 国民の安全保障に対する理解を促進するため教育機関における安全保障教育に取り組む。また防衛省・自衛隊における研究体制強化とともに、大学、シンクタンクとの連携を図る。

 

11 防衛省改革の推進

 

 文官と自衛官の一体感を醸成し、防衛力整備の全体最適化、統合運用機能の強化、政策立案、情報発信を強化するため、防衛省の業務、組織を改革する。

 

 

 

陸上自衛隊の編成定数は平成25年度末の約15万9千人から将来も変わらず15万9千人である。そのうち常備自衛官定員は15万1千人で、将来も変わらず15万1千人である。

即応予備自衛官の数も変わらず、約8千人から将来は8千人である。

 今まで機動運用部隊は中央即応集団と1個機甲師団であったが、将来は3個機動師団、4個機動旅団、1個機甲師団、1個水陸両用団、1個ヘリコプター団となる。

 地域配備部隊は従来の8個師団、6個旅団から将来は5個師団、2個旅団となる。

地対艦誘導弾部隊は平成25年度末も将来も変わらず5個地対艦ミサイル連隊である。

地対空誘導弾部隊は平成25年度末の8個高射特科群/連隊から7個高射特科群・連隊へと編成が変えられる。

 

海上自衛隊の基幹部隊は平成25年度末の護衛艦部隊は4個護衛隊群(8個護衛隊)と5個護衛隊、潜水艦部隊は5個潜水隊、掃海部隊は1個掃海隊群、哨戒機部隊は9個航空隊である。主要装備として護衛艦47隻、イージス・システム搭載護衛艦6隻、潜水艦16隻、作戦用航空機170機である。

 将来の基幹部隊は、護衛艦部隊は4個護衛隊群(8個護衛隊)と6個護衛隊、潜水艦部隊は6個潜水隊、掃海部隊は1個掃海隊群、哨戒機部隊は9個航空隊である。主要装備として護衛艦54隻、イージス・システム搭載護衛艦8隻、潜水艦22隻、作戦用航空機170機である。

 

 航空自衛隊の基幹部隊は平成25年度末に航空警戒管制部隊に8個警戒群、20個警戒隊、1個警戒航空隊(2個飛行隊)である。戦闘機部隊は12個飛行隊で、航空偵察部隊は1個飛行隊である。空中給油・輸送部隊は1個飛行隊、航空輸送部隊は3個飛行隊、地対空誘導弾部隊は6個高射群である。主要装備は作戦用航空機が約340機、うち戦闘機が260機である。

将来、基幹部隊は航空警戒管制部隊に28個警戒隊、1個警戒航空隊(3個飛行隊)である。戦闘機部隊は13個飛行隊で、航空偵察部隊は廃止である。空中給油・輸送部隊は2個飛行隊、航空輸送部隊は3個飛行隊、地対空誘導弾部隊は6個高射群である。主要装備は作戦用航空機が約360機、うち戦闘機が280機である。

 

 

 

 

 

 

 

第4章 中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)について

 

 

 平成25年12月17日に国家安全保障と閣議において、「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について」にしたがい、平成26年度から平成30年度までを対象とする中期防衛力整備計画が決定された。

 

Ⅰ 計画の方針

 

 「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について」に従い、「多様な活動を統合運用によりシームレスかつ状況に臨機に対応して機動的に行いえる実効的な防衛力として統合機動防衛力を構築する」とされた。同時に「幅広い後方支援基盤の確立に配意しつつ、高度な技術力と情報・指揮通信能力に支えられ、ハード及びソフト両面における即応性、持続性、強靭性及び連接性も重視した防衛力とする」とされた。

 

 1 

 

防衛力の役割にシームレスかつ機動的に対応し得るよう、統合機能のさらなる充実、特に警戒監視能力、情報機能、輸送能力及び指揮統制・情報通信能力のほか、島嶼部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、宇宙空間及びサイバー空間における対応、大規模災害等への対応並びに国際平和協力活動への対応のために機能・能力を重視する。

 

 2 

 

南西地域の防衛態勢の強化、海上優勢及び航空優勢の確実な維持に向けた防衛力の整備を優先。機動展開能力も重視する。

 

 3 

 

装備品の取得に当たっては「質」及び「量」の防衛力を効率的に確保する。

 

 4 

 

人事制度改革に関する施策を実施する。

 

 5 

 

アメリカのリバランスとあいまって、日米同盟の抑止力及び対処能力を強化していくため、「日米防衛協力の指針」の見直しを行う。幅広い分野における各種の協力や協議を一層充実させる。

 

 6 

 

一層の効率化・合理化を徹底した防衛力整備に努める。

 

 

Ⅱ 基幹部隊の見直し等

 

1 陸上自衛隊

 

 我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、統合運用の元、機動師団・機動旅団・機甲師団及び師団・旅団からなる作戦基本部隊や各種部隊等の迅速・柔軟な全国運用を可能とするため、方面総監部の効率化・合理化とともに陸上総隊を新設する。中央即応集団は廃止し、陸上総隊に隷下部隊を編入する。

 島嶼部に対する攻撃をはじめとする各種事態に即応し、実効的かつ機動的に対処し得るよう、2個師団及び2個旅団について、機動運用を基本とする2個機動師団及び2個機動旅団に改編する。

 沿岸監視部隊や初動を担任する警備部隊の新編等により南西地域の島嶼部の部隊態勢を強化する。

 本格的な水陸両用作戦能力を新たに整備するため連隊規模の複数の水陸両用作戦専門部隊等から構成される水陸機動団を新編する。

 一層の効率化・合理化と迅速かつ柔軟な運用のため機動戦闘車を装備する部隊の新編と、北海道及び九州以外に所在する作戦基本部隊が装備する戦車を廃止するとともに、九州に所在する戦車を西部方面隊直轄にする。

 北海道以外に所在する作戦基本部隊が装備する火砲は新編する方面隊直轄の特科部隊へ集約する。

 

2 海上自衛隊

 

 常時継続的なISR活動や対潜戦等の各種作戦の効果的な遂行と、国際平和協力活動を機動的に実施し得るよう1席のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)と2隻のイージス・システム搭載護衛艦(DDG)を中心として構成される4個護衛隊群に加え、5個護衛隊を保持する。潜水艦増勢のための必要な措置を講ずる。

 

3 航空自衛隊

 

 南西地域における防空体制充実のため、那覇基地に戦闘機部隊1個飛行隊を移動させ、さらに那覇基地に新編された警戒航空部隊1個飛行隊を配備する。

 

4 編成定数

 

 陸上自衛隊の編成定数はおおむね15万9千人程度、常備自衛官定数は15万1千人程度、即応予備自衛官は8千人程度を目途とする。海上自衛隊及び航空自衛隊の編成定数は平成25年度末の水準を目途とする。

 

 

Ⅲ 自衛隊の能力等に関する主要事業

 

 1 各種事態における実効的な抑止及び対処

 

 ア 広域においてISR活動を行い、イージス・システム搭載護衛艦(DDG)、汎用護衛艦(DD)、潜水艦、固定翼哨戒機(P-1)及び紹介ヘリコプター(SH-60K)を整備する。並びに既存装備の延命を行う。

 イ 哨戒機能を有する艦載型無人機について検討する。

 ウ 多様な任務への対応と船体のコンパクト化を両立させた護衛艦を導入する。

 エ 新たな早期警戒管制機または早期警戒機のほか、固定式警戒管制レーダーを整備する。

 オ 現有の早期警戒管制機E-767の改善とともに、滞空型無人機を新たに導入する。

 カ 航空救難機能の航空自衛隊への一元化を進める。

 キ 早期警戒機E-2Cの1個飛行隊を那覇基地に配備し、さらに移動式警戒管制レーダーを南西地域の島嶼部に配備する。

 ク 防空能力の総合的な向上を図るため、那覇基地に戦闘機部隊1個飛行隊を増勢し2個飛行隊にするほか、F-35A戦闘機の整備、F-15戦闘機の近代化、F-2戦闘機の空対空能力及びネットワーク能力の向上を実施しする。

 ケ 近代化されないF-15戦闘機を能力の高い戦闘機に代替するため必要な措置を講ずる。

 コ 中距離地対空誘導弾を整備する。

 サ 巡航ミサイルや航空機と弾道ミサイル攻撃双方への対応のため、能力向上型迎撃ミサイルPAC3MSEを導入する。

 シ 迅速かつ大規模な輸送・展開能力を確保するためC-2輸送機とCH-47JA輸送ヘリコプターを整備する。

 ス 巡航速度と航続距離が強化されているティルト・ローター機を導入する。

 セ UH-1J多用途ヘリコプターの後継機の在り方を検討する。

 ソ 島嶼部に部隊を上陸させるため水陸両用車を整備、また輸送艦を改修する。

 タ 輸送能力向上のため民間事業者の資金と知見を利用するための必要な措置を講じる。

 チ 水陸両用作戦における指揮統制・大規模輸送・航空運用能力を兼ね備えた多機能艦艇の在り方を検討する。

 ツ 陸上自衛隊の作戦基本部隊に航空機で輸送可能な機動戦闘車を導入、即応機動連隊を新編する。

 テ 南西地域の島嶼部の初動担当の警備部隊を新編する。

 ト 島嶼部への迅速な部隊展開に向けた機動展開訓練を実施する。

 ナ 精密誘導爆弾の誘導能力を整備する。

 ニ 地対艦誘導弾の整備及び艦対艦誘導弾の射程延伸を図る。

 ヌ 陸海空の統合運用を強化する。

 ネ 陸上自衛隊方面総監部の効率化・合理化とともに陸上総隊を新編する。島嶼部における基盤通信網を強化するため自衛隊専用回線を与那国島まで延伸するとともに、那覇基地に移動式多重通信装置を配備する。

 ノ データリンク機能の充実や野外通信システムの能力向上、宇宙利用の促進、Xバンド衛星通信網の整備など通信網の一層の充実の必要性を検討、措置を講ずる。

 ハ 弾道ミサイルの探知・追尾能力強化のため自動警戒管制システムの能力向上、FPS-7固定式警戒管制レーダーの整備、能力向上を推進する。

 ヒ SM-3ブロックⅡA弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイルを日米共同開発を推進し、生産・配備に向け必要な措置を講じる。

 フ 日米共同で弾道ミサイル対処態勢の共同訓練・演習を行う。

 ヘ 弾道ミサイル対処の際の展開基盤の確保に努める。

 ホ 弾道ミサイル攻撃に併せ、同時並行的にゲリラ・特殊部隊による攻撃が発生した場合を考慮し、警戒監視態勢を向上させ、原子力発電所等の重要防護施設の防護、侵入した部隊の捜索・撃破のため監視機材、軽装甲機動車、NBC偵察車、CH-47JA輸送ヘリコプターを整備する。

 マ 宇宙利用を推進する。

 ミ サイバー・セキュリティを常時確保できるよう統合機能を充実させ、指揮統制システム、情報通信ネットワークの抗たん性向上、情報収集機能、調査分析機能の強化、サイバー攻撃対処能力の検証が可能な実践的な訓練環境の整備、相手方によるサイバー空間の利用を妨げる能力の保有の可能性を視野に入れる。

 ム 大規模災害等への対応に統合運用を基本に対処する。

 メ 情報の収集、分析、共有、保全のすべての段階において情報能力を総合的に強化する。

 モ 情報収集施設の整備や能力向上、宇宙空間や滞空型無人機の積極活用を進める。

 ヤ 電波情報、画像情報など情報収集能力を抜本的に強化する。

 ユ 人的情報収集機能の強化に資する措置を講ずる。

 ヨ 海外情報の収集・分析態勢を強化する。

 ラ 能力の高い分析官の確保のための採用方法や人事構成の検討など総合的な情報収集・分析能力を強化する。

 

2 アジア太平洋地域の安定化およびグローバルな安全保障環境の改善

 

 ア アジア太平洋地域における訓練・演習の実施を積極的に推進する。

 イ ハイレベル交流のみならずさまざまなレベルで交流を実施する。

 ウ 能力構築支援の推進し安全保障環境の安定化を図る。

 エ 海洋国家である我が国の平和と繁栄の基礎である「開かれ安定した海洋」の秩序を強化し、海賊対処や沿岸国自身の能力向上を支援する。

 オ インド洋、南シナ海においても海洋安全保障において認識を共有する諸外国と共同訓練・演習を実施する。

 カ 国際平和協力活動を実施する。

 キ 軍備管理・軍縮及び不拡散の努力の分野における諸活動に協力する。

 

 

3 防衛力の能力発揮のための基盤

 

 ア 対処、抑止力の実効性を高めるため自衛隊の統合訓練・演習や日米の共同訓練・演習を目に見える形で実施し、各種計画を不断に検証し見直しを行う。

 イ 良好な訓練環境である北海道を全国の部隊で活用するため機動性の向上を進める。

 ウ 北海道に所在する練度を高めた部隊を全国へ展開可能にする。

 エ 関係機関との連携を強化する。

 オ 駐屯地・基地等の抗たん性を高める。

 カ 特に滑走路や情報通信基盤の維持、燃料の安定供給を目指す。

 キ 民間空港・港湾の自衛隊による速やかな使用を可能とする。

 ク 装備品の稼働率を低コストかつ高水準で維持できるよう原因に係る調査を行う。

 ケ 新たな契約方式で費用対効果の向上につながることにふまえ、その活用の拡大を図る。

 コ 年齢構成の適正化のための施策を講ずる。

 サ 新たな中途退職制度に関する研究を行う。

 シ 退職自衛官の雇用企業に対するインセンティブを高めるための施策や公的部門における退職自衛官の活用をさらに進める。

 ス 予備自衛官の活用と、民間輸送力における乗組員の予備自衛官の活用を検討のうえ、必要な措置を講ずる。

 セ 航空機操縦士等、専門的技能を有する予備自衛官の任用を推進する。

 ソ 予備自衛官本人や雇用企業等へインセンティブを高めるための施策を実施する。

 タ 自衛隊病院の経典化・高機能化、病院等のネットワーク化を進め防衛医科大学校病院の運営改善も更け目効率的かつ質の高い医療体制の確立を図る。

 チ 防衛医学の教育・研究拠点として防衛医科大学校の機能を強化する。

 ツ 適切な水準の防衛生産・技術基盤は我が国の運用環境に適した装備品の研究開発にも不可欠で、潜在的に抑止力向上に寄与する。

 テ 適切な水準の防衛生産・基盤技術の維持・強化ため将来ビジョンを示す戦略を策定する。

 ト アメリカやイギリスをはじめとする国際共同開発・生産等の防衛装備・技術協力を積極的に推進する。

 ナ 自衛隊が開発した装備品等の民間転用を推進する。

 ニ 装備品の効果的・効率的な取得を実現するためにプロジェクト・マネージャーの仕組を制度化し、プロジェクト管理を強化する。

 ヌ 価格推算モデルの整備を行う。

 ネ 企業の価格低減インセンティブを引き出すための契約制度のさらなる整備、コスト低減につながるさらなる長期購入の導入の可否、共同企業体の活用といった柔軟な受注体制の構築等について検討のうえ、必要な措置を講じる。

 ノ 陸上自衛隊の中距離地対空誘導弾と航空自衛隊の地対空誘導弾ペトリオットの能力大隊を視野に入れ、将来地対空誘導弾の技術的検討を始める。

 ハ F-2戦闘機の退役時期までに国際共同開発も含め、将来戦闘機の開発を選択肢として考慮できるよう、国内における戦闘機関連技術の蓄積・高度化を図るため、実証研究を含む戦略的な検討を進める。

 ヒ 警戒監視能力向上のため、電波情報収集機の開発のほか、新たな固定式警戒管制レーダーや複数のソナーの同時並行的な利用により探知能力を向上させたソナーの研究を推進する。

 フ 中長期的な研究の方向性を定める将来装備ビジョンを策定する。

 ヘ 安全保障の観点から、技術開発関連情報等、科学技術に関する動向を平素から把握し、産官学の力を結集させる。

 ホ 防衛にも応用可能な民生技術の積極的な活用や民生分野への防衛技術の展開を図る。

 マ 地域コミュニティーとの連携を図る。

 ミ 国民や諸外国の理解と支持を得るために情報発信を強化する。

 ム 文官と自衛官の一体感を醸成させ、防衛力整備の最適化、統合運用の強化、」政策立案の強化を実現するために、防衛省改革を実現する。外局設置や部隊運用に関する業務の統合幕僚監部への一元化の実施、運用企画局の改廃など組織の見直しを行う。

 

 

Ⅳ 日米同盟の強化のための施策

 

 日米防衛協力の強化

 

 ア アメリカが我が国及びアジア太平洋地域にコミットメントし、我が国の安全を確保するため、我が国自身の能力の強化と「日米防衛協力のための指針」の見直しを進める。

 イ 共同訓練・演習、ISR活動、施設・区域の共同使用拡大を進め、弾道ミサイル防衛、拡大抑止協議など政策調整を進める。

 ウ 海賊対処、能力構築支援、人道支援、災害救援、平和維持、テロ対策、海洋・宇宙・サイバー分野で協力を強化する。

 

 

Ⅴ 整備規模

 

 おおむね10年で大綱の別表の体制の構築を目指す。

 

 

Ⅵ 所要経費

 

1 

 

この計画の実施に必要な金額は平成25年度価格でおおむね24兆6700億円程度を目途とする。

 

 

一層の効率化・合理化を徹底した防衛力整備に努める。

 

 

 

この計画は、3年後には祖に時点における国際情勢などを勘案し必要に応じ皆襲を行う。

 

別表

 

 陸上自衛隊

 

 陸上自衛隊は機動戦闘車を99両、装甲車を24両、水陸両用車を52両、ティルト・ローター機を17機、CH-47JA輸送ヘリコプターを6機、地対艦誘導弾を9個中隊、中距離地対空誘導弾を5個中隊、戦車44両、迫撃砲を除く火砲を31両、整備する。

 

 海上自衛隊

 

 海上自衛隊は護衛艦を5隻、うちイージス・システム搭載護衛艦を2隻、潜水艦を5隻、その他を5隻で自衛艦約5,2万トンを整備する。航空機は固定翼哨戒機としてP-1を23機、SH-60K哨戒ヘリコプターを23機、艦載型多用途ヘリコプターを9機、整備する。

 

 航空自衛隊

 

 航空自衛隊は新早期警戒(管制)機を4機、新戦闘機としてロッキード・マーティンF-35A戦闘機を28機、F-15戦闘機の近代化改修を26機、新空中給油機・輸送機を3機、C-2輸送機を10機、ペトリオット地対空誘導弾PAC3 MSEを2個群及び教育所要を整備する。

 

また、共同の部隊として滞空型無人機を3機整備する。

 

 

第5章 2014年の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」

 

 安倍晋三・内閣総理大臣は、平成26年2月7日内閣総理大臣決裁で「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を開催することにした。

 構成員には岩間陽子・政策研究大学院大学准教授、岡崎久彦・特定非営利活動法人岡崎研究所理事長・所長、葛西敬之・東海旅客鉄道代表取締役会長、北岡伸一・国際大学学長・政策研究大学院大学教授、坂元一哉・大阪大学大学院教授、佐瀬昌盛・防衛大学校名誉教授、佐藤謙・公益財団法人世界平和研究所副会長(元防衛事務次官)、田中明彦・独立行政法人国際協力機構理事長、中西寛・京都大学大学院教授、西修・駒沢大学名誉教授、西元徹也・公益社団法人隊友会会長(元統合幕僚会議議長)、細谷雄一・慶應義塾大学教授、村瀬信也・上智大学教授、柳井俊二・国際海洋法裁判所判事(元外務事務次官)、が選ばれた。

憲法解釈の現状と問題点として、憲法9条をめぐる憲法解釈として戦後一貫していたわけでなく、個別的自衛権と集団的自衛権を明確に切り分け、個別的自衛権のみが憲法上許容されるという文理解釈上の根拠は何も示されていないことが判明した。

 憲法9条の解釈に当たって拠り所とすべき憲法の根本原則は、基本的人権としての平和的生存権及び生命・自由・幸福追求権としては我が国が侵略されず独立を維持していることが前提条件であり、適切な自衛力の保持と行使が不可欠とし、国民主権では主権者たる国民の生存の確保が前提で、国際協調主義では、国際的な活動への参加は、我が国が最も積極的に取り組む分野とし、平和主義では、国際協調主義を前提として解されるべきであり、平和を実現するために積極的行動を採るべきことを要請している。

 憲法解釈の現状と問題点として、我が国を取り巻く安全保障環境の変化をあげ、技術の進歩と脅威やリスクの性質の変化、国家間のパワーバランスの変化、日米関係の深化と拡大、地域における多国間安全保障協力等の枠組みの動き、国際社会全体が対応しなければならないような深刻な事態の発生、自衛隊の国際社会における活動をあげ、従来の憲法解釈では十分に対応できない状況に立ち至っている、とした。

 我が国としてとるべき具体的行動の事例として、1・我が国近隣で有事が発生した際の船舶の検査、米艦等への攻撃の排除等、2・米国が武力攻撃を受けた場合の対米支援、3・我が国の船舶の航行に重大な影響を及ぼす海域における機雷の除去、4・国際秩序の維持に重大な影響を及ぼす武力攻撃が発生した際の国連の決定に基づく活動への参加、5・我が国領海で潜没航行する外国潜水艦が退去に応じず徘徊を継続する場合の対応、6・海上保安庁等が速やかに対処することが困難な海域や離島において、船舶や民間人に対し武装集団が不法行為を行う場合の対応、をあげている。

 

 あるべき憲法解釈として憲法9条は自衛権や集団安全保障について何ら言及しておらず、自衛のための武力行使は禁じられておらず、集団安全保障措置への参加といった国際法上合法的な活動への憲法上の制約はないと解すべきである。これまでの政府解釈である必要最小限度の自衛権の中に集団的自衛権は入らないという解釈はやめ、集団的自衛権の行使を認めるべきである、としている。

 憲法上認められる自衛権として集団自衛権は「我が国と密接な関係にある外国に対して武力攻撃が行われ、その事態が我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性がある時には、我が国が直接攻撃されていない場合でも、その国の明示の要請又は同意を得て、必要最小限の実力を行使して攻撃の排除に参加」すべきとした。そのような場合に該当するかどうかは政府が総合的に勘案しつつ、責任をもって判断する、こととした。

 国連の集団安全保障措置については、憲法上の制約はないと解釈すべきとした。

 武力行使との一体化論は我が国固有の概念であり、国際法上も国内法上も根拠なく、自衛隊の活動を慎重を期すために出てきた論議で、その役割は現在では終え、政策的妥当性の問題と位置付けるべきとした。

 国連PKO等への協力と武器使用について、駆けつけ警護や妨害排除のために国際基準に従って行う武器使用は、憲法9条の武力行使には当たらないと解すべき、とした。

 在外自国民の保護・救出等及び国際治安協力に際しての武器使用も憲法上の制約はないと解釈すべきとした。

 武力行使に至らない侵害への対応について、自衛隊の必要最小限度の行動は、国際法上合法な行為である限り憲法上容認されるべき、とした。

 

 「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は平成26年5月15日、安倍晋三内閣総理大臣に報告書を提出した。

 

 

 

 

 

第6章 平和安全保障法案

 

 

 平和安全法案は2015年9月19日、参議院本会議で与党の自由民主党、公明党、野党の日本を元気にする会・無所属可会、次世代の党、新党改革・無所属の会など賛成多数で可決され、成立した。賛成148票、反対90票だった。衆議院、参議院の特別委員会での審議時間は220時間だった。

 既存の法律10本をまとめて改正する平和安全法制整備法と国際平和支援法からなる。

 平和安全法制整備法は自衛隊法、PKO協力法、重要影響事態安全確保法、船舶検査活動法、武力攻撃・存立危機事態法、国家安全保障会議設置法、米軍等行動円滑化法、特定公共施設利用法、外国軍用品等海上輸送規制法、捕虜取り扱い法を一括して改正した。

 自衛隊法の改正では、在外邦人の保護措置、米軍等の部隊の武器等の防護、平時における米軍に対する物品役務の提供の拡大、国外犯処罰規定が盛り込まれている。

 重要影響事態安全確保法では、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態における米軍等への支援を実施すること等、改正の趣旨を明確にするための目的規定の見直し、日米安全保障条約の目的の達成に寄与する活動を行う米軍以外の外国軍等に対する支援活動の追加が盛り込まれている。

 国連平和協力法の改正では、国連PKO等において実施できる業務の拡大、業務に必要な武器使用権限の見直し、国連が統括しない人道復興支援やいわゆる安全確保等の活動の実施、が盛り込まれている。

 事態対処法制の改正では、存立危機事態に対処する自衛隊の任務としての位置づけ、行動、権限等を自衛隊法の改正で取り組み、武力攻撃事態等に対処する米軍に加えて、米軍以外の外国軍隊に対する支援活動の追加を米軍等行動関連措置法で取り組み、同じく外国軍隊の行動を特定公共施設等の利用調整に追加する事案を特定公共施設利用法の改正で取り組み、存立危機事態における海上輸送規制の実施を海上輸送規制法で取り組み、同じく捕虜の取り扱いを捕虜取扱い法で取り組む。

 また、法改正を踏まえた審議事項の整理のため国家安全保障会議設置法の改正を行う。

 

 

第1章     自衛隊法の改正

 

第1節 自衛隊法84の3

 

自衛隊法第84の3で在外邦人等の保護措置において、「外国における緊急事態に際して生命又は身体に危害が加えられる恐れがある邦人の保護措置を部隊等が実施できるようにする。」とされた。そして自衛隊法第95条の2では、「自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している米軍等の部隊の武器等であれば、当該武器等を防護するための武器の使用を自衛官が行うことができるようにする。」とされた。

 

 

第2節 自衛隊法100条の6

 

自衛隊法第100条の6では、「米軍に対する物品又は役務に関しては、以下の活動を実施する自衛隊の部隊等と共に現場に所在して同種の活動を行う米軍を対象に追加」するとした。自衛隊法第100条の6で追加された要件は①自衛隊法第81条の2第1項第2号(警護出動)に掲げる施設及び区域に係る同項の警護、②海賊対処行動、③弾道ミサイル等を破壊する措置をとるため必要な行動、④機雷その他の爆発性の危険物の除去及びこれらの処理、⑤外国における緊急事態に際しての邦人の警護・救出等、⑥船舶又は航空機による外国の軍隊の動向に関する情報その他の我が国の防衛に資する情報の収集のための活動、である。

その他の改正事項に、①従来は日米の二国間訓練に参加する米軍のみを対象としていたが、日米を含む三カ国以上の多国間訓練に参加する米軍についても対象とすること、②自衛隊施設に一時的に滞在する米軍に加えて、自衛隊が米軍施設に一時的に滞在する場合に共に現場に所在する米軍を対象とすること、③提供の対象となる物品に、弾薬を含めること、とされている。

 

第3節 自衛隊法第122の2

 

自衛隊法第122条の2では、国外犯処罰規定の整備がなされた。①上官の職務上の命令に対する多数共同しての反抗及び部隊の不法指揮、②防衛出動命令を受けた者による上官命令反抗・不服従等、である。

 

第2章 国際平和協力法の改正

 

国際平和協力法の改正では、「参加5原則の⑤武器使用は要員の生命等の防護のための必要最小限度のものを基本。」に、「受け入れ同意が安定的に維持されていることが確認されている場合、いわゆる安全確保業務及びいわゆる駆け付け敬語の実施に当たり、自己保存及び武器等防護を超える武器試使用が可能。」となった。

そして国際連携平和安全活動(非国連頭括型)が新設された。この要件は国際連合平和維持活動参加5原則を満たした上で、①国際連合の総会、安全法理事会又は経済社会理事会が行う決議、②国際連合、国際連合の総会によって設立された機関又は国際連合の専門機関で、国際連合難民高等弁務官事務所その他政令で定めるもの、当該活動に係る実績若しくは専門的能力を有する国際連合憲章第五十二条に規定する地域的機関又は多国間の条約により設立された機関で、欧州連合その他政令で定めるもの、③当該活動が行われる地域の属する国の要請、のいずれかが存在する場合参加できることとなった。

また、業務の拡充(停戦監視、被災民救援等に加え、いわゆる安全確保業務、いわゆる駆け付け警護業務、司令部業務等を追加、統治組織の設立・再建援助の拡充)、武器使用権限の見直し(いわゆる安全確保業務、いわゆる駆け付け警護業務の実施に当たってはいわゆる任務遂行のための武器使用を認める)、国会承認(自衛隊の部隊等が行う停戦監視業務、いわゆる安全確保業務については事前の国会承認が基本)、隊員の安全確保(安全配慮規定、業務中断及び危険を回避するための一時休止その他の協力隊の隊員の安全を確保するための措置を定めた実施要領の策定を規定)が国際連合平和維持活動、国際連携平和安全活動に盛り込まれた。

 

第3章 重要影響事態安全確保法(周辺事態安全確保法の改正)

 

第1節     目的

 重要影響事態に際し、合衆国軍隊等に対する後方支援活動等を行うことにより、日米安全保障条約の効果的な運用に寄与することを中核とする重要影響事態に対処する外国との連携を強化し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的にする。

 

第2節     支援対象

 

 日米安全保障条約の目的の達成の寄与する活動を行う米軍、その他の国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動を行う外国の軍隊、その他これに類する組織、が支援対象とされた。

 

第3節     対応措置

  

  対応措置としては、後方支援活動、捜索救助活動、船舶検査活動、その他の重要影響事態に対応するための必要な措置、があげられた。

 

第4節     一体化の回避

 

  現に戦闘行為が行われている現場では実施しない、自衛隊の部隊の長等は、活動の実施場所又はその近傍において戦闘行為が行われるに至った場合、又は予測される場合等は、一時休止等を行う、防衛大臣は実施区域を指定し、その区域の全部又は一部において、活動を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合等は、速やかにその指定を変更し、又は、そこで実施されている活動の中断を命じなければならない、とされた。

 

第5節     国会承認

 

  原則、事前の国会承認と緊急の必要がある場合の事後承認が可能とされた。

 

第4章 船舶検査活動法の改正

 

我が国を取り巻く安全保障環境の変化、積極的平和主義、切れ目のない対応を可能とする法制の実現のため、船舶検査活動法が改正された。

 

第5章 事態対処法の改正

 

 我が国の平和と独立、国及び国民の安全を確保するため、武力攻撃事態等への対処について、基本理念、国・地方公共団体の責務、手続など基本事項を定めることにより、対処のための態勢を整備する、とした。

 

第6章 存立危機事態関連の自衛隊法の改正

 

 新たに可能となる「武力行使」は「我が国を防衛するため」のやむを得ない「自衛の措置」であり、「存立危機事態」への自衛隊の対処は、自衛隊法第76条(防衛出動)と第88条(武力行使)によるものとし、第3条(自衛隊の任務)において主たる任務に位置付けた。

 

第7章 事態対処法制における関連法制の改正

 

米軍行動関連措置法、海上輸送規制法、捕虜取扱い法、国民保護法、特定皇居施設利用法、国際人道法違反処罰法が改正された。

 

 

第8章 国家安全保障会議設置法の改正

 

第1節     審議事項

 

 審議事項として、存立危機事態への対処、重要影響事態への対処、国際平和共同対処事態への対処、が新たに定められた。

 

第2節     必ず審議しなければいけない事項

 

国際平和協力業務であっていわゆる安全確保業務の実施に係る実施計画の決定及び変更、国際平和協力業務であっていわゆる駆け付け警護の実施に係る実施計画の決定及び変更、国際連合平和維持活動に参加する各国の部隊により実施される業務の統括業務に従事するための自衛官の国際連合への覇権、在外邦人の警護・救出等の保護措置の実施、が必ず審議しなければいけない事項とされた。

 

第9章 附則により技術的な改正を行う法律

 

 道路交通法、国際機関等に派遣される防衛省の職員の処遇等に関する法律、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、武力紛争の際の文化財の保護に関する法律、原子力規制委員会設置法、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律、サイバーセキュリティ基本法、防衛省設置法、内閣府設置法、復興庁設置法、が改正される。

 

第10章 国際平和支援法

 

第1節 国際平和共同対処事態

 

 

国際社会の平和及びお安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるものに当該活動を行う諸外国の軍隊等に対する協力支援活動を実施し、国際社会の平和及び安全の確保に資する、ことを目的とした。

要件として、支援対象となる外国が国際社会の平和及び安全を脅かす事態に対処するための活動を決定し、要請し、勧告し、又は認める決議があること、当該事態が平和に対する脅威又は平和の破壊であるとの認識を示すとともに、当該事態に関連して国連加盟国の取組を求める決議があることとした。

対応措置には、諸外国の軍隊等にたいする物品及び役務の提供、捜索救難活動、船舶検査活動がある。

しかし、「現に戦闘行為が行われている現場」では実施しない、自衛隊の部隊等の長等は、活動の実施場所若しくはその近傍において戦闘行為が行われるに至った場合、それが予測される場合等には、一時休止を行う、防衛大臣は実施区域を指定し、その区域の全部又は一部において、活動を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合等には、速やかにその指定を変更し、又は、そこで実施されている活動の中断を命じなければならない、とされた。

国会承認については、国会承認について例外なき事前承認、7日以内の各議院の議決の努力義務、対応措置の開始から2年を超える場合には再承認が必要、とされた。