1976年 旧・防衛計画の大綱における防衛力 陸上自衛隊
陸上防衛力として、陸上自衛隊の編成定数は18万人とされた。
基幹部隊としては、平時地域配備する部隊に13個師団と2個混成団が置かれることとなった。これは普通科(歩兵)を基幹とする地域防衛部隊である。
甲師団は約9000人を定員に、普通科連隊を4個連隊配備し、特科連隊(砲兵)、後方支援連隊(兵站)、戦車大隊、施設大隊(工兵)、通信大隊、対戦車隊、偵察隊、飛行隊、音楽隊、保安中隊(憲兵)などを要する。乙師団は約7000人で普通科連隊の数などが、甲師団に比べて少ないなどの違いがある。
また、地域の特性によって、部隊の配備が異なっている。平原が存在する北部方面隊には、戦車連隊が配備される一方で、中部地方、近畿地方の中部方面隊の師団には戦車大隊が配備されるにとどまるなど、地域特性に配慮された部隊配置となっている。
北海道の防衛を担う北部方面隊(総監部:北海道・札幌駐屯地)には、3個師団が置かれた。
第2師団(本部:北海道・旭川駐屯地)が第3普通科連隊,第9普通科連隊,第25普通科連隊,第26普通科連隊を基幹に道北に配置され、
第5師団(本部:北海道・帯広駐屯地)が道東に第5戦車大隊、第4普通科連隊、第6普通科連隊、第27普通科連隊を基幹に配置された。
第11師団(本部:北海道・真駒内駐屯地)は道央、道南を防衛地域とし、第11戦車大隊、第10普通科連隊、第18普通科連隊、第28普通科連隊を基幹に部隊配備された。
また、第1特科団が配備され、強力な火力で敵を撃滅することが期待された。
各師団はそれぞれの地域を中心とした防衛を担うことになっていた。特に北海道は防衛計画の大綱のいう「小規模かつ限定的な侵略」が生じる危険の高い地域として、装備が優先的に配備された。機甲化、機械化、装甲化をもっともはやく進められた。
東北には東北方面隊(総監部:宮城県・仙台駐屯地)が担当し、南東北は第6師団(本部・神町駐屯地)が防衛した。第20普通科連隊、第21普通科連隊、第22普通科連隊、第44普通科連隊を基幹に約9000名の甲師団であった。北東北は第9師団(本部:青森県・青森駐屯地)が、第5普通科連隊、第38普通科連隊、第39普通科連隊を基幹とする乙師団が置かれた。
関東・甲信越・静岡の防衛は東部方面隊(総監部:埼玉県・朝霞駐屯地)が担当した。
南関東と山梨県、静岡県は第1師団(本部・市ヶ谷駐屯地)が担当し、特に首都を防衛する部隊として力を注がれた。第1普通科連隊、第31普通科連隊、第32普通科連隊、第34普通科連隊、第1戦車大隊を基幹とする甲師団である。
北関東と新潟県は第12師団(本部・相馬原駐屯地)がおかれた。第2普通科連隊、第13普通科連隊、第30普通科連隊、第48普通科連隊を基幹とする師団であった。
日本の面積の30%を防衛するのは中部方面隊(総監部:兵庫県・伊丹駐屯地)である。
西部本州と四国が担当地域で、
近畿地方を防衛するのは第3師団(本部:兵庫県・千僧駐屯地)で、第7普通科連隊、第37普通科連隊、第36普通科連隊、第45普通科連隊を基幹とする定員・8800人の甲師団であった。
中部地方を防衛するのは第10師団(本部:愛知県・守山駐屯地)で、第14普通科連隊、第33普通科連隊、第35普通科連隊、などを基幹とする乙師団、約7000名の部隊であった。
中国地方を防衛するのは第13師団(本部:広島県・海田市駐屯地)で、第8普通科連隊、第17普通科連隊、第46普通科連隊、第47普通科連隊を基幹とする7100人の乙師団であった。
四国を防衛する第2混成団(本部:香川県・善通寺駐屯地)は、第15普通科連隊を基幹に組織される。
九州・沖縄を防衛するのは西部方面隊(総監部:熊本県・健軍駐屯地)で、
北部九州を第4師団(本部:福岡県・福岡駐屯地)で、第16普通科連隊、第19普通科連隊、第40普通科連隊、第41普通科連隊を基幹部隊とし、さらに対馬警備隊が対馬海峡をにらんでいる。
南部九州を防衛するのは第8師団(本部:熊本県・北熊本駐屯地)で、第12普通科連隊、第24普通科連隊、第42普通科連隊、第43普通科連隊を基幹にしている。
沖縄には、第1混成団(本部:沖縄県・那覇駐屯地)が第1混成群と第101飛行隊を基幹に防衛を担当していた。
機動運用部隊として、1個機甲師団、1個空挺団、1個ヘリコプター団が置かれた。
1個機甲師団は第7師団(本部:北海道・千歳駐屯地)として北部方面隊に置かれ、
第71戦車連隊、第72戦車連隊、第73戦車連隊を核に、第7化学防護隊、第7飛行隊、第7偵察隊、第7通信大隊、第7施設大隊、第7後方支援大隊、第7高射特科大隊、第7砲兵連隊、第11普通科連隊を擁し、
陸上自衛隊の部隊として、戦車、装甲車を中心に最新装備が最優先に配備され、機動運用機甲師団として運用された。
1個空挺団は第1空挺団(千葉県・習志野駐屯地)として、東部方面隊に配置され、普通科、対戦車隊を中心にした約1500名からなる部隊である。
空挺降下能力、ヘリ・ボーン能力を有し、また遊撃戦にも卓越した部隊で、レンジャー資格の中でも最も厳しい空挺レンジャー資格を有する隊員が7割以上を占め、軽歩兵の普通科部隊として最強の能力を誇る。そして、航空自衛隊の輸送機、陸上自衛隊のヘリコプターを利用し、迅速に紛争地域に派遣できる数少ない部隊である。
1個ヘリコプター団は防衛庁長官直轄部隊として、第1ヘリコプター団が編成され、千葉県木更津駐屯地に配置されている。大型輸送ヘリコプターによって、各部隊、資材を迅速に必要地域に派遣できる能力を有している。
陸上自衛隊の野戦防空戦力として、地対空誘導弾部隊が8個高射特科群が全国に配置されている。
北からの脅威(ソ連・ロシア)に対抗するため、第4高射特科群が北海道・道北の名寄駐屯地に配置された。
また、札幌や千歳などの北海道の中枢の防空に第1高射特科群が東千歳駐屯地に
東北地方では、航空自衛隊、アメリカ空軍のある三沢基地に近く、海上自衛隊の航空基地のある八戸駐屯地に第5高射特科群が置かれている。
また、首都圏の防空には千葉県・松戸駐屯地に第6高射特科群が置かれている。
航空自衛隊の広域全般地対空誘導弾部隊が近辺に無く、しかも人口密集地域、経済中枢地域のある地帯の近畿地方には第8高射特科群が兵庫県・青野原駐屯地に置かれ、
同じく北九州地域には第3高射特科群が福岡県・飯塚駐屯地に置かれている。
そのほかに、東アジアの要石である沖縄の防空には、航空自衛隊の全般防空地対空誘導弾部隊とともに、第7高射特科群が沖縄県・大村駐屯地に置かれている。
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