日本の国家安全保障90年代 43

第1節 東アジア各国の戦力 アメリカ合衆国太平洋軍 1990年代 19

 

 

 

 

合衆国空軍太平洋空軍は東西には東太平洋から西太平洋、インド洋、そして南北には北極から南極まで担当する。

 

 

 

太平洋空軍(司令部・ヒッカム空軍基地、現パール・ハーバー-ヒッカム統合基地)には、

 

戦闘航空団、混成航空団、輸送航空団で構成される第5空軍(東京都横田基地)、

 

2個戦闘航空団がある第7空軍(韓国・烏山基地)、

 

1個戦闘航空団と1個混成航空団で構成される第11空軍(アラスカ州エルメンドルフ空軍基地)、

 

ボーイングB-52ストラトフォートレス爆撃機が配備され、1989年まで戦略航空軍団の基地として重責を担い、現在もその流れをくみ合衆国の前進基地として機能する第13空軍(グアム島アンダーセン空軍基地)があった。

 

 

 

 第5空軍の主力は沖縄県嘉手納基地の

 

第18航空団で、F-15C/Dイーグル戦闘機を主力装備とし、制空戦闘を重視している。

 

第44戦闘飛行隊、第67戦闘飛行隊にF-15C/Dイーグル戦闘機が配備され、

 

支援戦力として

 

第961空中指揮管制飛行隊のボーイングE-3セントリー空中警戒管制システム機、

 

第909空中給油飛行隊のボーイングKC-135ストラトタンカー空中給油機、

 

HH-60Gぺイヴ・ホーク救難ヘリコプターを装備し、

 

F-15C/Dイーグル戦闘機を補佐する。

 

 

 

第35戦闘航空団は第13戦闘飛行隊、第14戦闘飛行隊から成り、

 

F-16C/Dブロック50ファイティング・ファルコン戦闘機を装備する。

 

第35戦闘航空団のF-16C/Dブロック50ファイティング・ファルコン戦闘機には、敵防空制圧(SEAD)任務が課せられており、有事の際はF-15C戦闘機護衛のもと、先んじて敵防空網制圧・破壊に投じられる。

 

第374輸送航空団は横田基地にロッキード・マーティンC-130H輸送機を配備していた。

 

 

 

 第7空軍は韓国防衛が主任務であり、仮想敵は北朝鮮である。

 

F-16C/Dブロック40ファイティング・ファルコン戦闘機を装備する第8戦闘航空団(韓国・群山基地)は対地、対空の両方の戦闘に対応する。

 

第51戦闘航空団(韓国・烏山基地)は、F-16C/Dブロック40ファイティング・ファルコン戦闘機が主装備である。また対地攻撃、特に近接航空支援能力を重視した設計のフェアチャイルドA-10A/OA-10AサンダーボルトⅡ攻撃機も装備し、押し寄せる北朝鮮地上兵力の機械化部隊、機甲部隊への攻撃(近接航空支援)が主要な任務であった。

 

第5空軍が日本を基盤とし、広く西太平洋、インド洋をカバーするのに対し、第7空軍は韓国防衛に特化している。

 

 

 

 第11空軍第3航空団(アラスカ州エルメンドルフ空軍基地)は

 

F-22Aラプター戦闘機、F-15Eストライク・イーグル戦闘爆撃機、F-15C/Dイーグル戦闘機、E-3セントリー空中警戒管制システム機、C-130Hハーキュリーズ輸送機を装備する大規模航空団で、有事の際は各地に展開する。

 

第354戦闘航空団(アラスカ州アイルソン空軍基地)はF-16C/Dファイティング・ファルコン戦闘機とOA-10CサンダーボルトⅡ攻撃機を装備する対地攻撃任務を主任務とする部隊で、アラスカ州に配備されている空中給油機とともに、各地に展開することが可能である。

 

 

 第13空軍は隷下に部隊をもっていない。第13空軍のグアム島アンダーセン空軍基地にはB-2スピリット爆撃機が展開し、東アジアの危機に対応していた。第13空軍は2012年に解隊される。

 

 

 

  支援任務にはボーイングE-3セントリー空中警戒管制システム機が32機、ボーイングE-4国家空中作戦センター機が4機、E-8A/C統合捜索目標攻撃レーダー・システム機が18機、RC-135リベット・ジョイント情報収集機が22機、などがある。

 

 

 特殊作戦機にはAC-130Hガンシップ攻撃機、AC-130Uガンシップ攻撃機、E/M-130E特殊作戦・電子戦機、MC-130H特殊作戦機、MC-130P特殊作戦機、MC-130W特殊作戦機がある。

 

 

合衆国の核戦略を担うのは合衆国戦略軍(U.S.STRATCOM:United States STRATegic COMmand)である。合衆国戦略軍は陸軍、海軍、空軍、海兵隊の4軍の戦略部門を統合するものである。合衆国の核戦略の基本はトライアド(三本槍)、地上発射大陸間弾道ミサイルによる攻撃、爆撃機による核爆弾投下、核弾頭搭載巡航ミサイル、核弾頭搭載短距離攻撃ミサイル攻撃、そして弾道ミサイル搭載戦略原子力潜水艦による攻撃の3つである。

 

 

 B-1Bランサー爆撃機は核爆弾をはじめ、空中発射巡航ミサイルAGM-86(射程距離2500km、弾頭200KT)を大量に搭載、発射可能である(B-1B爆撃機は現在、戦術任務のみ)。

 

B-52Hストラトフォートレス爆撃機はAGM-86空中発射対地巡航ミサイルと核爆弾を搭載する。

 

B-2スピリット爆撃機はステルス性が高く、レーダーなどで捉えるのは困難である。

核爆弾を搭載する。

 

 

 

 地上発射弾道ミサイルは、

 

LGM-30GミニットマンⅢ大陸間弾道ミサイル(射程距離13000km、弾頭3335KT×3)を450基、

 

MGM-118ピース・キーパー大陸間弾道ミサイル(射程距離9600km、弾頭550KT×3)を50基配備していた。

 

MGM-118ピース・キーパーは早期に退役することになった。

 

合衆国空軍のICBMはいずれも命中精度は極めて高いとされる(半数必中界100m以内)。

 

 

 

潜水艦発射弾道ミサイルは、

 

UGM-96AトライデントC4潜水艦発射弾道ミサイル(射程距離7400km、弾頭100KT×8)、

 

UGM-133AトライデントⅡD5潜水艦発射弾道ミサイル(射程距離12000km、弾頭475KT×8)

 

をオハイオ級弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(水中排水量18750トン)10隻に搭載している。

 

 

UGM-133AトライデントⅡD5弾道ミサイルは半数必中界90メートルと、潜水艦発射弾道ミサイルでありながら地上発射型大陸間弾道ミサイルと同等の命中精度という飛躍的に精度の高いものとなっており、合衆国の核戦略の信頼性を向上させるものとなっている。

 

 

 

 

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