日本の国家安全保障90年代 46

第2節 東アジア各国の戦力 中国   1990年代  3

 

 

 

 

 

中国人民解放軍海軍の航空部隊は戦闘機、攻撃機が主力であり、日本のように対潜哨戒機を重視している国とは傾向が違う。

 

 

最新鋭の装備は西側陣営のF-15イーグル戦闘機に対抗するために旧ソ連が開発した

 

スホーイSu-27戦闘機

(初飛行1981年、自重17700kg、推力122,6kN×2、注19)

 

である。

 

スホーイSu-27戦闘機は高推力エンジンによる高速性能があり、高い運動性能も持つ。レーダーも大型で高出力で優秀なものを搭載している。 

 

 

 

 

 

1998年から人民解放軍海軍航空隊への配備が始まったのが

 

JH-7戦闘攻撃機

 

で、C-801空対艦ミサイル2発搭載可能である。

 

 

 

 

 

 殲撃8Ⅱ J-8Ⅱ(F-8Ⅱ)戦闘機

 

は1990年に配備が始まった戦闘機である。

 

天安門事件前の米中蜜月時代に「ピース・パール」計画として

 

グラマン、リットン、ウェスティングハウス・エレクトリックなどが開発に関与した。

 

殲撃8Ⅱ J-8Ⅱ(F-8Ⅱ)戦闘機は

 

F-16A/Bファイティング・ファルコン戦闘機が搭載しているAN/APG-66レーダー火器管制装置、慣性航法装置を搭載し、その他アヴィオニクスなどもアメリカ製を導入する予定であったが天安門事件によって頓挫している。

 

初飛行は1994年と新しいが、ベースとなった殲撃8 J-8(F-8)戦闘機が新しいものでないために機動、運動性能は良いものではないと思われる。

 

自重は14300kg、推力は65,9kN×2である。

 

 

 

 

 

 殲撃8 J-8(F-8)戦闘機

(自重15000kg、推力59,82kN×1)

 

も海軍航空隊は保有しているが15機しか保有しておらず、増備も少数にとどまると予想された。

 

 

 

殲撃8戦闘機のベースとなった

 

殲撃7 J-7(F-7)戦闘機

(自重5275kg、推力59,82kN×1)

 

も老朽化が進んでいる。

 

 

 

数の上で主力となっているのは

 

旧ソ連のミコヤンMiG-19戦闘機/殲撃6 J-6(F-6)戦闘機

 

で320機保有しているが、

 

あまりにも古く空戦では活躍できず、対艦攻撃支援などに限られた。

 

 

 

 

またミコヤンMiG-19戦闘機/殲撃6 J-6戦闘機を改造した

 

強撃5 Q-5(A-5)攻撃機

 

を93機保有している。

 

空戦ではなく対艦攻撃に重きを置いており、ある程度の実用性は認められる。

 

 

 

 

 

爆撃機はイリューシンIl-28爆撃機をコピーした

 

H-5爆撃機が50機、

 

 

 

ツポレフTu-16爆撃機をコピーした

 

H-6爆撃機が51機ある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人民解放軍海軍航空隊の航空機による対潜哨戒の中心は艦載ヘリコプターで、

 

フランスのアエロスパシアル(現・ユーロコプター)のドーファン2の中国国内ライセンス生産品であるハルビンZ-9Aヘリコプターと、

 

ロシアから輸入するカモフKa-28ヘリコプターが主力であり、

 

今後とも両方が増備されていく模様である。

 

 

 

 

 

 

 

 

中国の航空戦力は、人民解放軍海軍航空隊とともに、人民解放軍空軍が担っている。

 

 

人民解放軍空軍は

 

スホーイSu-27戦闘機(NATOコード:フランカー)

 

を1993年にロシアから26機を輸入したのを皮切りに、

 

着実に輸入し続け機数を増やした。

 

さらに

 

1996年にはSu-27戦闘機の生産ライン輸入協定を調印し、

 

1998年末からノック・ダウン生産を始めた。

 

 

 

スホーイSu-30MKK戦闘爆撃機、

 

Su-30MK2戦闘爆撃機

 

をロシアから輸入しており、購入を続けた。

 

 

 

 

 

 

主力は

 

殲撃8Ⅱ J-8Ⅱ(F-8Ⅱ)戦闘機

 

を50機、

 

 

 

 

殲撃8 J-8(F-8)戦闘機

(初飛行1970年代半ば、自重15000kg、推力59,82kN×1)

 

を100機以上(注26)、

 

 

 

 

殲撃7 J-7(F-7)戦闘機

(原型MiG-21戦闘機初飛行1956年、中国国内生産初飛行1970年代前半、自重5257kg、推力59,62kN×1)

 

を400機保有、

 

 

 

 

殲撃6 J-6(F-6)戦闘機

 

を3000機保有、

 

 

 

 

 

強撃5 Q-5(A-5)攻撃機

(初飛行1965年、自重6654kg、推力36,52kN×2)

 

を750機保有している。

 

 

 

 

 

 かつて少数であった第4世代戦闘機は300機以上となり、

 

さらに旧世代戦闘機を4000機ほど保有しているため周辺諸国の脅威となっている。

 

 

 

 

また、アメリカのエンジン輸出拒否によって計画が頓挫したイスラエルのラビ戦闘機を開発したイスラエル人技術者が農業技術者の名目で中国入りし協力したことにより、

 

殲撃10 J-10(F-10)戦闘機が開発された。

 

殲撃10 J-10戦闘機は、アメリカ中央情報庁(CIA)の発表によると、イスラエルに輸出されたF-16ファイティング・ファルコン戦闘機の技術が流用されている模様で、周辺諸国にとって脅威となる。

 

 

 

 

戦略爆撃機として

 

H-6を140機保有し、

 

核戦略の一つとして重要視されている。

 

また航空機発射巡航ミサイルCJ-10の発射母機として活用されている。

 

 

 

 

 

 

中国の核戦略の中で最も大きな比重を占めているのは地上発射の弾道ミサイルである。

 

 

地上発射大陸間弾道ミサイルDF-5(CSS-4)

(射程距離13000km、弾頭4MT)

 

を20基、

 

 

DF-3(CSS-2)中距離弾道ミサイル

 

(射程距離2800km、弾頭3MT)、

 

 

DF-4(CSS-3)中距離弾道ミサイル

(射程距離4750~5400km、弾頭2Mt)、

 

 

 

DF-21(CSS-5)中距離弾道ミサイル

(射程距離2500km、弾頭250Kt)

 

116基以上、

 

 

 

 

 

DF-31(射程距離7200km以上)、

 

 

 

 

DF-31A(射程距離1万2000km)

36基以上を保有している。

 

 

 

 

 

また

 

 

夏 XIA級弾道ミサイル搭載原子力潜水艦

(水中排水量6500トン、弾道ミサイル12基搭載)1隻、

 

 

 

 

ゴルフ級弾道ミサイル搭載潜水艦

(水中排水量2950トン、弾道ミサイル1基搭載)1隻に

 

JL-1(CSS-N-3)潜水艦発射弾道ミサイル

(射程距離2150km、弾頭250KT)

 

を搭載している。

 

 

 

JL-2潜水艦発射弾道ミサイルもある。

 

 

 

 

 

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