日本の国家安全保障90年代 59

第9章 日本のテロ・ゲリラ・コマンド対処

 

 

 

第1節 インテリジェンス 1990年代   2

 

 

 

 

 

警察庁警備局は、全国の都道府県警察の警備部公安課、外事課、警備課を指揮下に置き、情報収集活動、防諜活動をおこなっている。

 

 

警察庁警備局の隷下には、

 

全部門を担当する警備企画課、

 

左翼勢力を調査する公安第一課、

 

右翼勢力、皇室警衛、要人警護を担当する公安第二課、

 

防諜、外国勢力の不穏活動や国際テロリズムを調査する外事課、

 

機動隊、銃器対策部隊、特殊急襲部隊の運用を担当する警備課

 

があった。

 

 

 実働部門は、全国の都道府県警察が担当する。全国の中でも首都であり、官公庁が集中し、外国大使館が集中する東京を管轄する警視庁は、公安部を全国で唯一おいている。

 

 

警視庁公安部の隷下には、

 

総務や日本共産党を調査する公安総務課、

 

中核派(革命的共産主義者同盟全国委員会)、革労協(革命的労働者協会)など新左翼勢力を調査担当する公安第一課、

 

革マル派(革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義者)と革マル派系のJR東労組を調査する公安第二課、

 

右翼勢力を調査する公安第三課、

 

資料の管理を担当する公安第四課

 

ロシア、東ヨーロッパ諸国の諜報活動、ワッセナー取極違反を調査する外事第一課、

 

北朝鮮、中国、台湾、韓国の諜報活動、不法活動を調査する外事第二課、

 

国際テロ対策室があった。

 

 

また、公安警察の管轄する事件や、テロ事件発生時に捜査する公安機動捜査隊、NBC(核、化学兵器、生物兵器)テロリズム発生時に現場に急行し、対処活動する

 

NBC防護隊がある。

 

 

 

 領事館が集中し、企業本社が集中する大阪府警察には、

 

警備部のもとに、

 

機動隊、警備課、警護警衛課という警備警察と、

 

警備総務課、公安第一課、公安第二課、公安第三課、外事課、国際テロ対策課という公安警察、

 

公安機動捜査隊、

 

NBC防護隊

 

の8課2隊がおかれる。

 

 

 神奈川県警察、兵庫県警察、福岡県警察、広島県警察、愛知県警察、北海道警察などの主要県警察本部には、

 

警備部の隷下に

 

公安第一課、

 

公安第二課、

 

公安第三課、

 

外事課、

 

警備課

 

の5課

 

と機動隊

 

がおかれる。

 

 

 

そのほか、人口の少ない県では警備部の隷下に、

 

公安課、

 

外事課、

 

警備課

 

と機動隊

 

がおかれるだけである。

 

 

 

公安警察では、刑事警察と同じような捜査活動とともに、事件が発生する前からの調査活動、事件発生を防ぐ活動に重点が置かれる。

 

 

刑事警察の捜査活動は、

 

捜査本部長に都道府県警察刑事部長が就任し、

 

捜査副本部長に刑事部捜査課長と所轄警察署長が就任、

 

捜査主任官に刑事部捜査課管理官、

 

副捜査主任官に所轄刑事課長があたり、

 

本部刑事部と所轄の合同捜査という形をとる。

 

捜査に使用される車両は大量受注された車両が主で、TLアンテナ、TAアンテナ(TVダイバーシティ・アンテナ)などを装備し、公表されている。

 

 

一方で、公安警察の場合、

 

警察庁警備局長を頂点に、各都道府県警察本部警備部長から、公安課、所轄警備課へとトップ・ダウンで司令が通達される。

 

使用される車で公表されているのは、観閲式、年頭視閲式で公開されている公安機動捜査隊の車両のみで、刑事警察に比べ秘匿性を徹底させている。

 

また、

 

KGB(国家保安委員会、現・SVR対外情報庁)、

 

GRU(軍参謀本部情報総局)、

 

イタル・タス通信、

 

プラウダ、

 

中国国家安全部、

 

中国人民解放軍総参謀部第2部、

 

中国共産党中央宣伝部、

 

中国共産党中央対外宣伝弁公室、

 

新華社通信、

 

人民日報、

 

解放軍報、

 

朝鮮労働党対外連絡部、

 

朝鮮労働党作戦部、

 

朝鮮労働党35室、

 

朝鮮労働党統一戦線部、

 

北朝鮮政務院外交部、

 

北朝鮮政務院国家保衛部、

 

北朝鮮政務院社会安全部、

 

北朝鮮人民武力省総参謀部、

 

北朝鮮人民武力省偵察局、

 

北朝鮮人民武力省保衛司令部、

 

北朝鮮人民武力省軽歩兵教導指導局、

 

朝鮮総連、

 

民団、

 

日本赤軍と支援組織(人民革命党)、

 

日本共産党、

 

日本共産党中央委員会第2事務部、

 

革マル派(革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義者)、

 

中核派(革命的共産主義者同盟全国委員会)、

 

革労協(革命的労働者協会)

 

 

など

 

危険・凶暴で洗練された軍事的諜報・工作機関、テロリストを調査対象としているため捜査活動も徹底して秘匿されている。

 

また、公開資料や文章の解析もさることながら、調査対象組織内にスパイを設定し、情報を収集することに力をおいている。いわゆるHUMINTが重視されている。

 

このことは公安調査庁にもあてはまり、公安調査庁においても公開資料や文章の解析・分析よりも、HUMINTが重視され、評価される。

 

内閣情報調査室では100人前後と非常に少ない人員の制約があるため、公開情報・文書解析に重きがおかれるが、実際のところ重きが置かれるというよりもHUMINTしたくても金銭的、人的余裕がない。室長はHUMINTを重視する警察庁警備局からの派遣人員であるということからも、本来はHUMINT重視と思われる。

 

 

 

 

 

 

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